17Feb

ザックの手入れ。洗濯方法とは
下山後のザックは泥と汗をたっぷり吸って、においを放ちます。だから洗濯がしたい。
その昔、山の先人達から「ザックは洗っちゃいかん!」と教えられたせいで、洗濯することに躊躇してしまいます。
しかし、化繊でできた現在のザックはたっぷりと汗を吸うと異臭を放ち、とっても不快です。
においに耐えかね、ある時、恐る恐るザックを洗ってみました。すると、ザックはきれいになり、においもなく、型崩れもしていません。
今回はザックの手入れや洗濯方法について説明します。
ザックは洗うな?
約60年洗濯していないキスリング

60年前のキスリング。洗濯はしていない
キスリング(木綿でできた大型ザック)時代、ザックは洗わないものでした。
キスリングは現在のザックのように、パットもフレームも入っていないただの巨大な布袋でした。
なので、新品の時のバリっとした生地の腰が失われると、ザックがヘナヘナになり、パッキングが難しくなってしまいます。
キスリングの場合、綿100%ですから、経年使用でほこりやカビのにおいはしてきますが、化繊のザックのようなきつい異臭は放ちませんでしたので、洗濯しなくてもそれほど気にならなかったのです。
現在のザックはキスリングと違い、部分的に厚いパッドや金属のフレームが入っているので、たとえ洗濯で生地の腰が弱くなったとしてもパッキングが難しくなるほど型崩れはしません。
洗濯方法についてはザックにより、丸洗いや部分洗いなどがあります。
以下に丸洗いの方法について紹介します。
ザックの洗濯の仕方
一般的な洗濯方法
まず、メーカーなどが推奨する一般的な洗濯方法(丸洗い)について説明します。
- 1 ウエストベルト、金属フレームなど、ザックの分解できる部分をはずし、ファスナーは開放します。
- 2 たらいなどにぬるま湯を入れ、中性洗剤を適量入れます。
- 3 たらいに入れ、押し洗いします。
- 4 水でよくすすぎ、陰干しします。乾燥したら組み立てます。
洗濯機を使用した洗濯方法
ザックの洗濯は、上記のような手洗いによる洗濯方法で間違いありませんが、筆者がやっている洗濯方法は下記のとおり洗濯機を使用します。
- 1 ウエストベルト、金属フレームなど、ザックの分解できる部分をはずし、ファスナーは開放します(金属などのフレームは洗いません)。バックル類は暴れますので連結しておきます。※ザックによってはフレームがないものや分解できないものがあります。
- 2 洗濯機に普通の洗濯洗剤を少なめに入れるか、中性洗剤を適量入れます。
- 3 大きな洗濯ネットに入れ、おしゃれ着モードなどの弱水流か、標準モードで時間は短め(5分程度)に設定し、よくすすぎます。
- 4 脱水はしないか、1分程度にし、陰干しします。乾燥したら組み立てます。
- ※ なお、洗濯機に入らない大型ザックは浴槽で手洗いします。
洗濯機を使用して実際にザックを洗濯した様子については「ザックを洗濯してみる。」で詳しく紹介していますので読んでみて下さい。
丸洗い禁止のザックは絶対に丸洗いできないのか?

購入17年目のザック
筆者の大型ザック(セロトーレ社製)は、取説では丸洗い禁止となっていますが、丸洗いをしています。
購入から17年経ちますが、異常は出ておりません。
このほかに、ミレーとセロトーレの小型ザックもあり、こちらも丸洗い禁止となっていますが丸洗いしています。
筆者の場合、ザックの洗濯はシーズンの終わりに1回程度と、すごく汚れた時にだけ行っており、必要最小限しか洗濯をしていませんので、この方法でも良いのかも知れません。
経験上、丸洗い禁止の場合でも、やさしく洗濯すれば大丈夫な場合が多いと思いますが、心配な場合は取扱説明書に従った洗濯方法が無難だと思います。
普段のメンテナンス
普段のメンテナンスといっても、さほど大した事はやりません。
下山したら、大きな汚れは水で濡らしたウエスなどで拭き取るか、汚れがひどい時は部分洗いしても良いでしょう。
汗を吸った背中部分、ウエストベルト、ショルダーベルトはファブリーズか、台所用アルコールをたくさん振りかけ、ザックをよく乾燥させます。

アルコール除菌スプレーだけでも異臭は少なくなる
乾燥したら、残った泥をさらにブラシやウエスなどで落とし、ザックを裏返して中に入った細かいゴミを落として終了です。
後は湿度が高くない部屋に保管します。(湿度が高い場所に保管すると裏地のポリウレタンの劣化が早まります→「ザックの裏地が劣化!ポリウレタンを剥がす」)
先ほど、洗濯はあまりしないと言った理由ですが、どうしても、昔教わった、「洗濯によるザックの型崩れ」が気になってしまいますし、メーカーによっては部分洗いしか推奨してないものも少なくないので、未だに洗濯は必要最小限に留めています。
ザックがそんなに汚れていなければ、アルコールやファブリーズだけでも、けっこうにおいはなくなりますので、シーズンに1~2回しか洗濯はしていません。
洗剤について
水で落ちる汚れは水でじゃぶじゃぶ洗うのが良いのですが、洗剤を使用するのならザックに限らず登山用品の多くは「中性洗剤使用」という言葉がよく出てきます。
中性洗剤を使用する理由は生地に使用されている素材や接着剤などの材質を痛めないということです。
ほとんどの洗濯洗剤は「弱アルカリ性」ですから、洗剤の成分が洗濯物に残ると材質の劣化を招くということです。
洗剤は中性より、弱アルカリ性のもののほうが汚れはよく落ちます。
しかし、洗剤の濃度が濃すぎると生地を傷めることがあるので、おしゃれ着や大切なものは中性洗剤を使用するということなのです。
言ってしまえば、洗濯はなんでも中性洗剤で洗うべきだと思いますが、弱アルカリ性の洗剤を使用する場合でも、洗剤の量は規定量より少なめにし、洗濯や脱水の時間は短めにして、洗剤の成分が残らないよう、よくすすぐよう心がけましょう。
ザックをはじめ、登山用品を洗濯する場合、どのような場合でも洗剤は多過ぎず、成分が生地に残らないようすすぎを多めに行うというのが基本となります。
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