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夏山用シュラフ(寝袋)の選び方

夏山用シュラフ(寝袋)の選び方

夏山シーズン到来です。

初めて泊を伴う登山を計画している人もたくさんいることでしょう。

テント泊にしても、山小屋泊にしても必要になるのが「寝袋(シュラフ)」です。

今回は夏山用シュラフの選び方について説明していきます。

(冬山用シュラフについては「冬山用シュラフの選び方」を読んでみて下さい。)




3シーズン用シュラフを選べば間違いなし

夏山用のシュラフには、対応する温度によって、夏用と3シーズン用があります。

真夏しか泊を伴う登山をしないという人であれば、夏用のシュラフは重量が軽く、値段も手ごろなのですが、夏を含む、春から秋にかけての登山に使用したい場合は、3シーズン用のシュラフが便利です。

3シーズン用だからといって、真夏に暑くて眠れないということはありません。

暑ければ、シュラフのファスナーを開ける、薄着になる、シュラフを掛け布団のように体に乗せるなど、いくらでも温度調整ができます。

泊を伴う登山をしたいと考えるような人は、今後、活動の幅が広がる可能性があると思いますので、夏だけではなく、春や秋にもシュラフを使用する機会が出て来るのではないかと思います。

それを見越して、最初から3シーズン用シュラフを用意しておいた方が、後から買い直しをしなくても済みます。

あくまでも、夏しかシュラフは使用しないという人や、ザックの重量を少しでも軽くしたいという人以外は、3シーズン用がおすすめです。

 

夏用、3シーズン用の違いとは

シュラフには夏用、3シーズン用、冬用、厳冬期用などがあります。

とは言っても、シュラフに夏用、冬用などど書いてあるわけではありません。

そこで、チェックするのが、シュラフの使用温度表示にある、「リミット(下限温度)」です。

リミット(下限温度)とは、簡単に言うと、外気温がその温度のときに、なんとか眠れますよという温度で、シュラフの耐寒性能を表します。

快適に眠るためには、一般的に外気温がシュラフのリミット(下限温度)より5℃程度高い状態とされています。

ですので、シュラフを選ぶ場合は、リミット(下限温度)が、予想される最低気温より5℃程度低いものを選ぶのが安全です。

体格や性別、衣服の保温性などによって、寒い、暑いは人それぞれなので、絶対にそうというわけではなく、あくまでも目安にします。

宿泊する標高や地域にもよりますが、

夏山でしか使用しない人なら、リミット(下限温度)がおおむね0℃程度のモデル、

春から秋(3シーズン)にかけて使用したい人なら、リミット(下限温度)がおおむねー5℃程度のモデルが妥当だと思います。

真夏用のシュラフにリミット(下限温度)0℃というのはオーバースペックに聞こえるかも知れませんが、3000m級や北海道の2000m級の幕営地では真夏でも気温が5℃程度になる場合が普通にありますので、寒い時でも快適に眠るためには、真夏であっても下限温度0℃程度のシュラフが良いと思います。

3シーズン用のシュラフについては、メーカーでは、おおむねリミット(下限温度)0℃~-5℃程度のシュラフを3シーズン用としているようですが、6月や9月の3000m級、北海道の2000m級の山では、外気温が0℃前後になりますので、リミット(下限温度)―5℃程度のモデルが3シーズン用としては適しています。

このように、シュラフ選びはリミット(下限温度)と、出かける山の最低温度によって決定されます。



各メーカーで統一されていない使用温度表示。どうしたらいいの?

リミット(下限温度)を目安にするという説明をしましたが、シュラフの各メーカーでは、メーカー独自の基準で表示しているところもあれば、国際的な統一規格ISO23537(EN13537)で表示しているところもあります。

有名メーカーでいうと、モンベルとナンガはISO(EN)規格の表示がありますが、イスカはメーカー独自の基準です。

ISO23537(EN13537)って?

これは、シュラフの防寒性能に関する国際的な規格で、以前は「EN13537(ヨーロッパの統一規格)」が使用されていましたが、現在は、ISO(国際標準化機構)の規格「ISO23537」に名称変更されました。

各寝袋メーカーによる、防寒能力の表記には、「EN13537」と「ISO23537」が混在しますが、両者は同じ意味になります。

この規格は、寝袋の防寒性能を4つの温度帯で表すことになっていますが、メーカーでは、「コンフォート」(快適温度)、「リミット」(下限温度)、「エクストリーム」(極限温度)の3つの温度帯のいずれかを表示する場合が多いと思います。

3つの温度帯について、簡単に説明すると、コンフォート(快適温度)は快適に睡眠できる気温、リミット(下限温度)はシュラフの中で丸まって8時間睡眠できる気温、エクストリームはシュラフの中で丸まって6時間耐えれる気温で、凍傷などの危険があるとされています。

シュラフを選ぶ場合、まずは「リミット(下限温度)」を見るようにします。

コンフォート(快適温度)はリミット(下限温度)より5℃程度高くなっているので、コンフォート(快適温度)を見て選んでも良いでしょう。

エクストリーム(極限温度)は凍傷などが起こるかも知れない温度なので、参考程度に見るだけにします。

イスカの最低使用温度は概ねリミット(下限温度)に相当する

上記のように、モンベルとナンガはISO(EN)規格の表示があるので性能比較ができますが、イスカは「最低使用温度」というイスカ独自の基準で表示してあるので、モンベルやナンガの対抗商品と比較することができません。

そこで、寝袋の中綿の重量や性能を比較してみたのですが、イスカでいう「最低使用温度」とはISO(EN)規格の「リミット(下限温度)」に近いことがわかりました。

ですので、モンベルとナンガは「リミット(下限温度)」、イスカは「最低使用温度」を見ることで、対抗商品の比較がおおむね可能です。

(3社の詳しい比較の結果は、「冬山用シュラフの選び方ー使用温度表示のバラつきをどう読み解くか」で説明しています。興味のある方は読んでみて下さい。)

 

夏用シュラフ、3シーズン用シュラフ。羽毛と化繊綿、どちらがおすすめ?

夏用、3シーズン用ともに、羽毛シュラフと化繊綿シュラフがあります。

化繊綿とは、ポリエステルの繊維の断面に中空を作り、保温性を高めた人工綿です。

使用温度が同じシュラフの場合、化繊綿と羽毛を比べると、羽毛シュラフの方が、数百グラム軽くなり、収納もコンパクトになりますが、値段は高くなります。

また、シュラフは30泊~50泊程度使用したら洗濯することになりますが(自宅で洗濯できます)、羽毛シュラフより化繊綿シュラフの方が洗濯しやすいと言えます。

(寝袋の洗濯方法について興味のある方は、「シュラフの洗濯方法とは」を読んでみて下さい。)

予算に余裕があり、少しでもザックの重量を軽くしたい人には断然、羽毛シュラフがおすすめです。

化繊綿シュラフは多少重たくて、かさばりますが、安いというのは魅力です。

どちらがおすすめといえば、羽毛シュラフということになりますが、個人的には多少重たくなりますが、化繊綿シュラフで十分ではないかと思います。(冬山登山をする人なら、夏山用シュラフにはお金をかけず、その分冬山用シュラフは良いものを買いたいところです)



夏用シュラフと3シーズン用シュラフのラインナップ

以下に各社の夏用、3シーズン用モデルを紹介します。

価格帯ですが、夏用(リミット(下限温度)が0℃前後)は化繊綿シュラフで1万5000円~2万円程度、羽毛シュラフで3~4万円程度、3シーズン用(リミット(下限温度)がー5℃前後)は化繊綿シュラフで2万円前後、羽毛シュラフで4~5万円程度になっています。

 

夏用シュラフ(化繊綿)~下限温度0℃前後

モンベル シームレスバロウバック♯3(化繊綿)

  • リミット(下限温度)0℃
  • 重量963g
  • 価格15600円程度


楽天 mont-bellモンベル シームレスバロウバッグ#3

イスカ アルファライト 500X(化繊綿)

  • 最低使用温度0℃
  • 重量1000g
  • 価格18700円程度

アマゾン イスカ(ISUKA) アルファライト500X [最低使用温度0度]
楽天   イスカ(ISUKA) アルファライト500X [最低使用温度0度]

夏用シュラフ(羽毛)~下限温度0℃前後

モンベル シームレスダウンハガー800♯3(羽毛)

  • リミット(下限温度)ー1℃
  • 重量555g
  • 価格33000円程度

アマゾン モンベル シームレスダウンハガー800#3 R/ZIP
楽天   モンベル シームレスダウンハガー800#3 R/ZIP

 

ナンガ オーロラライト 350DX(羽毛)

  • リミット(下限温度)0℃
  • 重量750g
  • 価格38500円程度

アマゾン [ナンガ]NANGA AURORA light 350 DX シュラフ
楽天   [ナンガ]NANGA AURORA light 350 DX シュラフ

 

イスカ エアプラス 280(羽毛)

  • 最低使用温度2℃
  • 重量550g
  • 価格40700円程度

アマゾン ISUKA イスカ エアプラス280
楽天   ISUKA イスカ エアプラス280

 

3シーズン用シュラフ(化繊綿)~下限温度-5℃前後

モンベル シームレスバロウバック♯2(化繊綿)

  • リミット(下限温度)ー6℃
  • 重量1479g
  • 価格18150円程度


アマゾン モンベル シームレス バロウバッグ #2
楽天   モンベル シームレス バロウバッグ #2

 

イスカ アルファライト700X(化繊綿)

  • 最低使用温度―6℃
  • 重量1300g
  • 価格19800円程度


アマゾン ISUKA イスカ アルファライト700X
楽天   ISUKA イスカ アルファライト700X

 

3シーズン用シュラフ(羽毛)~下限温度-5℃前後

モンベル シームレスダウンハガー800♯2(羽毛)

  • リミット(下限温度)―5℃
  • 重量703g
  • 価格41800円程度


アマゾン モンベル シームレスダウンハガー800#2

 

ナンガ オーロラライト450DX(羽毛)

  • リミット(下限温度)-5℃
  • 重量865g
  • 価格45100円程度

アマゾン [NANGA(ナンガ)] オーロラライト 450 DX  レギュラー
楽天   [NANGA(ナンガ)] オーロラライト 450 DX  レギュラー

 

イスカ  エア プラス450(羽毛)

  • 最低使用温度ー6℃
  • 重量840g
  • 価格51700円程度


アマゾン ISUKA イスカ エアプラス450
楽天   ISUKA イスカ エアプラス450

 

まとめ

夏山に使用するシュラフは、春から秋まで幅広く使える、3シーズン用(リミット(下限温度)が―5℃程度)のシュラフがおすすめです。

軽さとコンパクトさなら羽毛シュラフ、コスパなら化繊綿シュラフということになります。

予算事情と登山スタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。






プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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