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元山岳部部長の登山講座

沢登り。スパイク地下足袋の使用限界を検証した

沢登り。スパイク地下足袋の使用限界を検証した

沢登りだけではなく、普通の登山道にも絶大なグリップ力を持つスパイク地下足袋。

山では万能なスパイク地下足袋も、スパイクが減ると沢登りでは使用できなくなります。

スパイクが減って、沢登りを引退したスパイク地下足袋は、寿命まで普通の登山に使用できます。

今回はスパイク地下足袋の使用限界について検証しました。




意外に知られていないスパイク地下足袋の魅力

スパイク地下足袋は、沢や一般の登山道において、万能なグリップ力を発揮します。

価格は3000円~5000円で、沢登りシューズやトレッキングシューズより安いのが魅力です。

沢登りでは靴を履き替えなくても、沢、尾根道、どちらも歩けてしまいます。

地下足袋は靴ずれとは無縁です。サイズさえ合えば足にフィットするのも大きな魅力です。

 

スパイク地下足袋の短所は?

当然ながら、所詮は足袋なので靴より寿命は短くなります。

とはいっても、スパイク地下足袋は意外に丈夫に作られていますので、月に1~2回程度登山をしても、履きつぶすまでに2年程度はかかります。

登山靴も2~3年履けば、ソール交換(10000円程度)が必要になるので、ランニングコスト的には登山靴と同等か、安くつきます。

あとは、足袋なので、水濡れすれば靴下までずぶ濡れになります。

岩や木の根っこに足をぶつけると、生地が薄いので痛いですし、下りでは先が割れているせいで指の股が痛くなるので、慣れが必要です。

登山靴のソールのようなクッション性がありませんので、足腰が強くない人には登山靴にくらべ、膝や腰にダメージを受けやすいです。

一方で、脚力が低下し、登山靴が重く感じる人には地下足袋は向いていると言えます。



スパイクの減りを検証。新しいうちは沢登り用、スパイクが減れば普通の登山用へ

さて、スパイク地下足袋は沢登りの靴としては、ぬめり床や岩、高巻きの時の草つきなど、道の状況に関係なく、万能なフリクションを発揮します。

しかし、スパイクが減っているのに沢登りに使用すると、思わぬ転倒事故を起こします。

では、どの程度使用したら沢登りには使えなくなるのでしょうか?

1 新品のスパイク地下足袋

・マルゴ製スパイク地下足袋

新品のマルゴスパイク地下足袋。

スパイクは約4mm。

マルゴのスパイク地下足袋ですが、新品時のスパイクの長さは約4mmでした。

・日進製スパイク地下足袋

新品の日進スパイク地下足袋。

スパイクは約3mm。

日進のスパイク地下足袋ですが、新品時のスパイクの長さは約3mmでした。

2 沢登りに約10回使用したスパイク地下足袋

・マルゴ製スパイク地下足袋

この「マルゴ」製スパイク地下足袋は、沢登りに10回程度使用しています。

約10回使用したマルゴのスパイク地下足袋。

スパイクは約2mmに減った。

スパイクは全体的に2mmに減っており、スパイクが脱落したり、抜けかかっていたり、沈み込んでいるところが片足に2、3カ所あります。

スパイクの脱落。

スパイクの抜けかかり。

スパイクの沈み込み。

この状態では、スパイクを過信しなければ沢登りにはまだ使用可能ですが、油断すると危険な転び方をします。

先日、この地下足袋を履いて、十勝幌尻岳(1846m)の登山中、オピリネップ川でスパイクが滑って転倒しました。

以後、この地下足袋は沢登りを引退し、日帰り登山用におろしました。

接着剤が剥がれはじめているところもあります。

サイドのゴムが剥がれ始めている。

日帰り低山用ならあと数年は履けそうです。

・日進製スパイク地下足袋

次は、「日進」製のスパイク地下足袋です。

約10回使用した日進のスパイク地下足袋。

スパイクは約2mmに減った。

この地下足袋も沢登りに10回程度使用しています。

スパイクは全体に2mmまで減っていますが、脱落や沈み込みなどはありません。

しかし、前述のマルゴスパイクと同じく、ここまでスパイクが減ると、沢登りでは危険な転び方をすることがあります。

数年前にこの足袋を履いて、日高のコイカクシュサツナイ川で、ぬめった倒木の丸太の上を渡っている時に、スパイクの効きが不十分で滑って転倒しました。

この地下足袋も沢登りを引退し、日帰り登山用に下ろしました。

「日進」のスパイク地下足袋は、「マルゴ」「力王」「壮快堂」などで採用しているスパイクとは違い、1か所にスパイクピンが2本出ています。

新品の日進スパイク。細いピンが1カ所に2本

1本のスパイクピンの太さは「マルゴ」のピンの約半分ですが、ダブルになっている分、マルゴのピンよりもよく効きます。

スパイクピンの脱落も起こりませんでした。

ですが、日進のスパイクピンは減りがやや早いのが残念なところです。

購入から約10年経過していますが、作りはしっかりしていますし、破れや接着剤の剥がれなどは起きていません。

普通の登山なら、まだまだ使用できそうです。

 

まとめ

スパイク地下足袋を沢登りに使用する時は、スパイクピンが2mm程度まで減ると滑りやすくなります。

沢登りの行程や、体重、背負う荷物の重さにもよりますが、10回程度の沢登りで2mmまで減り、物によってはスパイクの一部が脱落することもあります。

スパイクが2mm程度に減ってしまっても、アッパー、ソールともに十分な強度がありますので、布が破れたり、接着剤が剥がれてくるまで日帰り登山用として使用できます。

沢登りシューズは、フエルト底で10回程度、ラバー底で30回程度の使用でソール交換が必要になると言われています。

沢登りシューズのソール交換は、DIYでする人もいますが、業者に依頼すれば6000円~10000円程度かかります。

スパイク地下足袋は、安いもので3000~4000円程度です。

年間10回程度沢登りをする人なら、年に3000~4000円の投資です。

スパイクが減ったあとに、スパイク地下足袋を日帰り登山に使用すれば、トレッキングシューズや登山靴のソールの減りも押さえられます。

地下足袋は消耗品ですが、高いフリクションと丈夫さなど、トータルで考えるとコスト的には決して高いとは言えないのです。

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プロフィール

フリーライター。元船員、航海士。
学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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