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元山岳部部長の登山講座

山ガール必見!登山と汗の臭い対策

山ガール必見!登山と汗の臭い対策

登山では、大量の汗をかきます。

そして、滅多なことでは着替えはできません。

シャツ、下着、ザックなどは大量の汗を吸って、異臭を放ちます。

今回は登山で気になる汗の臭い対策についてのお話です。




なぜ、臭くなるか?

登山中に臭くなるのもは色々ありますが、気になるのはアンダーシャツ、中間着、下着、ザックの背中に当たる部分、ウエストベルト、ショルダーベルトあたりでしょう。

これらの部分は、頭部や背中、脇から出た大量の汗の通り道になっています。

汗を止めることはできませんので、臭くならない生地のものを着用すれば良いのですが、そういうわけにもいきません。

さかのぼる事30年以上前は、アンダーシャツは木綿のTシャツ、中間着はウール100%のカッターシャツ、ザックはキスリングという分厚い木綿のザックでした。

この時代も汗臭くはなりましたが、今どきのウエアーやザックのような鼻をつく異臭は放ちませんでした。

昔は化学繊維のものがほとんどなかったからあまり臭くなかったと推測できます。

ニオイの犯人はポリエステルなどの化学繊維です。

現在は下着、アンダーシャツ、中間着、ザックなど、ほとんどが化学繊維です。

吸水性が高いということで化学繊維が多く使われているようですが、化学繊維は天然繊維にくらべ雑菌が繊維の中で繁殖しやすく、異臭を放つとされています。

 

化学繊維製ウエアの防臭対策はできるのか?

登山用衣類には吸水性、速乾性、保温性が必要で、それらが研究され続けた結果、現在の素材に至っています。

吸水性、速乾性、保温性は命にかかわる問題でもあるので、ニオイは後回しということになるのでしょう。

だから仕方のないことなのでしょうか?

最近の登山用ウエアは防臭効果を歌っている商品がけっこうあります。

防臭繊維を混ぜたものや、銀イオンの効果を持たせたものなどがあります。

何も防臭対策されていないポリエステルの普通のスポーツシャツなどは、汗をかいて少し時間が経てばすぐにモヮっと臭ってきます。

それにくらべ、防臭性があるとされるシャツは、確かに一定の防臭効果はあります。

筆者は、防臭性があるとされるアンダーウエア「フェニックス デオシーム」や「モンベル ジオラインL.W.T」を長年着用しています。

フェニックスデオシーム(左)とモンベルジオライン(右)

確かに、従来のスポーツシャツにくらべるとかなり臭いは押さえられています。

しかし、化学繊維特有のあのニオイがまったくしないというところまではいきませんし、きれいに洗濯をしていても、経年使用で段々と臭いは強くなっていきます。

そして、いくら防臭効果のある衣類を着たとしても、化学繊維でできたザックの背中やウエストベルト付近は大量の汗を吸ってザック自身が異臭を放つから、着ているシャツに臭いが移ってしまうということになります。



防臭対策~ちょっと高いが、やっぱり天然繊維

まずはザックを清潔にする

つまるところ、ニオイの問題はその人がどこまで気にするのかによります。

化学繊維の登山用ウエアを着ている限り、化学繊維の発する特有のニオイは諦めなくてはいけません。

しかし、ウエアのニオイは諦めても、ザックを定期的に洗濯することでかなりニオイは防げます。

ザックを毎回洗濯するわけにもいきませんので、普段は下山後に背中やウエストベルト、ショルダーベルトにファブリーズや除菌アルコール(筆者はキッチン用を使っています)をたっぷりとスプレーしておくだけでも、かなりニオイに差が出てきます。

下山後はザックに除菌スプレーも効果的

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もう少しニオイを押さえたいと思っている人は、とりあえずザックのメンテナンスから始めてみて下さい。(ザックの洗濯方法については「ザックが臭い!ザックを洗って快適登山」を読んでみて下さい。)

ウエアを天然繊維のものに

登山中にザックはどうしても臭ってしまいますが、ウエアについては、解決方法があります。

それは、アンダーシャツや下着、中間着を天然繊維のものに替えることです。

化学繊維のものより、ややお値段は高くなりますが、もう少しニオイを押さえたいと思っている人には天然繊維のものがおすすめです。

・天然繊維の肌着(ベースレイヤー)、下着(アンダーウエア)

肌着や下着にはシルク製やウール製など、天然繊維のものがあります。

肌着や下着だけでも天然繊維のものに取り替えただけで、ニオイはずいぶんとなくなります。

春秋冬の登山に、ウール製のベースレイヤ―を着用するのは定番ですが、夏山ではポリエステル製のベースレイヤ―が定番です。

夏山でどうしてもウエアのニオイが気になる場合は、シルク製の肌着や下着が有効です。

シルクはポリエステルに比べると吸汗速乾性はやや劣りますが、比較的乾きやすい素材であり、防臭性に優れています。

モンベルスペリオルシルク(左)とモンベルスーパーメリノウール(右)

 

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・天然繊維の中間着(行動着)

天然繊維の中間着はラインナップが少ないのですが、モンベルやアイスブレーカーなどの一部メーカーにウールを主体とした中間着があります。

ウール製中間着は、冬、春、秋など涼しい季節向けの商品が多く、夏山用はほぼありません。

ポリエステルなどの化学繊維製の中間着を着ていたとしても、下着やベースレイヤ―をシルクやウールに替えるだけでもずいぶんと臭わなくなります。


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天然繊維と化学繊維の機能面を比較

シルク製とポリエステル製を比較した場合、吸水性と速乾性はポリエステルがやや有利です。

保温性は生地の加工方法にもよりますが、登山用ポリエステル製高機能シャツとシルクシャツを比較した場合、ポリエステル製の方がやや温かく、防臭性についてはシルク製が断然有利です。

ウール製とポリエステル製を比較した場合、吸水性と速乾性はポリエステル製が有利です。

保温性はウール製がやや有利で、防臭性はウール製が断然有利です。

化学繊維製品が進化を遂げたおかげで、天然繊維製も化学繊維製も性能にほとんど差がなくなりましたが、防臭性能はまだまだ天然繊維には追いつけないようです。

木綿はNG

天然繊維と言えば、木綿があります。

木綿は防臭性は高いのですが、保温性と速乾性がとても低く、登山には不向きです。

昔は化学繊維製の高機能なシャツがありませんでしたので、アンダーに木綿のTシャツを着ていましたが、汗冷えするので登山には木綿製品はなるべく着用しない方が良いでしょう。

こんなユニークな商品も

「なまらグッド・隊長!足が臭いません!」という超強力消臭除菌スプレーをご存じでしょうか。

もともとは訓練や災害派遣でお風呂に入れない自衛隊さん向けに販売されていたものなんですが、このスプレーのすごいところは、汗やアンモニア臭などニオいのきつい箇所に3~4回スプレーするだけで瞬時ににおいがなくなるところです。

さらに、このスプレーは、成分がアルコール系ではなく、「次亜塩素酸水(有効濃度50ppm以上)」なので、消臭効果はもちろん、まな板、食器などの除菌やウイルス対策にも有効です。※新型コロナウイルスに対して、次亜塩素酸水が有効とされ、拭き掃除には濃度80ppm以上、かけ流して使用する場合35ppm以上とされています。

臭う室内や他人が使ったトイレのあと、臭うテント内に空中散布しても消臭効果があります。

引火性がないので火を使っていても安全です。

ザックやシャツに噴霧してもOKですし、手足や脇など、皮膚に直接噴霧してもOKです。

先日、製造元の社長さんが某自衛隊駐屯地の売店で実演販売しているのを偶然見ましたが、口臭や歯周病にも効果があると言い、口の中に何度も噴霧していました。よほど安全だということなのでしょう。

ペットがいる室内で使用しても安全だそうです。

筆者も登山で汗だくになったシャツとザックの背中に、この「なまらグッド」を噴霧してみましたが、本当に瞬時ににおいがなくなりました。(※しばらく洗濯していない、かなり汚れたザックにも試してみましたが、噴霧した時は消臭効果がありましたが、時間が経つとまたにおってきました。汚れの激しいザックは洗濯しましょう)

今のところ、通販では280mlタイプしか出ていないようですが、携帯用の100mlタイプも出ています。

この商品、注目されはじめたばかりですが、今後、真夏の登山や連泊の縦走登山の時には臭い対策の強い味方になりそうです。

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まとめ

登山中にかく大量の汗による、ニオイの問題は衣類をウールやシルク製品に替える、ザックは定期的にメンテナンスすることで、ある程度解決できます。

間違ってはいけないのは、ウエアをウールやシルクに替えたとしても、汗をかけばどんな繊維でもニオイはします。天然繊維を着用することで、化学繊維特有の異臭がしなくなるということです。

また、ウエアを天然繊維に替えたとしても、化学繊維のザックは汗で臭くなりますので、ザックのニオイが服に移ることは防げません。

ニオイは登山が長期になればなるほど、きつくなってきます。

縦走など泊を伴う登山では、1日に1回ウエットティッシュなどで体を拭くだけでもずいぶん快適になります。






プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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