山登り初心者とステップアップしたい経験者の方へ登山講座

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元山岳部部長の登山講座

登山の食事。軽さと栄養が決め手!

山で何を食べるのか?

「おいしくて栄養がある」と「軽くてコンパクト」は相反するものです。

おいしく食べたければ重くなるし、軽くしたければ栄養が足りなくなります。

登山に持って行くものは、装備であろうと食料であろうと、軽くてコンパクトであることが求められます。

食料は軽量化を図りつつも、その中で一番おいしく、栄養が取れるものを選ぶことになります。

日帰り登山なら、食料の重さはそれほど気になりませんが、山中で何泊もする場合だと、装備全体に占める食料の重量は、泊数が多くなればなるほど重たくなります。

1~2泊程度の比較的泊数の少ない山行だと、ザックが少々重たくなっても食事は豪華にして、食事の時間もイベントとして楽しむこともありますが、それ以上の泊数だと、少しでもザックを軽くするために、豪華さよりも、軽い食料を選ぶのが通常の考え方だと思います。




昔の山の食事~重いけど栄養があった

30年ほど前の登山計画書を引っ張り出して当時の食料計画を見てみました。

・日常食(主食)~米、レトルトごはん、パン、乾麺、インスタントラーメン、切り餅
・日常食(おかず)~ラム肉、野菜、レトルトハンバーグ、レトルトカレー、チーズ、きゅうり、梅干し、お茶漬けの素、パックの漬物、魚肉ソーセージ、缶詰、味噌汁の素など
・行動食~飴、チョコ、乾パン、サラミ、魚肉ソーセージ、きゅうり、果物など
・予備食~レトルトごはん、缶詰
・非常食~米、レトルトごはん、缶詰など

献立としては、朝はお茶漬けか、インスタントラーメン、昼は朝に作ったおにぎりか、サンドイッチ又はレトルトご飯、晩はしゃぶしゃぶか、カレーライスというパターンが多かったようです。

この時代の食料は、すべて水分を含むものばかりで、アルファ米やフリーズドライ食品などの水分を含まない軽い食品はほとんどありませんでした。

当時、食料係に当たってしまうと、2泊3日でもザックは40kg近くになり、バテバテだったのを思い出します。

ザックが少々重くなっても、ある程度の栄養とカロリーが取れるような食料計画をしていたのだと思います。

コッヘルを使った炊飯や、食事づくりは失敗しても成功しても、テント生活での楽しいひと時でしたが、現在のようなアルファ米やフリーズドライ食品のように、軽くておいしいものを覚えてしまったら、栄養とカロリーが十分ではないとわかっていても、あのクソ重たいザックを二度と背負いたいとは思いません。

現在では同じ2泊3日の行程で食料計画をすれば、ザックは20kg台に収まると思います。

現在の中高年登山者が、泊数の多い山行でも、元気に登山が出来ているのは、テントなどの装備品の軽量化の影響もありますが、食料の画期的な進化と軽量化による影響が大きいと思います。

 

現在の山の食事~栄養よりも軽さが主体

現在ではアルファ米やフリーズドライ食品が主流です。

アルファ米はさておき、フリーズドライ食品の弱点は十分な栄養とカロリーが取れない、簡単に言えば「食べてもガツンと来ない」というところです。

しかし、ガツンと来るメニューにすると、昔の登山めしのように、重量が増えてしまいます。

ものすごい体力の持ち主は別として、山では「ザックが重い」ことが如何に体力を消耗することなのか、という点を押さえて考えていかなければなりません。

山での食事には、人によって好みや考え方の違いはありますが、食事は、栄養やカロリーを少々犠牲にしても、アルファ米やフリーズドライ食品を主体としたメニューにするのが、ザックの軽量化のためには、一番手っ取り早い方法です。



日常食(主食)の例~アルファ米

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尾西のアルファ米シリーズ。

主食については、現在、登山者が多く利用しているものの一つに、「尾西」のアルファ米シリーズがあります。

これは、白飯から赤飯、炊き込みご飯、ピラフ、チキンライスなどバリエーションが豊富で、朝食、夕食などの日常食はもちろん、行動食、予備食としても利用できます。

味も良く、量や栄養、カロリーも十分で、作り方はお湯を注いで15分程度置くだけ(水でも1時間程度かかるが作る事ができる)と簡単で、パッケージは中身が漏れないよう、ジップロックが付いているので、行動中にぱっと取り出して食べることもできるし、冬山なんかでは、きんちゃく袋に入れて、お腹のあたりに入れておけば、温かい昼食がいつでも食べられるのでとても重宝します。

最近は防災用の食事としても人気があるようです。

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アルファ米が主流になるまで、レトルトご飯が山では重宝していました。

現在でもレトルトご飯は、山では有効な主食だと思いますし、アルファ米に比べて価格が安いことも評価できます。

しかし、現在はアルファ米がおいしくなり、バリエーションも増えましたので、重量軽減の観点から言えば、水分を含んだ重たいレトルトご飯にはならないと思います。

また、インスタントラーメンは、今も昔も山ではロングセラーの食事の一つであり、山で食べるラーメンは、何ともおいしいものです。

なお、カップめんは、発泡の容器が壊れることがありますので、長期山行には適しません。

 

日常食(おかず)の例~フリーズドライ食品

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フリーズドライ食品。写真の瞬間美食シリーズはなくなったようで、現在は後継品が販売されています。

日常食のおかずについては、「アマノフーズ」から出ている、フリーズドライ食品はラインナップが多く、味も良いと思います。

これもお湯を注ぐだけで出来上がるものばかりで、写真にあるカレーとスープ類以外にも、どんぶり用のおかず、雑炊、麺類などもあり、種類が豊富です。

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難点があるとすれば、やはり、食べてみて量的にやや少ないことと、あまりガツンと来ないところだと思います。

これで良しとするのか、別に何かおかずを持って行くのかは、考えなければいけません。

入山前に試しに作って食べて見るのが良いでしょう。

一度食べれば、おいしい、まずい、多い、少ないがわかります。

フリーズドライ食品は、栄養やカロリー、満足感に限界がありますので、好みによって補助的に何かおかずになるものを持って行く場合が多いのではないかと思います。

常温で日持ちするものなら、なんでも良く、例えばソーセージやサラミ、チーズ、ナッツ類などもいいでしょう。

筆者はアマノフーズのカレーをよく持って行きますが、登山初日は、スーパーの惣菜のとんかつを冷凍して持って行き、夕食でカツカレーにしたりします。

気温にもよりますが、肉類は冷凍すれば、夏でも初日の夕方までなら、大丈夫だったりします。

朝食などは、尾西の白飯に、フリーズドライのスープや味噌汁を入れて雑炊っぽくして食べるのもおいしいと思います。

これまで書いたとおり、フリーズドライ食品がメインの食事ではどうしても栄養が偏ります。

栄養不足は疲労回復を遅らせ、体力を奪いますので、ビタミン系、ミネラル系、アミノ酸系などのサプリメントを補給することは、山ではとても有効なことです。

(サプリメントについて詳しくは「サプリメントの有効性について」を読んでみて下さい。)



行動食の例

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行動食については、昔からあまり進化していません。

やはり定番の飴、チョコ(チョコは溶けやすく、飴より喉が渇くので注意)のほか、カロリーメイト系のバランス栄養食品、飲むゼリー、魚肉ソーセージ、ナッツ類、ドライフルーツなどが適しています。

その他、お菓子系のものは、なんでもありだと思いますし、重いですが、果物やキューリなんかも元気が出ます。

行動食をよく食べる人はバテません。

ただ、胃もたれするようなものは、登山に支障が出ますので、気をつけたいところです。(筆者の場合、行動食で人気の羊羹は、もたれてしまいます。)

何でも好きなものを持って行き、行動食にあまり適していないと思ったら、次回から変更すれば良いのです。

また、熱中症対策として、最近は塩飴のラインナップが増えました。

塩分の補給に塩飴は大変有効ですが、手っ取り早く塩分を補給できるものに、アサヒから出ている「梅ぼし純」というものがあります。

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これは筆者が夏場の日帰り長大コースを歩く対策として、有効な熱中症対策について調べていた時のこと、陸上自衛隊出身者から熱中症対策として、梅干しを錠剤にしたようなものが自衛隊から支給されていて、真夏の訓練など暑い時に舐めていたという話を聞きました。

そこで、同じものが手に入らないか調べたところ、これの一般向けのものがアサヒから出ているという情報をつかみ、ネットで購入しました。

アサヒ梅ぼし純。封を切ると梅干しの香りが漂う。

現在、夏山登山で使用中ですが、塩飴より素早い塩分補給ができます。

味は梅干しそのもので、梅干しエキスを小さな錠剤にしたような形状です。

梅干しと同じ味がしますので、暑い時に口に放り込んでもすっぱさで唾液で出ますので喉が渇きません。

塩分補給にはとても優秀なものだと思います。

この「梅ぼし純」は駅の売店などに置いている場合もあります。

 

非常食の例

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非常食は、遭難などの緊急事態に食べるものです。

保存が効き、調理が不要で軽くてかさばらない、高カロリーのものであれば何でも良く、上記のような災害時向けに販売されている非常食(レーション、戦闘糧食)や、カロリーメイト、ソイジョイなどのバランス栄養食品、乾パンや飴玉などでも良いでしょう。

また、行動食を余分に持って行き、非常食にするという考え方もあると思います。

用意する量は、多すぎるとザックが重たくなりますので、1日分(3食)~3日分(9食)程度が適当です。

(非常食について詳しくは「登山の非常食は何がいいか?」を読んでみて下さい)

 

食料パッキングのコツ

用意した食料は、包装が捨てられるものは事前にすべて捨ててしまいます。

アルファ米などは、中身を空けて、付属のスプーンや乾燥剤を取り除いたり、調味粉末が入っているものは、あらかじめ粉末をかけてしまい、粉末の袋など余計なゴミは、パッキングの前に捨ててしまいます。

フリーズドライ食品などは、一食ごとに包装してある場合がほとんどなので、例えば卵スープが何食もあるとすれば、中身を全部取り出して、別のジップロック1袋に詰め直すと、山で余計なゴミが出ませんし、かさばりません。

ソーセージなんかも、一番外側の袋はいりませんので捨ててしまいます。

以下、同じ要領でほかの食料もできる限り包装は取り、まとめられるものはジップロックなどにまとめ、コンパクトにしておきます。

こうすることで、ゴミが減り、重量軽減にもなりますし、整理されていますので必要な食料を素早く取り出すこともできます。

塵も積もれば山となるで、包装をはずしただけでもザックはそれなりに軽くなるものです。



野外で食べるごはん~やはりおにぎりが最強か・・

先日、羊蹄山に行った時のこと、頂上でツアーの団体さんが昼食を取っていましが、全員、おりに入ったお弁当を食べていました。

ツアー会社から配られたのだと思います。

日帰り登山や、入山初日の昼食などは、コンビニのおにぎりや、サンドイッチなどを持参する場合があると思いますが、弁当はあまり持って行かないと思います。

弁当がダメということではありませんが、風が吹いているとフタや割り箸の袋が飛ぶ、砂ぼこりが弁当にかかる、ゴミが増えるなどの弊害があります。

実際、この時も風はそんなに強くなかったのに、何名かの登山者が弁当のフタを飛ばし、足場の悪い岩場でフタを追いかけるシーンがありました。

風が弱く、天気が安定している時には弁当でも良いと思いますが、基本的に弁当はピクニック向きです。

強風や雨の中でも、さっと取り出して食べる事ができる「おにぎり」は、野外で食べる食事としては最強だと思います。




看板(下)

プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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