28Oct

とりあえず、家にあるもので登山はできるのだろうか?
登山を体験をしてみたいけど、何を準備すれば良いのかよくわからないといった、山ガールを目指す方から質問を受けました。
非常に新鮮な質問でしたので、やり取りした内容を紹介したいと思います。
初心者さんからのQ&A 26問
帽子ってかぶりますか?
かぶった方が良いでしょう。
帽子がないと登山ができないわけではありませんが、かぶった方が良いでしょう。
ほとんどの登山者は帽子をかぶっています。
帽子をかぶる意味は障害物や日差しから頭部を保護したり、顔に流れる汗を吸収したりなどですが、頭部の保護ならヘルメットをかぶるべきだし、汗止めなら鉢巻やバンダナでも良いし、日よけならスカーフなどを頭に巻いた方が快適です。
そう考えると、帽子はかぶらないよりはマシという程度になります。
実際に山では帽子をかぶらず、タオルで鉢巻をしたり、スカーフを頭に巻いている人を見かけます。
帽子を持って行かない場合でもタオルやスカーフは使い道が多いので持参するようにしましょう。
余談ですがスズメバチは黒いものを襲いやすい性質がありますので帽子をかぶらなければ頭部を攻撃される可能性がなきにしもあらずです。
そういう意味合いでも頭部はむき出しにしない方が安全と言えるでしょう。
登山の時、財布とか家の鍵ってどうしてますか?
必要なものだけを持参しましょう。
家や車の鍵は誰でも持っていきますし、お金も登山の行きかえりで使うこともあるでしょう。
登山口での車上荒らしはたまあに耳にしますので貴重品は車内には置かないようにします。
鍵はアクセサリーや使わない鍵をはずし、必要なものだけを持参することで荷物の軽量化にも貢献しますし、万一紛失した時でも最小限の被害で済みます。
革などの財布はかさばり、重みもありますので、小さく軽い財布にお札だけ入れて持参するのが良いでしょう。
私は登山中は100均で買ったファスナー付きのビニールケースにお札と免許証を入れて持ち歩いています。
汗臭いの嫌なのでスプレーとか汗拭きシートは?
・・・あまりおすすめしません。
そうですねえ・・・。
山では確かに汗臭くなってしましますが、制汗グッズを持参している人は見たことがありません。
持って行って悪いことはないと思いますが、登山に持参する装備は登山をするのに必要最小限度にとどめ、荷物はコンパクトで軽量にすることが基本です。
また、登山中は背中の汗がパンツにしみ込むほど大量の汗をかきますので、スプレーや汗拭きシートがどの程度快適さを提供してくれるかは未知数だと思います。
また、汗拭きシートは使用するとゴミになってしまうので、ゴミの管理も多くなります。
しかし、何泊もの縦走登山をする場合は事情が違い、日に1度は汗拭きシートで全身を拭いている登山者もいます。
制汗グッズを山に持参するのは軽量化という観点からあまりおすすめしませんが、どうしても使用したいのなら、一度持って行ってみて判断されてはいかがでしょうか。
リュック持ってないけど肩掛けカバンでも大丈夫ですか?
肩掛けカバンで登山ができないこともありませんが・・・。
可能かどうかで言えば、荷物がごく軽量で短時間であれば、肩掛けカバンでも登山は可能だと思います。
その場合でもカバンが左右にぶらぶらしないような工夫が必要だと思います。
肩掛けカバンは片方の肩だけに重みがかかり、長時間の歩行や荷物が重い時にはリュックサックにくらべ疲労度が大きくなりバランスも悪くなります。
ですから、安いもので良いので、リュックサックを購入した方が安全に歩行できると思います。
スマホの充電器あった方がいいですか?
持って行くことを強く推奨します。
登山において、スマホは緊急時の通信機器に位置付けられます。
位置情報もわかり、最近では地形図アプリも登場しました。
実際の山岳遭難ではスマホの電池切れが問題となったケースもあります。
充電器を持って行くほか、登山中は必要以外はなるべく電源を切るなど節電し、いざという時に備えましょう。
デジカメ持って行きたい。
持って行きましょう。
最近はスマホだけで写真を撮っている人も多くなりましたが、デジカメを持参している登山者はたくさんいます。
コンパクトタイプが多いですが、写真好きの人は一眼レフを持って行きます。
持参する時の注意点は水濡れや岩にぶつけたり、落としたりしないよう、工夫をして持参するようにしましょう。
スニーカーしか持ってない!
スニーカーでも登山は可能です。
しかし、足に合わない靴はいけません。
登山中は平地では考えられないほど足への負荷や衝撃が長時間続きます。
普段から歩きにくいとか、少しでも違和感がある靴は必ず登山中に靴ずれなどのトラブルを起こします。
足にぴったり合う運動靴などがあればそちらを履きましょう。
だたし、登山道の状態によっては、お気に入りの靴が台無しになりますので、そのあたりは覚悟の上で登山に使用してください。
なお、上級者向きの登山コースを歩く場合や低い山でも登山の頻度が多いのであれば、安いもので良いので、足に合うトレッキングシューズの購入を検討して下さい。
汗拭きのタオルっていりますか?
必ず持参しましょう。
登山においてタオルは汗拭き、日よけ、鉢巻、怪我の処置など汎用性が高い持ち物なので必ず持参しましょう。
人によって使い方はまちまちで、背中に入れて汗をかいたらぱっと取る人もいれば、雨の日に首に巻いてカッパの内側に雨が侵入しないようにしている人もいます。
日差しの強い時には日よけがわりに頭に巻いたり、なかには帽子と頭の間に挟んで日本兵のようにしている人もいます。
私は、手ぬぐいをポケットに入れて、必要な時に汗を拭いたり、鉢巻にしたりしています。
飲みものはペットボトルでいい?水筒持ってないんですが。
ペットボトルで十分です。
ただし、めったなことで破損はしませんが、水筒のように丈夫ではありませんので、落として岩の角にぶつけて穴が開いてしまったなどがないよう、気をつけて扱えば何の問題もありません。
季節やコースの長さにもよりますが、1.5L~3L程度は必要です。
登山頻度が高くなったときに水筒の購入を検討すればよいと思います。
服って何色系がいいとかありますか?
黒以外なら何色でもかまいません。
スズメバチが攻撃する黒だけは必ず避けて下さい。
あとは何色でもかまいません。
しいて言えば、目立つ色が実戦的と言えます。
目立つ色なら、遠くからでも人だとわかりますので、遭難したときには発見されやすいですし、クマからも認識しやすいのではないかと思います。
また、狩猟者がいる地域では人が誤射される事件も起こっていますので迷彩など周りと溶け込む色はなるべく避けたほうがベターだと思います。
山では、白っぽい色、黄色、青、オレンジなどがよく目立ちます。
真っ赤は目立つようで、遠目には意外に山の景色に溶け込む色です。
雨具は折りたたみ傘とカッパ(上だけ)しか持ってない。
傘ではなくカッパを用意しましょう。
テント泊の時に、幕営地で傘を使用している人はいますが、登山中に雨が降ればカッパを着用します。
雨の最中はもちろん、山には草木がありますので雨上がりや、早朝の草つゆで下半身はずぶ濡れになることもありますので、このような時にもカッパを着用することがあります。
どうしても100円カッパの上だけしか用意できないのなら、ないよりはましなので持って行きましょう。
また登山する機会があるのなら、安いもので良いのでカッパは必ず上下用意しましょう。
腕時計はしない方がいい?
腕時計は必需品です。
登山中に時計がなければ、歩くペース配分や途中の時間経過がわからなくなり、日没までに下山可能かどうかなどの予測もできなくなります。
登山中は頻繁に時間を見ますので、腕時計は必需品です。
しかし、登山では場所によっては岩に手をかけたりする場面もありますので、時計に傷が入ったりします。
傷が付くのが嫌であれば高価な腕時計は使用しないほうが良いでしょう。
携帯電話は本来バッテリーを温存するため電源を切りたいところですが、どうしても時計がない場合は携帯で時間を知るしかないでしょう。
安いものでよいので、腕時計を用意しましょう。
ポケットティッシュはいりますか?
必ず持って行って下さい。
鼻をかむこともありますし、目に虫が飛びこんだり、怪我をしたときに傷口を拭いたりとポケットティッシュは必要です。
それから、いくら入山前に用をたしても、登山中に催してしまうことは十分あり得ます。
それなりの量を持って行きましょう。
近年、山のトイレ問題が言われており、日本百名山など登山者が多い山を中心に携帯トイレの使用が推奨され、使用後の紙も持ちかえるのが常識化してきています。
いずれにせよ、ポケットティッシュは必要になりますので忘れないようにしましょう。
普段運動してないからすぐにバテそう・・・。
大丈夫です。
登山はスタミナが切れないよう、ゆっくりと歩くものです。
息が上がってしまうようなハイペースでは誰だってバテてしまいます。
また、登山パーティーはリーダーが一番体力のない人に合わせてペース配分を行うものです。
経験のあるリーダーと一緒に登る限りでは、バテてしまったとしても、きちんとあなたをサポートしてくれますので心配いりません。
ただし、普段から運動をしていないと下山した翌日は歩くのがつらいほどの筋肉痛が待っています。
運動する習慣がない方でも、普段から歩く、階段を使うなど下半身が衰えないよう心がけましょう。
おやつ持って行きたいんですが。
なんでも好きなものを持って行きましょう。
登山に適したおやつ(行動食といいます)として、飴やチョコレート、ビスケットなどがありますが、甘いものはすぐにエネルギーになりますので食べたい時にはどんどん食べて下さい。
登山に適さないおやつというのは特にありませんが、チョコレートは溶けやすいので注意が必要です。
山でおやつを食べるのも登山の楽しみのひとつです。
休憩中、おやつをよく食べている人ほど元気でバテないものです。
頂上とかでお弁当食べられますか。
登山中はほとんどの場合、お昼を挟みます。
登山中はほとんどの場合、お昼を挟みますので、途中で昼食をとることになります。
ほとんどの登山者は頂上付近や見晴らしの良い場所、休憩しやすい場所などを見つけて昼食をとっています。
天気にもよりますが、頂上付近は風が強くて汗冷えしてしまうことがありますので、寒さを感じる時には、風の当たらない場所に移動した方が良いでしょう。
昼食ですが、基本的に山ではおにぎりと若干のおかずという組み合わせが適していて、普通のお弁当は不向きです。
風が強かったり、雨が降ってきた時に、お弁当は非常に食べづらいものです。
ですが、山でお弁当を広げるのも登山の楽しみのひとつだったりしますので、天気が良い時にはお弁当でも良いと思います。
お弁当のおかずは暑さでも腐りづらいものにしましょう。
ズボンはジーンズかジャージだけ。ジャージでいいですか?
ジャージにして下さい。
登山に適したズボンはポリエステルなどの化学繊維のもので伸縮性、速乾性、保温性があるものか、ウール製のものと言われています。
また、適さないものとして伸縮性、速乾性、保温性がない木綿製品が上げられますのでジーンズは不向きということになります。
最近は伸びるジーンズがありますので、ダメかと言われれば絶対ダメではありませんが、ジャージの方が速乾性がありますので、やや登山向きと言えます。
なお、ジャージは登山用としては保温性が足りませんが、夏山の低山なら問題ないと思います。
靴下がくるぶしまでの短いのしか持ってないんですが・・
足首が隠れる靴下にして下さい。
靴下の丈が短い靴下は、くるぶしなど肌が露出した部分に靴が当たって、その部分が擦れてしまう危険があります。
ですので、すねまである靴下を用意して下さい。
着替えって持って行くべきですか?
替えのTシャツ1枚は持って行きましょう。
替えのTシャツを1枚持って行くと、汗でびしょ濡れになり寒くなってしまった時などは非常に有効だと思います。
どこで着替えるんだという問題はありますが、夏山での低体温症はすべて衣類の濡れが原因です。
最近では登山や自転車競技用の肌着として、吸水、速乾、保温性に優れたシャツが出回るようになりました。
このようなシャツをお持ちであれば、まず登山中に着替えることはないと思いますが、下山後、家に着くまでの間、シャツが濡れていると不快ですし、汗冷えしてしまうのでやはり替えのTシャツ1枚は持って行きましょう。
山にトイレないけど途中で行きたくなったら?
トイレ事情について調べておきましょう。
最近は山で用をたすことが、はばかられる時代になりました。
かと言って、生理現象ですので、するなとも言えません。
なるべく、そうならないよう登山前に登山口から一番近いトイレを探しておいて、用をたしてから登山を開始するようにしましょう。
途中でどうしても我慢できなくなった時は、人が来ない場所を見つけてそっとするしかありませんが、登山者が集中する山では環境に配慮して携帯トイレの使用を義務づけているところもあります。
入山前にあらかじめトイレ事情について調べておきましょう。
沢とか湧き水って飲めるんですか?
飲めるところもあります。
山で飲む湧水はおいしくて元気が出るものです。
ですが、基本的に「飲用可」と立て看板がある場所はありません。
飲む場合は自己責任という事でしょうが、昔から飲める水として認知されている場所はそれなりにありますので、ネットで検索してみて下さい。
なお、北海道一円はキタキツネが媒介するエキノコックスという命にかかわる恐ろしい寄生虫の汚染地域ですので、飲める湧水で有名な場所以外は感染する可能性がありますので、基本的に生水は飲まないで下さい。
日帰りだけど懐中電灯とかいりますか?
登山の基本に忠実であれば日帰り登山でもライトは必要です。
通常は頭に着けるヘッドランプを持って行きます。
なぜ、日帰り登山でもヘッドランプが必要かというと、山では捻挫など、些細なアクシデントひとつで歩けなくなる、あるいは歩くスピードが遅くなるなどして、日没までに下山できない状況が発生する可能性があるからです。
救助を呼んでもすぐに見つけてくれる保証はありません。
夜間の山中は真っ暗でリュックの中の物ひとつ出すのも苦労しますし、山道は足元が悪いのでつまずいたり、非常に危険です。
そんな時にライトがあるのとないのとでは大違いです。
ヘッドランプがないのであれば、小型のペンライトでも良いでしょう。
めったなことで、ライトが必要になることはありませんが、登山装備の基本として覚えておいて下さい。
暑くても長袖がいいんですか?
はい、長袖にして下さい。
山では木の枝が飛び出ていたり、転倒したり、虫に刺されることもあります。
また、肌を露出している方が熱中症になりやすいとも言われています。
薄いものでいいのでアンダーウエアの上には長袖(中間着といいます)を着ましょう。
暑ければ袖をまくったり、あるいはアンダーウエアがTシャツタイプなら一時的に長袖を脱いで体温調整することもできます。
中間着の素材はポリエステルのものが主流です。
日帰りだけど防寒対策って必要ですか?
防寒対策は必須ですよ。
標高が100m高くなれば気温は約0.6℃下がりますし、登山口で風がなくても頂上では風が強いことがよくあります。
今まで汗をかいていたのに、頂上付近で急に体が冷えて来たりするものです。
そんな時のために、フリース1枚とウインドブレーカー1枚をリュックに入れておきましょう。
頂上などで、長く休んでいると汗冷えして体力を消耗してしまいますので、寒いなと思ったら、さっとウインドブレーカーやフリースを着るようにします。
防寒対策を甘くみると、極端な場合、夏山でも悪天候の時には低体温症で凍死してしまうことがありますので気をつけましょう。
手袋ってしますか?
はい。して下さい。
手袋をしている登山者は少数派ですが、登山では木の枝をつかんだり、岩に手をかけたり、転んで手をつくことも考えられます。
軍手で十分ですので、初心者は特に手袋をした方が安全だと思います。
絆創膏とか救急セットいりますか?
簡単な救急セットは必要です。
怪我、虫刺されなどのために、簡単な救急セットは必要です。
ただし、山に慣れたパーティーに参加する場合は誰かが代表して救急セットを持っていくと思いますので、確認してみましょう。
誰かが救急セットを持って行く場合でも、体調に不安がある場合は、持病薬など自分に合ったものを用意する方が良いでしょう。