山登り初心者とステップアップしたい経験者の方へ登山講座

menu

元山岳部部長の登山講座

熊よけスプレー~ホルダーの取付位置は?

熊よけスプレー~ホルダーの取付位置は?

クマよけスプレーはクマと遭遇し、襲われそうになった時に直ちに使用できなければ意味がありません。

そのためには、使いやすいホルダー(ホルスター)が必要となります。

クマよけスプレーは現在5種類ほど市場に出回っており、ほとんどのスプレーには専用ホルダーが付属か、別売りされていますが、ホルダーの形状や使い勝手などはまちまちです。

また、専用ホルダーがないものあり、その場合は純正品ではないホルダーを探すか、他社の専用ホルダーでサイズの合うものを流用することになります。

ほとんどのホルダーは腰ベルトに装着できるデザインを採用していますが、登山に携行する場合、歩行の邪魔にならず、かつ、いつでも素早く取り出せる位置に装着しなければなりません。

取付位置やホルダーの形状によっては、落としたり、誤射する可能性もありますので工夫が必要です。

今回は、クマよけスプレーのホルダー選びや取付位置について考えていきます。



ホルダーにはどんなものがあるのか

カウンターアソールト用ホルダー

左:カウンターアソールトCA230、右:カウンターアソールトストロンガーCA290

OUTBACK 熊撃退スプレー カウンターアソールト・ストロンガー 携帯ホルスターセット

カウンターアソールトの総代理店アウトバック社から「専用ホルスターBH2」と「専用バックルホルスターBHB2」の2種類が出ています。

カウンターアソールトにはCA230とCA290(ストロンガー)の2種類があり、ストロンガーの方が缶の外径がやや大きいのですが、専用ホルスターはBH2、BHB2共にどちらのカウンターアソールトでも使えます。

BH2はフタがベルクロ(マジックテープ)ですが、BHB2の方はフタがプラスチック製の大型のバックルになっています。

装着方法ですが、どちらも本体にベルト通しがついていますので、ズボンのベルトなどに装着することができます。

ベルト通しは、幅70mmのベルトまで通すことができます。

専用ホルスターBH2

カウンターアソールト 専用ホルスター

専用バックルホルスターBHB2

カウンターアソールト 専用バックルホルスター

また、CA230対応用として、ホルキン社から「HLK-R-CA230」、CA290対応用として、「HLK-H-CA290」が販売されています。

「HLK-R-CA230は、フタはベルクロ式で、装着方法は本体に付いている3本のベルクロでザックのショルダーベルトに装着する方式です。

CA230用ホルキンHLK-R-CA230

リュック肩ひも装着型 カウンターアソールト 230g 対応ホルダー

裏側にベルクロが3本付いている

 

「HLK-H-CA290」は、フタはベルクロ式で、肩掛けベルトが付いており、ベルト通しも付いているのでズボンのベルトなどに装着することができます。

ベルト通しは幅80mmのベルトまで通すことができます。

また、ベルト通し上部にループがついていますので、カラビナなどを付けることができます。

CA290用ホルキンHLK-H-CA290

 【ショルダー・ベルト + カラビナ付】 カウンターアソールト 290g 対応ホルダー

ベルト通しあり。カラビナ装着可

【ショルダー・ベルト + カラビナ付】 カウンターアソールト 290g 対応ホルダー

 

ガードアラスカ用ホルダー

ガードアラスカ

ガードアラスカ®コンボパック/ FreeベルトループBallisticホルスター

メーカーや輸入元が販売している専用ホルダーはありませんが、ホルキン「HLK-R-GA255」と防犯グッズ専門店ボディーガード「9~16オンス用催涙スプレーホルスター」の2つはガードアラスカに対応しています。

ホルキンの方はフタはベルクロ式で、装着方法は本体に付いている3本のベルクロでザックのショルダーベルトに装着する方式です。

ホルキンHLK-R-GA255

リュック肩ひも装着型 ガードアラスカ 255g 対応ホルダー

ボディーガードの方はフタはベルクロ式で、装着方法は本体に付いているベルト通しでズボンのベルトなどに装着します。

ベルト通しの適合幅は公表されていませんが、写真で見る限り、カウンターアソールト用ホルダーと同じか、やや狭いよう見えます。

ボディーガード9~16オンス用催涙スプレーホルスター

9〜16オンス用催涙スプレーホルスター PSP社米国製   

 

ベアアタック用ホルダー

ベアアタック

熊撃退スプレー ホルダーケース付き  

メーカーや輸入元が販売しているものかどうかはわかりませんが、ネット上では、ベアアタックと専用ホルダーがセットで販売されている場合がほとんどです。

専用ホルダーの詳細は公表されていませんので何とも言えませんが、写真で見る限り、フタはベルクロ式、装着方法はベルト通しでズボンのベルトなどに装着するタイプだと思われます。

 

UDAPペッパーパワー用ホルダー

UDAPペッパーパワー

UDAP 熊撃退スプレー ホルスター付 (アメリカ森林警備隊採用品)正規輸入品

メーカーのロゴが入った専用ホルダーとセットで販売されています。

専用ホルダーの詳細は公表されていませんが、引き金部を覆うフタはなく、装着方法はベルト通しでズボンのベルトなどに装着するタイプです。

材質は伸縮性のある生地を使用しています。

全体的にあまり頑丈そうではない印象です。

また、UDAP対応用として、ホルキンから「HLK-R-UDAP225」と「HLK-H-UDAP225」が販売されています。

「HLK-R-UDAP225」は、フタはベルクロ式で、装着方法は本体に付いている3本のベルクロでザックのショルダーベルトに装着する方式です。

リュック肩ひも装着型 UDAP 熊撃退スプレー 225g 対応ホルダー

「HLK-H-UDAP225」は、フタはベルクロ式で、肩掛けベルトが付いており、ベルト通しも付いているのでズボンのベルトなどに装着することができます。

ベルト通しは幅80mmのベルトまで通すことができます。

また、ベルト通し上部にループが付いていますので、カラビナなどを付けることができます。

【ショルダー・ベルト + カラビナ付】 UDAP 熊撃退スプレー 225g 対応ホルダー

ポリスマグナムB-610用ホルダー

ポリスマグナムB-610

熊撃退スプレー 大型 ホルスター付 (全国の複数の国公立機関・地方自治体正式採用品) B-610-CS

護身用品販売店TMM社から「B-610専用ホルスターケース N-16FM」が出ています。

フタはボタン止めと、ベルクロ式の二重構造になっており、誤射防止が強化されています。

装着方法は、本体にベルト通しが付いていますので、ズボンのベルトなどに装着することができます。

ベルト通しは、幅60mmのベルトまで通すことができます。

ベルト通し上部にハト目が付いていますので、カラビナなどを付けることができます。

熊撃退スプレーB-610専用ホルスターケース N-16FM

汎用ホルダー

こちらはザックメーカーのミステリーランチ社から出ている汎用ホルダーですが、対応するスプレーや適合サイズなどの記載はありません。

フタはベルクロ式のようですが、引き金部が剥き出しですので、藪こぎをする時には、安全装置が外れて誤射しないよう注意が必要になるでしょう。

【国内正規品】 ミステリーランチ ベアスプレーホルスター

こちらは、マムートから出ているボトルホルダーです。(クマよけスプレー用ホルダーではありません)

500mmのペットボトルからナルゲンの1L水筒まで対応しています。

上部を覆うフタが付いていませんので、誤射防止の工夫が必要になるでしょう。

500mmのペットボトルの外径は60mmほどで、クマよけスプレーの外径は50mm~59mmです。

この商品は絞ったり、広げたりサイズを調整することができますので、クマよけスプレーを収納することが可能と思われます。

装着はベルト通しを使用してズボンのベルトなどに付ける方法と、2本のベルクロを使用してザックのショルダーベルトに付ける方法が選べます。

上部のプールにカラビナなどを付けることもできます。

価格が2000円程度と安いのが魅力です。

[マムート] ボトルホルダー



クマよけスプレーのサイズ比較~他社製の専用ホルダーは使えるのか?

クマよけスプレーの寸法は各社で大きな違いがありませんので、他社の専用ホルダーを使用できる可能性があります。

メーカーや販売店が公表している各クマよけスプレーの寸法は下記のとおりです。

  • カウンターアソールトCA230 全長215mm 外径52mm
  • カウンターアソールトCA290 全長215mm 外径59mm
  • UDAPペッパーパワー     全長210mm 外径52mm
  • ベアアタック          全長215mm 外径50mm
  • ガードアラスカ         全長235mm 外径52mm
  • ポリスマグナムB610     全長235mm 外径54mm

全長と外径だけでいうと、ガードアラスカとポリスマグナムはやや背が高く、カウンターアソールトCA290はやや太めであること以外、ほぼ似たような寸法であることがわかります。

大は小を兼ねると考えれば、カウンターアソールト専用ホルダー(CA230、CA290共用)のBH2やBHB2はUDAPやベアアタックを収納できる可能性が高いでしょう。

また、ポリスマグナムB610用の専用ホルダーはガードアラスカを収納できる可能性が高いと思います。

若干のガタつきは、緩衝材を巻いたり、詰め物を入れたり、工夫すれば対応できるのではないかと思います。

 

藪こぎなどハードな条件に適した形状とは

クマよけスプレーをハードは条件で携帯した場合、枝などに引っ掛けて安全装置が外れ、誤射する危険があります。

登山道など、水がない場所でスプレーを浴びれば死活問題になりかねません。

そのためには、スプレーの引き金部がフタできっちりと覆ってあるタイプのホルダーがおすすめです。

ホルダーのフタはベルクロタイプとバックルタイプがあり、どちらでも良いと思いますが、バックルタイプの方が誤ってフタが開いてしまう危険性は少ないと思われます。

カウンターアソールト用バックルホルダーBHB2。引き金もしっかり保護されている

筆者は20年来、バックルタイプの専用ホルダーを使用していますが、日高山脈の縦走や厳しい藪こぎの最中、フタが外れそうになったことは一度もありません。

また、スプレーを取り出す時は、ワンタッチでフタが開きますので素早くスプレーを構えることができます。

 

登山の場合、取付位置はどこがいい?

ホルキン製のホルダーを除き、ほとんどのホルダーはベルト通しを使用してズボンのベルトやザックのヒップベルトなどに装着するタイプです。

ベルト通しの適合範囲は概ね60mm~80mm程度であり、太めのベルトでも装着できるようになっています。

しかし、登山に携帯する場合、ザックを背負っていますので、ズボンのベルトに付けると一般的な登山用ザックの場合、ヒップベルトに干渉してしまいます。

そもそも、ベルトをするようなデザインの登山用ズボンも少なくなっています。

では、ヒップベルトに装着したらどうかということですが、ザックにもよりますが、ヒップベルトの幅は30リットル程度のザックでも100mm程度はあり、パットの厚みもあります。

ほとんどの場合、ヒップベルトに装着することは困難なはずです。

ほどんどのザックはヒップベルトが太くて入らない

ヒップベルトのバックル付近ならベルトが細いので装着は可能ですが、スプレーが体の前方付近に来てしまいますので、しゃがんだり、腿を上げたときに、スプレーの下部が太腿やお腹に干渉し、鬱陶しくなります。

また、ザックを下ろすたびにホルダーが抜け落ちそうになりますので、脱落防止の工夫も必要になります。

スプレーが体の前方にくる

太腿や腹に干渉し、動きにくい

チェストベルトに装着する方法も有りだとは思いますが、チェストベルトにスプレーを装着した場合もザックを下ろす度にホルダーがすっぽ抜けそうになりますので、脱落しないような工夫が必要になるでしょう。

チェストベルト。これも有りだとは思うが・・

そこで考えられるのがヒップスタビライザーのベルトに取り付ける方法です。

ヒップスタビライザー

まずまずの装着感

これなら歩行の邪魔にならないと思いますが、ザックのデザインによってはうまく装着できないことも考えられますし、ヒップスタビライザーのベルトは緩んだりすることも考えられますので、ホルダーが脱落しないような工夫も必要だと思います。

また、腰回りは藪こぎや岩場歩きの時に枝や岩によく接触しますし、ザックを地面に置いた時にスプレー底部が地面に当たることも考えられますので、そのあたりも注意が必要です。



専用ホルダーをカスタマイズする

登山中に歩行の邪魔にならず、藪こぎをしても枝に引っかかりづらく、かつ、素早くスプレーを取り出せる位置を色々試してみた結果、筆者の場合、ザックのショルダーベルトに付けるのがベストという結論になりました。

ところが、ショルダーベルトに装着できるホルダーはホルキン製しか見当たりません。

筆者はカウンターアソールトストロンガー(CA290)と専用バックルホルスターBHB2を使用していますが、BHB2にはベルト通ししか付いていません。

専用バックルホルスターBHB2

そこで、BHB2をザックのショルダーベルトに装着できるようにカスタマイズをしました。

裁縫が苦手な人にはやや面倒かも知れませんが、改造はいたって簡単です。

100均で、マジックテープを買ってきて、適当な長さに切り、ベルト通しに縫い付けて出来上がりです。

ついでですが、ショルダーベルトにホルダーを装着した場合、マジックテープの締めつけ具合やショルダーベルトの形状によっては、歩行中にホルダーが徐々にずり下がってきますので、脱落防止も兼ね、ホルダーの上部にループを縫い付け、カラビナを通せるようにもしてみました。

ショルダーベルトにマジックテープで止めたあと、カラビナをショルダースタビライザーなどにかけると脱落防止にもなります。

マジックテープとカラビナ用のループを取付ける

ショルダーベルトにマジックテープで止める

ショルダースタビライザーにカラビナをかけて脱落防止

 

スプレーが顔に近いので気になる方もいるとは思いますが、このバックルホルスターの信頼性はかなりのものです。

枝に引っ掛けたり、転倒もしましたが、フタが開いたことはありません。

 

カウンターアソールト専用ホルスターBHB2にガードアラスカやポリスマグナムB610は入るのか?

カウンターアソールトなどのクマよけスプレーの全長は210~215mmなのですが、ガードアラスカとポリスマグナムB610だけは全長235mmと他社のスプレーより20mm程度長くなっています。

そこで、カウンターアソールト専用ホルスターBHB2に全長235mmのスプレーが入るのかどうかイメージしてみました。

方法はカウンターアソールトストロンガーCA290(全長215mm)の底部に幅20mmのビニールテープを重ね、擬似的に全長を235mmにしてBHB2に入れて見ることにしました。

ビニールテープを用意

ビニールテープを重ねるとガードアラスカとほぼ同じ長さ。この状態でホルダーに入れてみる。

バックルは長さが調整できますので、とりあえずはフタは締まります。

バックルの長さを調整

締まりました。

写真のように、フタがちょっと斜めを向きますが、引き金部はしっかりガードされました。

なんとか実用に耐えるレベルだと思います。

 

まとめ

ホルダーをどこに装着するのかは、それぞれ好みが別れるところですが、ホルダーやザックの形状によっては取付位置が限定されてしまいます。

使いづらい場合は、他社製のホルダーを買い直す、ホルダーをカスタマイズするなどして、ベストな状態でスプレーを使用できるようにしておくことが肝心です。



プロフィール

フリーライター。元船員。
学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け30年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。



カテゴリー