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元山岳部部長の登山講座

実戦的な登山用の医薬品とは?~ファーストエイド

実戦的な登山用の医薬品とは?~ファーストエイド

登山装備に救急セット(ファーストエイドキッド)は必需品です。

登山中の怪我や事故に備えるためには、様々な救急用品や薬が必要です。

とは言っても色々な薬をそろえるとかさばりますし、装備はコンパクトにしたいということもあるので、最低限必要なものだけは持っていきたいところです。

今回は、実戦でよく使用する医薬品について紹介していきます。




一般的に推奨される登山用医薬品

一般的には以下のようなファーストエイドキッドが必要だとされています。

  • テーピングテープ
  • キネシオテープ(伸縮性テープ、関節を固定するなど)
  • 包帯
  • 三角巾
  • ピンセット
  • ハサミ
  • 安全ピン(とげ抜き、三角巾その他固定用)
  • T字カミソリ(患部を剃毛する)
  • 爪切り
  • ガーゼ
  • 防水フィルム
  • サージカルテープ
  • 湿布
  • ジップロック
  • バンドエイド
  • キズパワーパット
  • 手術用ゴム手袋
  • ポイズンリムーバー(毒吸いポンプ)
  • 消毒薬
  • 胃腸薬
  • 解熱鎮痛剤
  • 虫刺され用軟膏
  • かぜ薬
  • 目薬

一般的に言われるファーストエイドキッドの中身を見ると、救急箱が必要なレベルなので、実際、こんなに持って行くのだろうか?と思う人もいると思います。

大人数のパーティーや、長期山行を行うパーティーなどでは、これらのものは必要になってくるとは思いますが、日帰り登山や2,3泊の山行に行く場合については、自分の登山スタイルに合わせて、真に必要なものを厳選して持って行きたいところです。

とりあえずという人には、以下のような市販品もあります。


アマゾン OHKEYファーストエイドキット ポイズンリムーバー付
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実戦で役立つ救急セットとは

実戦的な救急セットについては、登山者によって、考え方に違いがあると思いますので、これがすべてではありませんが、筆者が30年以上の登山生活の中で実際に使用実績があったものについては、コンパクトにまとめて、直ちに使用できるよう、ウエストポーチに入れて登山中は常時携帯しています。

上の画像が筆者の登山用救急セットです。

左上から右へ順に、

  • 救急セット入りのケース
  • マメ靴ずれブロック(靴ずれ専用パッド)
  • 消炎鎮痛剤(ヒルドイド)
  • ポイズンリムーバー(毒吸いポンプ)
  • ビクトリノックスアーミーナイフ(ハサミ付き)

の5点です。

見た目はあっさりしていますが、これだけで十分重宝しています。

細かい物は、ケース(百均のタッパー)に入れていますが、ケースの中身を出したのが次の画像になります。

左上から右へ順に、

  • 救急セットのケース
  • テーピングテープ
  • バンドエイド
  • キズパワーパッド
  • マメ靴ずれブロック(靴ずれ専用パッド)
  • ビクトリノックスアーミーナイフ(ハサミ付き)
  • ポイズンリムーバー(毒吸いポンプ)
  • イソジン(消毒薬)
  • ドルマイシン(化膿止め)
  • フルコート(ステロイド軟膏)
  • 目薬
  • 救心、六神丸(強心剤)
  • 赤玉(胃腸薬)
  • ワカ末(下痢止め)
  • イブ(解熱鎮痛剤)
  • 睡眠薬
  • ヒルドイド(消炎鎮痛剤)
  • ティックツイスター(ダニ取り器具)
  • サプリメント(アミノ酸、ビタミン、ミネラル)

以上19点です。

では、それぞれの用途や特徴について、ひとつひとつ紹介していきます。

テーピングテープ


アマゾン ニチバン バトルウィンテーピングテープ25mm幅12m
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主に、靴ずれした時に靴ずれパッドやバンソーコなどの上から貼って補強したり、靴ずれ予防にあらかじめ患部に貼っておいたりします。

爪や指を怪我した時にも、保護のためによく使用します。

その他、傷めた筋肉や関節の固定、傷口の保護、包帯の代用(添え木の固定とか)、靴のソールが剥がれた時の応急修理など、使い道は無限にありそうです。

テーピンテープは丈夫で粘着力があり、ハサミがなくても手でカットできるという良さがあります。

幅はいろいろありますが、2.5cmのものが汎用性が高くてコンパクトなので登山向きと言えます。

なお、安ものには粘着力の弱い商品もあり、すぐに剥がれてくるようでは使い物になりませんので、それなりのメーカーのものを選びましょう。

筆者はニチバンの2.5cmを使用しています。

バンドエイド


アマゾン バンドエイド 救急絆創膏 スタンダードサイズ 50枚
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いわずと知れた汎用バンソーコです。

小さな傷口や靴ずれなどに使用します。

バンドエイドは登山という環境下ではすぐに剥がれてきたりしますので、剥がれないよう上からテーピングテープで補強して使用したりします。

キズパワーパッド


アマゾン バンドエイド キズパワーパッド靴ずれ用6枚 防水絆創膏
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完全防水のバンソーコです。

靴ずれしてしまった箇所や傷口に直接貼りつけます。

防水性と粘着力が高く、貼る部位によっては数日間剥がれません。

普通のバンソーコでは対応できない傷口の保護に使用します。

こちらも、剥がれないようにするために、上からテーピングテープで補強したりすることもあります。

マメ靴ずれブロック(靴ずれ専用保護パッド)

アマゾン バンドエイド マメ・靴ずれブロック レギュラーサイズ5枚
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靴ずれ対策には絶対欠かせないものです。(靴ずれ対策について詳しくは「登山の靴ずれ対策!~かかとの靴ずれ最強アイテム」「登山の靴ずれ対策!~小指の靴ずれ対策を読んでみて下さい。)

山行前にあらかじめ靴ずれしそうな箇所に貼っておくのが正しい使用法なのですが、うっかり貼り忘れたり、稀に登山中に剥がれてしまうこともありますので、予備として数枚持って行きます。

量は、1日に1回靴ずれしそうな部位に使用するとして、山行日数分持って行きます。

ビクトリノックスアーミーナイフ(ハサミ付き)

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アーミーナイフにはナイフや缶切りのほか、ハサミが付いているものがあり、小さくてかさばりません。

布やテープを切るためにはナイフでも良いですが、ハサミがあるとさらに便利です。

アーミーナイフに付いているハサミは小さくて、とりあえず使えるという程度です。

緊急時に衣服を切り裂いたりするような場面を想定するのでしたら、別途、ハサミを用意する方が良いでしょう。

ポイズンリムーバー(毒吸いポンプ)


アマゾン ドクターヘッセル インセクト ポイズンリムーバー
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スズメバチなどに刺された時の応急処置に使用するほか、蚊やブヨに刺された時にも役に立ちます。

口で吸えない部位などを刺された時には、特に便利です。

明治きず軟膏(旧イソジン軟膏)(消毒薬)


アマゾン 【第3類医薬品】明治きず軟膏 5g
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切り傷、擦り傷、靴ずれなどの治療に使用します。

イソジン成分が入っており、傷口に対して高い消毒効果を発揮します。

例えば、靴ずれが起きてしまった時、患部にこれを塗ってバンドエイドやキズパワーパッドを貼り、剥がれないようにして、ひと晩眠ると翌朝にはけっこう傷が治っています。

この処置をしていれば、縦走中の不衛生な環境でも靴ずれが悪化して化膿することはほぼありません。

イソジンには液体のものが多いのですが、登山用には軟膏タイプが使いやすいのでおすすめです。

ドルマイシン(化膿止め)

アマゾン 【第2類医薬品】ドルマイシン軟膏 12g
楽天   【第2類医薬品】ドルマイシン軟膏 12g

こちらも、切り傷、擦り傷、靴ずれなどの治療に使用します。

使い方はイソジン軟膏と同じで、靴ずれや傷口に塗ってバンドエイドやキズパワーパッドを貼っておけば、不衛生な環境でも化膿せず、翌朝にはけっこう治っています。

イソジン軟膏とドルマイシンは、どちらも傷の治療に対しては同じような効果(傷の治りを早くする、化膿しない)がありますので、山ではどちらかひとつあれば良いと思います。

フルコート(強ステロイド軟膏)

アマゾン 【指定第2類医薬品】フルコートf 5g
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主にひどい虫刺されに使用します。

強いステロイド軟膏は、患部に塗ると一晩で驚くほど治っています。

このほか、行動中のひどい汗もなんかにも効きますし、掻き壊した部分にはステロイドを塗って、バンドエイドを貼っておくと治りが早くなります。

目薬

アマゾン 【第3類医薬品】ロートクール40α 12mL
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アマゾン 【第2類医薬品】ロート抗菌目薬EX 10mL
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登山中に葉っぱや木の枝、虫などが目に飛び込み、その場でうずくまってしまうことがあります。

涙で流しても取れない場合は、目薬をドバっと目に刺します。

目薬であれば、銘柄は何でも構いませんが、フタが小さくて、ねじ込み式の目薬は、咄嗟の時に案外と使いにくく、フタが大きく、目をつぶっていてもフタが締めやすい、ロートの「40α」シリーズは使いやすいと思います。

また、泊を伴う登山では、不衛生になりがちです。

うっかり目を擦ったりすると、ばい菌が目に入り、行動中、目やにが出て不快な思いをすることがあります。

このような場合は、抗菌目薬を使用すると、下山まである程度は悪化せずに済みます。



救心、六神丸(強心剤)


アマゾン 【第2類医薬品】救心 30粒
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アマゾン 【第2類医薬品】虔脩ホリ六神丸R 54粒
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ファーストエイドでは、あまり語られることのない薬ですが、実は登山ではかなり有効な薬です。

筆者が登山を始めたころ(昭和60年ころ)、山岳会のベテランさんの中には「六神丸(ろくしんがん)」や「救心(きゅうしん)」を持って歩いている人がけっこういました。

どちらも、動悸、息切れ、めまい、きつけ薬など、心臓の市販薬として有名な薬ですが、一般的には心臓が悪い人や、お年寄りなどが飲むものだと思いがちです。

筆者が山岳部時代、羅臼岳で体調不良のため、かなりバテててしまい、心拍数が下がらなくなり、顔面蒼白になって小休止していたとき、ある山岳会の超ベテランさんから、無言で渡されたのが「六神丸」でした。

六神丸は1mmくらいの小さい黒い粒なのですが、たった2粒飲んだだけで、小休止直後の行動で心臓のどきどきはなくなり、その日の行動は隊列から遅れることなく終えることができました。

以降、自前で六神丸を持ち歩くようになりましたが、体力の限界で、心臓が回復出来ない時には必ず飲んでいます。

ハードな登山では特に必需品ですし、体力に自信がない人や中高年登山者には、心臓回復のための良いアイテムになると思います。

六神丸と救心、どちらも効果は変わりませんが、六神丸の方が値段が安い場合が多いです。

登山中に飲む際は、落としやすいので細心の注意を払いましょう。

土の上に落とすと、まず見つかりません。

量は、1日に1、2回程度使用するとして、山行日数分持って行きます。

赤玉、又は熊の胆(胃腸薬)

アマゾン 【第2類医薬品】小粒赤玉はら薬
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楽天  熊膽圓(ゆうたんえん)熊の胆 6個 第一薬品工業
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人はかぜをひいて熱があっても何とか歩けますが、腹が痛いと歩けません。

胃薬と腹薬の両方を持ち歩いても良いですが、胃痛、腹痛、下痢などに効く腹の万能薬が便利です。

いわゆる「富山の置き薬」と言われる薬の中には腹の万能薬があり、「熊の胆(くまのい)」や「反魂丹(はんごんたん)」「赤玉(あかだま)」などはその代表選手と言えます。

熊の胆や反魂丹は通販でしか手に入りませんが、赤玉はドラッグストアーでもよく見かけます。

筆者は現在赤玉を常備していますが、登山中、腹の具合が悪い時に重宝しています。

量は、1日に1、2回程度使用するとして、山行日数分持って行きます。

ワカ末(下痢止め)

アマゾン 【第2類医薬品】ワカ末止瀉薬錠 30錠
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下痢や腹痛時には腹薬を飲みますが、腹薬を飲んでも直ちに下痢が止まるわけではありません。

山では下痢が止まらないと行動できません。

本来、下痢は出し切ることが基本なのですが、行動中は止める必要がありますので「下痢止め」を飲むのが有効です。

下痢止めはいくつもありますが、筆者は「ワカ末」を使用しています。

よほどひどい下痢でない限り、1回服用すれば、すぐに下痢は止まります。

量は、1日に1回程度使用するとして、山行日数分持って行きます。

イブ(解熱鎮痛剤)

アマゾン 【指定第2類医薬品】イブA錠 60錠
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発熱や痛みがある時に服用しますが、山での主な用途は、怪我などで痛みがある時でも、行動しなければならない時に服用します。

例えば、靴ずれがあり、処置しても痛む場合や、腰痛や関節痛が辛い時などに、解熱鎮痛剤を服用すれば、痛みによって体力を消耗しなくて済みます。

量は、1日に2回程度使用するとして、山行日数分持って行きます。

睡眠薬

アマゾン 【指定第2類医薬品】リポスミン 12錠
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必ずしも必要ではありませんが、あると役立ちます。

泊を伴う登山では、強風がテントをたたく音などで目が冴えてしまい、十分な睡眠がとれないことがあります。

睡眠不足になると、集中力が低下するほか、体力の消耗が激しくなり、バテやすくなります。

眠れない時には、睡眠薬を飲んだ方が、体力を維持できる場合が多いと思います。

睡眠薬は上の画像のような市販薬もありますが、病院で処方されるものと比べると効果が低いので、よく効く睡眠薬が欲しい場合は病院へ行くか、ネットで輸入品を購入する方法もあります。

また、睡眠薬は、物によっては副作用で翌日、頭がすっきりしない場合もあるので、登山前に一度服用してみて、自分に合った物を使用するようにします。

量は、1泊に1回程度使用するとして、泊数分持って行きます。

消炎鎮痛剤


アマゾン 【ヒルドイド同等品】ヒルマイルドクリーム 60g
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アマゾン バンテリンコーワクリーミィーゲルα 35g
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縦走などの泊を伴う登山では、入山の翌日以降、筋肉痛や腰痛、関節痛などに悩まされ、行動に支障が出る場合があります。

就寝前に消炎鎮痛剤を患部に塗っておくと、翌朝、筋肉や関節の痛みは、塗らなかった場合に比べ、かなり緩和されます。

消炎鎮痛剤は、チューブタイプの物(クリームやゲル)の方が、登山ではかさばらず、銘柄については、消炎鎮痛剤であれば、効果はほぼ変わりませんので、バンテリン、フェイタス、ボルタレンなど、自分の好きなものを選ぶと良いでしょう。

筆者は現在、ヒルドイド軟膏(ヒルドイドは保湿薬と思われがちですが、消炎鎮痛効果が高い薬のひとつです)を使用していますが、腰痛や筋肉痛にけっこう効きます。

(ヒルドイドやバンテリンの消炎鎮痛効果の比較実験をしました。詳しくは「筋肉痛にバンテリンよりもヒルドイド?消炎鎮痛剤の比較実験!」を読んでみて下さい。)

ダニ取り専用器具(ティックツイスター)

アマゾン ティックツイスター オリジナル マダニ取り 大小2本組セット
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春から初夏の笹の多い場所などでは、マダニが多く、食いつかれる場合があります。

マダニの除去は、皮膚科を受診するのが基本なのですが、マダニがちぎれることなく、きれいに除去できるのであれば、現場で除去する場合も多々あります。

マダニの除去は、食いつかれて間もない場合は、手で引っ張って取ることもできますが、マダニのサイズが小さい場合や、食いつかれて時間が経過してしまった場合などは、マダニの除去が難しい場合があります。

このような場合、ティックツイスターがあると、マダニを除去しやすくなります。

サプリメント(アミノ酸、ビタミン、ミネラル)


アマゾン ウイダー アミノタブレットビッグボトル600粒
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アマゾン ディアナチュラ マルチビタミン&ミネラル200粒50日分
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アマゾン DHC マルチミネラル60日分 180粒
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救急セットの範疇から外れるのかも知れませんが、サプリメントは体力の維持、バテ防止、疲労回復にとても役立つほか、熱中症時のミネラルの補給にも役立ちます。(サプリメントの効果について詳しくは「登山とサプリメント~バテない登山をめざせ」を読んでみて下さい。)



救急セット以外で救急にも役立つもの

救急セット以外のもので、救急セットと兼用できる装備品には以下のような物があります。

  • 裁縫セット
  • ガムテープ
  • ビニールテープ
  • 汎用ナイフ
  • 手ぬぐい

これらは、救急とは別の用途(修理用品など)で持参する装備なのですが、救急セットと兼用することで、装備の軽量化になります。

裁縫セット


アマゾン Clover ソーイングセット SS-201 ブルー 38-121
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裁縫セットはテントやザック、衣類の補修などに使用しますが、セットの中にある針は、とげ抜きなどにも使えます。

ガムテープ

ガムテープは、登山靴の応急修理や様々な用途に使用しますが、患部の固定など、包帯の替わりとして使用できる場合もあります。

ビニールテープ

ビニールテープは応急修理やマーキングテープの代用など様々な用途に使用しますが、ガムテープ同様、患部の固定などにも使用できます。

汎用ナイフ

小型の汎用ナイフは応急修理や調理などに使用しますが、救急で物を切り裂いたりする時に、アーミーナイフでは小さすぎて使いにくい場合、小型の汎用ナイフの方が便利な場合もあると思います。

タオル

大きさにもよりますが、緊急時には三角巾の代用にしたり、縛って止血に使用したり、ガーゼの代用など、使用の方法によって用途は広がります。

 

包帯、ガーゼ、サージカルテープ、湿布などはどうするか?~大怪我をした場合の考え方

包帯、ガーゼ、サージカルテープ、湿布などを使用する場合とは、比較的大きな怪我の場合と考えられます。

筆者の場合、幸いにして自他共に山で包帯やガーゼを使用するほどの怪我には一度も遭遇したことがありませんので、これらの救急用品の出番は少ないと考えています。(※骨折はありますが、後述します)

これらは使用実績がないから、必要がないとうことにはならず、できればこれらのものも用意しておいた方がベターだと考えます。

筆者は通常、包帯やガーゼ、湿布は持ち歩きませんが、この理由については、山行日数を考慮してのことです。

筆者は日帰り~3泊程度の山行が多いのですが、仮に、3泊程度の縦走中、縫合が必要なほどの裂傷を負った場合、部位にもよりますがタオルや衣類とテープ類を利用して、傷口を保護して緊急下山すると思います。

入山初日や最終日なら1日で下山できますし、2日目や3日目で怪我をしてエスケープルートがない場合、進むにしても引き返すにしても下山までに1泊2日程度は要します。

1日や2日程度で傷口にばい菌が入り、命にかかわるという事もそうそうないとは思います。

それ以上、傷口が大きい場合や容体が悪い場合は、救助要請になる可能性が高いと思います。

遭難場所にもよりますが、迅速的確に救助要請すれば、ほとんどの場合1日~2日で救助されることが多いと思います。

山行日数が長い場合で、エスケープルートが思うように確保できないような場合などで、怪我の発生から自力下山まで数日を要するような可能性がある場合には、包帯やガーゼなど、それなりの救急用品が必要になってくると思います。

このような理由で、筆者の場合、比較的山行日数が短い場合では包帯などの救急用品を省略しています。

湿布についてですが、打撲や骨折をした場合、急性期に湿布を貼っても気休め程度にしかなりません。

打撲や骨折の急性期の処置は「アイシング(氷で冷やす)」するのが基本です。

沢や雪でもない限り、山で患部を冷やすことはできませんので、急いで下山するか、動けなければ救助要請するしかありません。

打撲や骨折をした場合、現実的なのは解熱鎮痛剤を飲んで下山まで耐えるということになるでしょう。

なお、筆者は下山中、滑落して足首を骨折したことがありますが、救助要請するより自力下山の方が早いと判断し、この時、解熱鎮痛剤を飲みながらストックを突き、なんとか下山したことがあります。(詳しくは「冬山の滑落事故・止まらないアイスバーン」を読んでみて下さい。)

この時、役に立ったのは湿布ではなく、解熱鎮痛剤です。

激痛があると痛みで動くことができませんので、よく効く解熱鎮痛剤が必要になります。

なお、救急用品や応急処置については、登山者それぞれの考え方があると思いますので、これらはあくまでも参考として頂ければと思います。

 

まとめ

登山者によっては、これだけでは足りない、または多すぎるなど様々な考え方があると思います。

今回紹介した救急セットの内容は、単独行(4泊未満)が多い筆者が常に持参しているもので、幸いにして現在まで、この内容で応急処置ができなかったことはありませんので、必要最低限の内容だと思い紹介しました。

実際の山行ではそれぞれの登山スタイルや、それぞれの持病などに見合った、オリジナルの救急セットを作成して、緊急時に備えるようにしましょう。






プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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