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登山と虫よけ~やぶ蚊とブヨ対策

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登山と虫よけ~やぶ蚊とブヨ対策

山には、ヤブ蚊、ブヨ、ヌカ蚊、マダニなど人に害を及ぼす様々な虫がいますので、登山をする場合は有効な虫よけ対策が必要になります。

今回は「ヤブ蚊とブヨ」の対策について考えていきます。




ヤブ蚊とブヨがよくいる場所

ヤブ蚊もブヨも水のある所に産卵しますが、ヤブ蚊は少量の水たまりなどでも産卵し、ブヨは沢など比較的水がきれいな場所に産卵します。

なので、そういう場所の周辺に多くいるということになります。

具体的には、ヤブ蚊は笹などが生い茂り、風通し悪く、じめじめとした薄暗い場所に多く、ブヨは沢や沼の周辺に多くいます。

ヤブ蚊がいる風通しが悪い笹ヤブの道。

ブヨがいる沢の周辺。

 

ヤブ蚊

蚊

ヤブ蚊は正式には「ヒトスジシマ蚊」といって、その辺に飛んでいるような褐色の蚊(アカイエ蚊)ではなく、やや黒っぽくて、よく見ると胴体に白い縞模様が入っています。

ヤブ蚊に刺されるとアカイエ蚊よりもかゆみが強く、かゆさは何日も持続します。

ブヨ

ブヨ(ブユ)が多いと本当に鬱陶しいものです。

蚊よりもサイズが小さく、米粒くらい(3~5mm)で、見かけはコバエのようです。

サイズが小さいので、ブヨに狙われ、吸血されていることに気づきにくいのがブヨの厄介なところ。

軍手や衣類の繊維の隙間に頭を突っ込んで血を吸っていることもあります。

刺された直後の患部は、わずかに出血しているのが特徴で、痒みが強く、しかも何日も持続します。

連泊の登山の時など、不衛生な環境で掻きむしったりすると、化膿して行動に支障を来すこともあります。

また、ブヨに大量に刺されると発熱することがあります。(筆者の山の先輩は、ブヨに後頭部と首筋を大量に刺され、下山後熱が出て病院で治療を受けたことがあります。)



虫に刺されたくない~まずは服装から

虫に刺されないためには、虫よけ剤などの使用を考える前に、まずは服装で虫から防護することが基本になります。

上半身

暑い時はTシャツ1枚で歩きたいところですが、山では暑くても基本は長袖で行動します。

暑いと、袖を捲ることもありますが、虫が多い時には、暑くても袖は捲らないようにします。

シャツは目の粗いものや、極薄の生地では虫の針が通って刺されてしまいますので、極端に薄い素材の生地などは避けるようにします。

また、手や手首も刺されますので、必ず手袋を着用し、皮膚の露出を極力なくすようにします。

下の写真は、手首を刺された例ですが、この例では手袋とシャツの袖の間のわずかな露出部分を狙われました。

ブヨに刺された手首。露出部分が狙われた

下半身

下半身については、ズボンを履いていれば、刺されることはほぼありません。

キャンプ地などで油断してサンダルなどを履いている場合に、足首などを刺される例などはよくあります。

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ヤブ蚊に刺された足首

首筋、後頭部、耳周辺

首筋、後頭部、耳周辺が最も狙われやすいのですが、この部位は、服装でカバーするのが難しい場所です。

参考までに、筆者の場合、帽垂れ日本兵が南方戦線で帽子に着けていた日よけ布)を参考にして、頭部周辺を防護しています。

日本兵の戦闘帽と帽垂れ

帽垂れ1帽垂れ2

帽垂れは、後頭部を熱射から守り、かつ、ひらひらと動くので、虫が首筋や耳周りに止まることを防ぎます。

帽垂れは自作するか、アウトドアメーカーなどから販売されている日よけ布を帽子に取り付けて代用することができます。

現代版帽垂れか?日よけ布(ネックシェード)

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筆者は当初、手ぬぐいを帽子に挟んで帽垂れの代わりにしていましたが、日本兵と同じデザインのも(スリットが3か所入ったもの)を自作して、登山用の帽子にスナップボタンで取り付けられるようにしましたが、耳周辺や後頭部の虫よけに絶大な効果がありました。(スリットがない、スリットが浅いものは、熱がこもりやすい。)

自作の帽垂れ。後頭部、耳周りの虫よけに効果絶大。

 

刺されやすいタイミング~油断している時など

ヤブ蚊の活動が活発になる時間帯は、昼から夕方にかけて、ブヨの活動が活発になる時間帯が朝と夕方ということで、どちらも夕方に活発になるという共通点があります。

午後に下山して、帰り支度をしている時に刺されたり、一日の行動が終わり、夕方にサンダル履きや登山靴の紐を緩め、まったりと炊事などをしている時に、足首付近などを狙われることがよくあります。

足首を刺された場合、翌日以降、患部が靴に干渉して擦れたり、痛めたりすることがありますので要注意です。



効果的な虫よけグッズとは?

服装で防護した上に、以下のような虫よけグッズを併用することで、虫よけ効果は更に上がります。

蚊取り線香

虫よけ剤として古くから使用されている蚊取り線香は、シンプルにして非常に効果の高い虫よけ剤であり、登山を始め、アウトドアでの虫よけ対策では必須アイテムのひとつです。

蚊取り線香

登山では、蚊取り線香を専用の携帯器具に入れ、腰やザックにぶら下げて使用します。

蚊取り線香の効果は絶大で、煙による忌避効果と薬剤の殺虫効果のダブルの効果があります。

昔の日本人は、畑仕事の時に、木綿のボロ布を束ねたものを腰に下げ、布の先に火をつけ、煙を出して虫よけをしていたと言いますが、これと似たような考え方だと思います。

蚊取り線香を携帯器具に入れてぶら下げて使用する場合、携帯器具は岩などにぶつけるとフタが開くことがありますので注意が必要です。

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蚊取り線香では物足りないという方には、児玉兄弟商会の「パワー森林香」という商品があります。

パワー森林香は野外用の防虫香で、蚊取り線香より防虫効果が高く、林業・農業従事者などプロユースの商品ですが、アウトドア用として一般の方にも人気があります。

また、専用の赤い携帯器具は非常に丈夫な作りで、衝撃でもフタが開きづらく、登山向きと言えます。(蚊取り線香とパワー森林香、どちらが効くのか試してみました→「虫よけ対策~蚊取線香とパワー森林香を比較してみた!」)


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虫よけスプレー

虫よけスプレーが、登山に有効かどうかについてですが、虫よけスプレーは、虫の感覚器官を麻痺させて、人間がいるのかどうかをわからなくするという方法で虫刺されを防ぐというもので、虫の寄り付きを防ぐものではありません。

なので、虫に刺されはしませんが、虫が寄り付く鬱陶しさを解消することはほとんどできませんので、それらを理解した上で虫刺され防止用として使用することがあります。

また、登山中は常に汗をかいており、成分がどんどん流れてしまいますので、取説に書いてあるような持続時間は期待できません。

なお、平成28年(2016年)から、虫よけ剤に関する関係規則が変わり、薬剤の濃度が濃くて持続性が長くなった、「強化版虫よけスプレー」が販売されるようになりました。効果に期待したいところです。

イカリジンの虫よけスプレー

イカリジン15%

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(※強化版虫よけスプレーの効果について検証しました。詳しくは「高濃度虫よけスプレー、ディート、イカリジンは登山に有効か?」を読んでみて下さい。)

ハッカ油スプレー

登山中の虫よけグッズの中で、最も実用性の高い物のひとつに「ハッカ油」があります。

すれ違った登山者がハッカの香りがすることがよくありますので、使用者はそれなりに多いと思います。

虫よけスプレーと違い、蚊やブヨが非常に嫌がる香りで虫の寄り付きを防ぎます。

忌避効果は非常に高く、ほとんどの場合、スプレーした瞬間にさっと虫がいなくなります。

持続性ですが、虫よけスプレーと同じく、汗をかくと流れてしまいますので、効果が落ちてきたかなと思ったら、その都度スプレーします。

登山中にその都度スプレーするためには、ポケットやウエストポーチなどに入るサイズのスプレーボトル(10~30ml程度)が便利です。

虫の多さにもよりますが、日帰り登山なら、下の商品ぐらいの大きさのボトルで十分な場合がほとんどです。

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また、ハッカ油は天然成分なので、市販の虫よけスプレーが合わない人にも良いかもしれません。

使用上の注意ですが、ハッカ油が間違って目にかかってしまうと、激痛で一時的に動けなくなることがありますので扱いには注意が必要です。

ハッカ油を携帯する場合は、目に入ってしまった時のために目薬も合わせて携帯した方が良いと思います。

なお、ハッカ油スプレーを携帯する時は、スプレーボトルを小さめのジップロックなどに入れた方が無難です。

(知らないうちに、口がゆるんでハッカ油が漏れて大惨事になったことがあります。)

ハッカ油スプレーは市販品も売っていますが、使用頻度が高ければ自分で作った方が断然安上がりですし、手作りなら、好みで濃度を濃くすることもできます。

濃く作った場合、効果は高くなり、持続時間も長くなりますが、直接皮膚にスプレーすると、かなり痛いので、服の上からスプレーするようにします。

作り方はごく簡単ですので、興味のある方は「手作りハッカ油スプレーの作り方」を読んでみて下さい。

パーフェクトポーション

パーフェクトポーションは、ハッカ油と同じく虫が嫌う香りで虫の寄り付きを防ぐスプレーで、数種の植物の精油が主成分となっています。

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忌避効果はハッカ油とほぼ同じですが、香りや刺激は少なく、ハッカ油が苦手な方には良い選択枝のひとつになります。

(パーフェクトポーションについて詳しくは「虫よけ比較!パーフェクトポーションとハッカ油どちらが効くのか?」「パーフェクトポーションがリニューアル。虫よけ効果は強化されたのか?」を読んで見て下さい。)

エアーサロンパス

こちらは番外編となりますが、筆者が山岳部時代、救急用の消炎鎮痛剤として持っていた「エアーサロンパス」を、虫よけ代わりに使用したことがあります。

サロンパスは、成分にメントールが入っているためか、ハッカ油に匹敵する虫よけ効果があり、筆者の知り合いのハンターも、顔への虫の寄り付きを防止する方法のひとつとして「帽子のつばの裏にサロンパスを貼る」方法を提唱していました。

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このように、サロンパスは、スプレータイプだけではなく、貼るタイプものも虫よけグッズとして流用される場合があるようです。

 

虫よけ対策のまとめ

ざっくりとまとめてみますと、ヤブ蚊やブヨが多そうな場所に行く時には、長袖シャツ、帽子、手袋、日よけ布(帽垂れ)など服装で防護した上で、

・ハッカ油やパーフェクトポーションを体に吹き付ける(虫よけスプレーの併用も有効)。
・腰やザックに蚊取り線香を下げる。

このほかに、帽子のつばの裏にサロンパスを貼り付ける方法などがあり、これらがヤブ蚊やブヨに対する最強の防御法のひとつになります。




刺された時の対処法

ポイント

刺されてしまった時の一番の対処法は、口で毒を吸って出すことです

しつこいくらい毒を吸うと、その後の痒みは半減以下におさまります。

口で吸えない場所については、下のような携帯用毒吸いポンプ「ポイズンリムーバー」が非常に便利です。


アマゾン ドクターヘッセル インセクト ポイズンリムーバー
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そして、毒を吸い出したあとは、虫刺され用の軟膏を塗ると治りが早まります。

虫刺され用の軟膏には色々なものがありますが、強めのステロイド軟膏(デルモベート、リンデロンなど)は効果が高くおすすめです。

以前、皮膚科の先生から登山中のひどい虫刺されには強めのステロイド軟膏を塗るよう指導されました。

虫刺され薬のロングセラー「ムヒ」シリーズにも効果の強いものにはステロイドが入っています。

強いステロイド軟膏は処方箋がいりますが、市販薬でそこそこ強いステロイド軟膏に「タナベ フルコートf」という商品があります。(※R3.5追記:同等の強さのステロイド市販薬には「シオノギ リンデロンVS」「第一三共ベトネベートクリームS」もあります。)

刺された患部や掻き壊し部分に塗ると一晩で効果が現れます。

翌日以降の行動に支障が出ないよう気を付けたいものです。

山ではステロイド軟膏は虫刺されのほかに、汗も、かぶれ、湿疹などにも効果を発揮します。

強いステロイドを長期常用すると皮膚に良くありませんが、登山中の虫刺され対処などには適していると言えます。

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以上は、ヤブ蚊やブヨ対策の方法のひとつとして紹介しました。

なお、スズメバチやマダニについても、それぞれ有効な対処法があります。詳しくは「登山とスズメバチ対策」「登山とダニ(マダニ)対策~スプレーか?服装か?」を読んでみて下さい。




看板(下)



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