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元山岳部部長の登山講座

登山靴の手入れ(革製登山靴)

登山靴の手入れ(革製登山靴)

登山靴の手入れの仕方について説明していきます。

今回は革製登山靴の手入れ方法です。




登山靴手入れの基本的な考え方

登山靴の手入れ方法ってそんなに難しいものではありません。

靴の材質に限らず、「クリーニング(泥落とし)→防水処理→乾燥」という流れはどの靴も一緒です。

革製登山靴になると、クリーニングと防水処理のほかに、「保革剤」を塗る(革に栄養を与える)作業が加わります。

革製品はどのようなものでも定期的に保革剤を擦り込み、栄養を与えなければ、乾燥してひび割れするなど劣化してしまいます。

一方で、保革剤には革を柔らかくする成分が含まれるものがあり(革が軟化しないタイプの保革剤もあります)、保革剤の塗り過ぎで、靴が型崩れしてしまう場合があります。

どの程度が塗り過ぎなのかの判断は難しいのですが、登山靴の場合は、一般の革製品よりも使用環境が過酷ですので、薄くても良いので保革剤の塗布は山行後毎回行った方が良いと思います。(長期間使用しない場合でも革は徐々に乾燥しますので定期的な保革剤の塗布が必要です。)

革製登山靴といっても、革の表面がつるつるした「表出し革」「銀面」「フルグレインレザー」などと呼ばれる革、表面がざらざらした「ヌバック」や「スエード」「裏出し革」などがあり、手入れ方法にも若干の違いがあります。

現在では色々なメンテナンスグッズがあり、手入れの仕方もメーカーによって統一されていませんが、ここでは手入れ方法の一例を紹介します。



手入れ方法

・ヌバック・スエード・裏出し革の登山靴の場合

ヌバックというのは革の表面を毛羽立てて仕上げたものを言います。

スエードと裏出し革は、革の裏側ですから、ざらざらしています。

ヌバックもスエードも裏出し革も、表面がざらざらしているという共通点があります。

1 クリーニング

ソールの汚れを落とします。

いらない歯ブラシなどを使用して、ソールの裏面や側面に水道水をかけて、泥をきれいに落とします。

挟まった小石を取るのには先の尖ったもの(マイナスドライバー、千枚通しなど)が便利ですが、雑にやるとソールを傷つけますので気をつけます。

靴ひもをはずします。

靴ひもはつけっ放しで汚れたまま使用していると、登山中に切れることがあります。切れそうになっていないか点検し、汚れがひどい場合は洗濯しましょう。私は洗剤をつけ、洗面所で簡単に洗っています。

靴の中も点検しましょう。

中敷きをはずし、靴の中のほこりや異物を取り除きます。

常時スパッツ(ゲイター)をつけている人なら中が汚れることはほとんどないと思いますが、泥などがついていたら、濡れたウエスなどで適当に拭き取ります。

靴本体(アッパー)の汚れを落とします。

汚れの度合いによりますが、比較的汚れが少ないのなら、濡れたウエスで何回か拭き取れば良いでしょう。

汚れがひどい場合は、水道水をかけてウエスや柔らかいブラシで擦ります。

バケツやたらいなどを使っても良いでしょう。

もっと丁寧に汚れを落としたい時には、家庭用の中性洗剤を使用しても大丈夫ですが、専用のクリーニング剤(ニクワックス クリーニングジェル スポンジAやコロニル アウトド アアクティブクリーナーなど)もあります。


NIKWAX(ニクワックス) クリーニングジェル スポンジA EBE821 【洗剤】


[コロニル] アウトドアアクティブ クリーナー

2 防水

防水剤(コロニル レザージェルなど)を使用し、アッパー全体を防水処理します。

※コロニルレザージェルは防水効果のみのタイプ(保革効果はない)で、ヌバックやスエードの風合いを損ないません。


[コロニル] 防水ジェル レザージェル 230ml CN044019 Colorless

3 保革

アッパーの革の部分に保革剤を塗ります。

保革剤や防水剤には固形タイプや液体タイプ、スプレータイプなどがあります。また、保革だけのタイプ(コロンブス ミンクオイルなど)もあれば、保革防水兼用タイプ(スノーシールやコロニル アウトドア アクティブレザーワックスなど)もあります。

いずれのタイプも塗り込んだあと、余分なワックスを拭き取った後に、1日程度乾燥させ、靴ブラシで磨き上げます。

なお、固形タイプや液体タイプの保革剤はスプレータイプに比べ、効果や持続性は高いのですが、ヌバックやスエード、裏出し革に塗った場合、起毛した柔らかい風合いはなくなってしまいます。

ヌバックやスエードの柔らかい風合いをどうしても変えたくない場合は、スプレータイプ(コロニル アウトドア アクティブ ビーワックス スプレーなど)を使用します。

登山のように過酷な環境で靴を使用する場合は、革の保護を優先して固形タイプ、おしゃれ重視ならスプレータイプになると思います。


[コロンブス] ミンクオイル 固形タイプ保革のみ


SNO-シールワックス3.5オンスチューブ 固形タイプ保革防水兼用


COLLONIL(コロニル) アウトドアアクティブレザーワックス 固形タイプ保革防水兼用


Collonil(コロニル) アウトドアアクティブビーワックススプレー スプレータイプ保革防水兼用

4 乾燥

ゆっくり乾燥させ、乾燥後は通気性の良い場所で保管します。

・表出し革・銀面・フルグレインレザーの登山靴の場合

表出し革、銀面、フルグレインレザーとは表面がつるつるした革のことです。

1 クリーニング

「ヌバック、スエード・裏出し革の登山靴の場合 1クリーニング」のやり方と同じです。

2 保革・防水

スノーシールやコロニル アウトドア アクティブ レザーワックスなど保革防水兼用タイプのワックスを擦り込み、余分なワックスを拭き取った後に、1日程度乾燥させ、靴ブラシで磨き上げます。

表出し革は、これだけでも防水効果が出ます。

3 乾燥

ゆっくり乾燥させ、乾燥後は通気性の良い場所で保管します。

※革靴の手入れ考察

革靴の手入れの基本は、「クリーニング→防水→保革」、または「クリーニング→保革→防水」ということなのですが、先に紹介した保革防水兼用剤(スノーシールやコロニル アウトドア アクティブ レザーワックスなど)があれば、「クリーニング→保革防水兼用剤」でも問題ありません。筆者はクリーニング→スノーシール(保革防水兼用剤)で長年手入れを行っていますが防水効果も革の栄養状態も良好です。



注意点

アッパーと靴底が糸で縫われている登山靴の例

出典:ゴローS-8

上の写真のように、アッパーと靴底が糸で縫われている(出し縫いと呼ばれています。)革製登山靴の場合、縫い目や、縫い目に近い部分に保革剤を大量に塗ってはいけません。アッパーとソールの連結が弱る原因になります。(以前、登山靴専門店から注意を受けました)

なお、このコバにある縫い目部分は新品の時、目止め剤が塗られて保護されています。目止め剤は擦れてなくなりますので、なくなったら新たに目止め剤を塗ります。

目止め剤は専用のもの(リキシームなど)が売っています。

良いか悪いかは別として、私は目止めにホームセンターで買ったコ―キング用シリコンを塗っていますが、今までに特に不具合は感じたことはありません。


ELASTON(エラストン) 防水シーム剤 リキシーム 【日本正規品】

 

手入れあれこれ

革製重登山靴の昔のメンテナンス方法は、ミンクオイルや野球のグローブに塗る固形オイルをたっぷりと塗るだけでした。

ミンクオイルを塗るだけでは防水効果はひと雨当たるとすぐになくなってしまいましたが、それ以外は特に不具合を感じませんでした。

現在の登山靴は保革に加え、防水という考え方が主流となりました。

今回は革製登山靴の手入れ方法の一例を上げましたが、人によっては、クリーニング→防水→保革ではなく、クリーニング→保革→防水という考え方もあります。

どちらが良いのかを決めるのは難しく、使用するワックスの種類や登山靴の革の状態によるのだと思います。

どちらの方法で行っても靴に悪いということはないでしょう。

個人的に思うことですが、ヌバックやスエード、裏出し革の登山靴は表面が毛羽立っているので、水分がしみ込みやすいでしょうから、防水剤を革の奥までよくしみ込ませるという意味で保革の前に防水を行うのだと解釈しています。

一方で表出し革の登山靴は表面がつるつるしていて、革表面に最初から撥水性がありますから、保革・防水効果のあるワックスを塗って磨くだけで良いのだと思います。

これは、ビジネスなどで履いている普通の革靴は靴ずみだけを塗って、保革・防水をしているのと同じ理屈だと思います。

しかし、表出し革の登山靴の場合でも、使い込めばあっという間に表面は擦れてざらざらに毛羽立ってしまい、ヌバックと同じ状態になります。

こうなってしまったら、表出し革が持っている撥水効果はもう期待できませんので、ヌバックやスエード、裏出し革と同じ方法で手入れすべきだと考えます。

次回はトレッキングシューズなどの布製登山靴の手入れ方法について紹介します。






プロフィール

フリーライター。元船員、航海士。
学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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