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元山岳部部長の登山講座

登山と虫よけ~やぶ蚊とブヨ対策

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登山と虫よけ~やぶ蚊とブヨ対策

当たり前なのですが山にはたくさんの虫がいます。

もちろん、地形・季節・時間帯などによって多い少ないはあります。

さすがに全部は書いていられないので登山中に特に気になる「ヤブ蚊とブヨ」対策について紹介します。



ヤブ蚊とブヨがよくいる場所

まずは、ヤブ蚊ブヨのよくいる場所について。

笹などが生い茂り、風の通りづらい場所、水たまりや沢周辺などが多いです。

逆に、稜線上などの風通しのいいところにはあまりいません。

獣道的な

風通しが悪い場所

沢

沢の周辺

 

ヤブ蚊

蚊

蚊は町にいるような奴じゃありません。

このイラストのようなかわいさ(?)などまったくない!

でかくて真っ黒。

そして、刺されると大きく腫れ猛烈にかゆい!!!

さらに刺された痒さは何日も持続します。

蚊に刺された登山クラブの人の足首

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ブヨ

ブヨもうるさいです。

こいつは蚊よりもサイズが小さく米粒くらいだろうか?

なのでブヨに狙われ、自分がロックオンされていることに気づきにくいのがブヨの厄介なところ。

よくあるのが、軍手や衣類の繊維の隙間に頭を突っ込んで血を吸っていること。

刺されると発疹のようにポチっと腫れ、見た目より痒みが強くしかも何日も持続。

連泊の縦走なんかの時は知らずに掻きむしり、しかも不衛生な環境だから化膿したりするので、刺された部位によっては支障を来すこともあります。

私の山の師匠は昔、ブヨに後頭部、首筋を執拗に刺されまくり、下山後熱が出て病院で治療を受ける事態になったことがあります。

小さな虫なのにこわい話です。



虫に刺されたくない

そこで、刺されないためにどうするか。

まずは服装に気をつけます。

上半身

少々暑くても基本長袖

猛烈な虫アタックを受けているときは袖はまくらない

暑くてしょうがない時は袖をまくるが、虫を防御できる程度まで。

シャツもズボンも虫の針が通りづらいものがいいでしょう。

しかし夏山は暑いので薄手の素材にしたい・・・。

本当は虫がいなければTシャツ1枚が一番心地よいんですが。

顔や体の目の届く範囲は気づくので手で追い払うことができます。

背中に関しては、ザックに防御されているので安心です。

一日の行動が終わり、刺されていることに気づくのは、手首(軍手、腕時計、シャツの袖のわずかな隙間を狙われる)、ザックで覆われていない体側の脇や腹付近などです。

下半身

下半身はズボンを履いているので、わりと刺されません。

キャンプ地で油断してサンダルなんかを履いている時に足首をやられるくらいでしょう。

私は今流行りのトレッキングタイツを履いたことはありませんが、ズボンよりは薄いので、虫に刺されないのだろうか?といつも見ていて思います。

心配なら、念のため虫よけスプレーを用意しておけば問題はないようです。

首筋、後頭部

首筋、後頭部も狙われやすいですが、服装ではカバーできません。

しかし、私はあれのお陰でほとんど刺されることがありません。

それは、帽垂れ日本兵が南方戦線で帽子に着けていた日よけ布)です。

日本兵の戦闘帽と帽垂れ

帽垂れ1帽垂れ2

帽垂れ(日よけ布)を登山用の帽子に取り付けることで、後頭部を熱射から守り、ひらひらするので虫が首筋に着陸できず虫の防護にもなります。

帽垂れは、ミリタリーショップにでも行かない限り手に入りませんので、自作するか、アウトドアメーカーから出ている日よけ布を帽子に取り付けます。

最初は手ぬぐいを帽子に挟んで帽垂れがわりにしてみたりしましたが、上の写真のような日本兵と同じ、スリットが3か所入ったものを自作して登山用の帽子にスナップボタンで取り付けられるようにしましたが、耳や後頭部の虫よけには絶大な効果がありました。

下の写真のように、アウトドアメーカーで売っている日よけ布は、スリットが入っていないので帽垂れより後頭部が暑くなりますが、虫除けには同様の効果があります。

mont-bell(モンベル) サンブロック ハットスクリーン

ちなみに、女性で髪が肩くらいの長さなら髪を束ねずに歩けば帽垂れと同様の効果があります。

 

刺されやすいタイミング

連泊の登山の場合、一日の行動が終わりテント生活時に、開放感からサンダル履きや登山靴の紐をゆるゆるにして炊事なんかをしている時に足首付近を狙われやすいです。

これは注意が必要で刺され方によっては翌日以降、患部が靴に干渉して擦れたり痛めたりすることがあります。

もし、化膿でもしたらやっかいです。

下山の直後、登山口で帰り仕度をしている時にも、刺されやすいので注意が必要です。



効果的な虫よけグッズ!

蚊取り線香

服装の話はさておき、虫よけとして高い効果を発揮するのが蚊取り線香です。

蚊取り線香

腰にぶら下げて使用します。

効果は絶大で、今のところ、これにかなうものはないでしょう。

昔の人は野良仕事などの時、木綿のボロ布を腰に下げ、布の先に火をつけ煙を出して虫よけをしていたといいます。

市販の蚊取り線香用のぶら下げ器は簡易的なフックがついているだけなので、登山では腰からはずれることがありますので工夫が必要です。


金鳥 吊り下げ式かとり線香皿 PRO 蚊取り線香ホルダー (カラビナフック付)

虫よけスプレー

普通の虫よけスプレーはどうか?

「効果はあるが、今ひとつ持続性がない。」

登山中は常に汗をかいており、成分がどんどん流れてしまいます。

なお、最近、虫よけ剤に関する関係規則が変わり、薬剤の濃度が濃くて持続性が長くなった、強化版虫よけスプレーが出始めています。

※強化版虫よけスプレーについては、山での検証が終わり次第、記事をアップ致します。

ハッカ油スプレー

登山中の虫よけグッズの中で、最も実用性の高い物のひとつに「ハッカ油」があります。

すれ違った登山者がハッカの香りがすることがよくあります。使用者は多いようです。

蚊やブヨに対する忌避効果は一般的な虫よけスプレーより高いと思われ、スプレーした瞬間にさーっと虫がいなくなります。

持続性ですが、一般的な虫よけスプレーと同じく、汗をかくと流れてしまいますので、効果が落ちてきたかなと思ったら、その都度スプレーします。

そのためには、ポケットやウエストポーチに入るサイズのスプレーボトル(10~30ml程度)が便利です。

虫の多さにもよりますが、日帰り登山なら、下の商品ぐらいの大きさのボトルで十分な場合がほとんどです。

北見ハッカ通商 ハッカ油ビン 10ml スプレー

また、ハッカ油は天然成分なので、市販の虫よけスプレーに弱い人にも良いでしょう。

使用上の注意ですが、ハッカ油が間違って目にかかってしまうと思わずうめき声が出るくらい痛いので気をつけましょう。

水で流せばよいのですが、山で水筒の水は貴重です。

なお、ハッカ油スプレーを携帯する時は、スプレーを小さめのジップロックなどに入れた方が無難です。

知らないうちに、口がゆるんでハッカ油が漏れて大惨事になっているのを何度も目撃しています。注意しましょう。

ハッカ油スプレーは市販品も売っていますが、使用頻度が高ければ自分で作った方が断然安上がりですし、手作りなら、好みで濃度を濃くすることもできます。

濃く作った場合、効果も高くなりますし、持続時間も長くなります。

作り方はごく簡単ですので、興味のある方は「手作りハッカ油スプレーの作り方」を読んでみて下さい。

エアーサロンパス

ハッカ油に匹敵するのはエアーサロンパスです。

虫よけスプレーより虫に効くから面白い。

しかも、サロンパスゆえ筋肉疲労に心地よい。

一石二鳥です。

知り合いの鉄砲撃ちの人に虫よけ方法を尋ねたところ、

「帽子のつばの裏にサロンパスを貼れ!」

と言っていました。

この方法は、ほかでも聞いたことがありますし、効果があるということでしょう。

 

虫よけグッズのまとめ

まとめてみます。

ヤブ蚊やブヨがうるさいことがあらかじめ予想され、かつ異常に虫に弱い人(何故か虫に弱く、虫嫌いの人に虫が寄ります)は、

ハッカ油を体に吹き付け、それでもだめなら、腰に蚊取り線香をぶらさる。

ダメ押しで、帽子のつばにサロンパスを貼りつけてみる。

ヤブ蚊やブヨには、これが最強の防御になります。

 

刺された時の対処法

ポイント

刺されてしまった時の一番の対処法は、とにかく口でおもいっきりしつこく吸うことです

あとが残るくらい吸うとその後の痒みは半減以下におさまります。

吸えない場所は困るのですが、相棒がいたなら吸ってもらうと良いです。

ちょっと恥ずかしいかも知れませんが・・・蜂などに刺された場合は、そうも言っていられないこともあります。

(毒を口で吸うことの有効性に関する記事→スズメバチ対策

 

そして薬。

虫さされ用の軟膏はいろいろあると思いますが持ち物の中に強めのステロイド軟膏(デルモベート、リンデロンなど)を忍ばせておくことをおすすめします。

以前、皮膚科で登山中のひどい虫刺されには強めのステロイド軟膏を塗るよう指導されたことがあります。

有名な虫刺され薬の「ムヒ」もステロイドが入っています。

強いステロイド軟膏は処方箋がいりますが、市販薬でそこそこ強いステロイド軟膏に「タナベ フルコートf」というのがあります。

刺された患部や掻き壊した傷口に塗ると一晩で効果が現れます。

翌日以降の行動に支障が出ないよう気をつけたいものです。

市販のステロイド軟膏には効き目の弱いものから強力なものまで色々とあります。

山ではステロイド軟膏は虫さされのほかに、傷や靴ずれにも効果を発揮します。

ステロイドを常用すると皮膚に良くないと言われていますが、登山中の応急処置に使用するんだったら強めのステロイドは理にかなっています。

しかし、皮膚の弱い人もいると思いますので、自分にあったものを選びましょう。

【指定第2類医薬品】フルコートf 5g

 

最後に

以上は、ヤブ蚊やブヨを効率よく避けることに限定しての話です。

スズメバチやマダニの有効な対策については、それぞれ異なりますので注意して下さい。

(詳しくは「登山とスズメバチ対策」「登山とダニ(マダニ)対策~スプレーか?服装か?」を読んでみて下さい)

エアーサロンパスや蚊取り線香のぶら下げ器などはかさばりますので、実際の登山に持っていくかどうかについては、登山ルートや様々な条件を考慮して総合的に判断されるべきなのは言うまでもありません。念のため。

看板(下)



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プロフィール

フリーライター。元船員。
学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け30年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。



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