31Jul

ミレードライナミックとファイントラックを比較!
夏山、冬山と季節を問わず登山の汗冷え対策として、注目されているドライレイヤー。
速乾性の肌着(ベースレイヤー)の下に着用することで、汗をかいても濡れを感じづらく汗冷えしづらいのがドライレイヤーの特徴です。
今回はドライレイヤーのうち、ミレーのドライナミックメッシュとファイントラックのスキンメッシュを比較します。
ミレーは編みシャツ効果、ファイントラックは撥水性で勝負。
(ミレー)Millet DRYNAMIC MESH NS CREW MIV01248 2601 LIGHT GREY L/XL(EUサイズ)
finetrack(ファイントラック) スキンメッシュT BK
ミレーもファイントラックも、直接素肌に着用し、上には吸水、速乾、保温性の良いシャツを合わせることが必要です。
どちらも、汗を吸い上げたあとは、肌に汗を残さないというのがポイントですが、両者は構造が違います。
ミレーはポリプロピレンを主体にした、かさの高い編みシャツなので、上に着たシャツが汗を吸水したあとは、汗が肌に触れないというシンプルなものです。
素材のポリプロピレンは汗を吸いづらく、しかも編み目が大きいので肌に汗が残りづらいという特徴があります。

出典:ミレードライナミックメッシュ公式HP
一方、ファイントラックは、薄い、ポリエステルシャツですが、裏表面に撥水加工がしてあります。
汗は繊維の間を通過して、上に着ているシャツに吸水されたあとは、撥水効果で汗が逆流してこないという構造になっています。

出典:ファイントラックスキンメッシュ公式HP
暑い日の登山に着てみた結果は?
ミレーとファイントラックを7月の登山に着用してみました。
肌着と中間着合わせ方は、下記のとおり同じものを着用しました。
- ドライレイヤー:ミレードライナミックメッシュ
- 肌着:モンベルジオラインL.W.Tシャツ
- 中間着:モンベルウイックロンライト長袖シャツ
- ドライレイヤー:ファイントラックスキンメッシュ
- 肌着:モンベルジオラインL.W.Tシャツ
- 中間着:モンベルウイックロンライト長袖シャツ
ミレーのレビュー

色はグレー以外に黒もある。
この日の気温は25℃、登山口は無風、尾根上は適度な風がありました。
ミレーは、着用時にやや網目の食い込み感がありますが、すぐに感じなくなります。
登山を開始して30分で上半身は汗だくです。
背中はザックに密着しているので、汗濡れを感じますが、胸やお腹周りは汗濡れの気持ち悪い感じがほとんどありません。
登山開始から1時間半で、肌着、中間着は汗で完全に飽和しました。
しかし、胸とお腹周りは相変わらず汗濡れの気持ち悪い感じはほとんどありません。
尾根上で休憩し、風に当たっても汗冷えはほとんど感じませんでした。
胸の上部のロゴの部分は、メッシュになっていないため、そこだけピンポイントで汗濡れ感がありましたが、面積が小さいため、気になりません。

このロゴはいらない気がする。胸の部分はすべてメッシュの方がいい。
下山後に帰り仕度をしている間に服は乾きはじめていました。
ファイントラックのレビュー
ミレーの時とほぼ同じ気象条件で、気温は25℃、登山口は無風、尾根上は適度な風がありました。
ファイントラックは、着用時にややごわつき感があると言われていますが、言われるほど気になりません。
登山を開始して30分で上半身は汗だくです。
背中はザックに密着しているので、汗濡れを感じますが、胸やお腹周りは汗濡れの気持ち悪い感じがほとんどありません。
ミレーの着用時と同程度の快適さです。
登山開始から1時間半で、肌着、中間着が汗で完全に飽和すると、胸とお腹周りにやや汗濡れ感がでてきました。
尾根上で休憩し、風に当たった時は、汗冷えとまではいきませんが、ミレーより若干快適さが劣ります。
ファイントラックの性能を発揮するためには、上に着る肌着は吸水、速乾性が優れていなければ、汗濡れ感が出てしまいます。
ファイントラックと相性のよいシャツを合わせることが必須だと感じました。
メンテナンスは?
ファイントラックは、撥水性を損なってしまうと本来の性能が発揮できなくなります。
メーカーでは撥水性を維持するために、専用洗剤「オールウオッシュ」の使用をすすめています。
市販の洗剤を使用する場合は、柔軟成分などが入っていないものを使用する必要があります。
ゴアッテックスの洗濯でも撥水性維持のために、柔軟剤、蛍光剤、漂白剤が入っていないものを使用しますが、同じ考え方なのでしょう。
筆者はファイントラックを市販の無添加洗剤(ミヨシ無添加衣類のせっけん)を使用して洗濯機(標準コース)で洗っていましたが、新品購入から5~10回洗濯で、やや撥水効果の低下(胸と背中の部分です)が感じられました。
そこで、洗面器で押し洗いしてみましたが、皮脂の汚れが落ちたせいか、撥水性はやや復活しました。
さらに低温で軽くアイロンをかけると新品同様の撥水性がよみがえりました。
しかし、正しくメンテナンスをしていても20~30回の洗濯で撥水効果は復活しなくなり、寿命を迎えてしまいます。
(ファイントラックの寿命について詳しくは「ファイントラックドライレイヤー。高い割に短い寿命」を読んでみて下さい。)
このように、ファイントラックはメンテナンスがやや面倒なところがある上に寿命があります。
一方、ミレーは普通に洗濯しても機能は落ちません。
まとめ
今回の実験では、汗濡れにより強いのは「ミレー」でした。
かさ高の編みシャツで、汗濡れを回避するという古典的な方法は、上のシャツが汗で飽和しても比較的汗冷えに強いことがわかりました。
ファイントラックはミレーに比べると、上に合わせるシャツで性能が左右さる傾向がやや大きいと言えます。
価格帯はほぼ同じです。メンテナンスや寿命なども考慮すると、「ミレー」に軍配が上がりそうです。
追記:R3.1.3 ミレードライナミックメッシュは「世界の果てまでイッテQ」登山部の番組内でイモトさんと登山家の貫田氏が紹介していました。
finetrack(ファイントラック) スキンメッシュT BK
(ミレー)Millet DRYNAMIC MESH NS CREW MIV01248 2601 LIGHT GREY L/XL(EUサイズ)
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