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元山岳部部長の登山講座

ゲイターの選び方。ショートスパッツ、ロングスパッツ

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ゲイターの選び方。ショートスパッツ、ロングスパッツ

登山靴にはスパッツ(ゲイター)をかけると便利です。

スパッツには脛まであるロングスパッツ、足首だけのショートスパッツなどがあります。

今回はスパッツのあれこれや選び方について説明します。

 

スパッツってなに?

スパッツは日本語でいうと脚絆(きゃはん)です。足首に装着して、靴に異物が入らないようにしたり、ズボンのすそがひらひらしないようにしたり、脛を保護したりするものです。

最近ではゲイターと呼ぶ場合が多くなりました。

40年以上前は登山にスパッツをしている人はそんなにいませんでした。

冬山にはロングスパッツというのが今も昔も常識ですが、当時、夏山でロングスパッツをしている人は皆無で、ショートスパッツをしている登山者も少数派でした。

30年前(昭和60年ころ)に第1次中高年登山ブームがありましたが、このブームに乗って登山をはじめた人達は、夏山でもロングスパッツをしているという特徴がありました。

当時は防水透湿生地のゴアテックス製スパッツはまだまだ一般的ではなかったので、真夏にロングスパッツをすると無駄に足が蒸れますので、その姿は奇妙に写りました。

平成の始めころ(バブル絶頂期)になると、世間の女性達にピタッとした黒い七分のタイツっぽいものがやや流行し、それを「スパッツ」と呼んだために、登山をする人にとってはとても違和感がありました。

現在、登山界で「スパッツ」じゃなくて、「ゲイター」という言葉を使いたがるのは、いわゆるピタッとしたタイツの短いやつを「スパッツ」と呼ぶから、混同するのを避けるために、メーカーが「ゲイター」を使い出したようです。

「スパッツ」と呼んでいた世代の人にとって「ゲイター」という言葉をはじめて聞いた時には「なにっ?」と思ったものです。

「ゲイター」という呼び方は「スパッツ」よりも外人に通じるようです。

もともとはフランス語の「ゲートル」から来ているようですが、ゲートルと言えば日本兵が足に装着していた「巻き脚絆」が有名です。

「ゲイター」は「ゲートル」のことだとわかると、「ゲイター」と「スパッツ」が同じものであることは妙に納得できます。ちなみに、日本陸軍が創設当時、仏軍に範をとったせいで我が国にゲートルの名称が定着したという経緯があります。

 

スパッツの種類と選び方と使い分け

スパッツにはショートとロングがあり、中間的なミドル(セミロング)というものもあります。

ショートスパッツ

ショートスパッツは足首だけの短いもので、防水になっていて、登山靴の中に石ころ、雨水、草つゆなどが侵入するのを防止します。靴ひもの結び目が反対の靴に干渉して、ひもが引っ掛かるのも防止してくれます。

晴れた日で道が整備された山の日帰り登山では、登山靴のひもを上まで編み上げれば、石ころはそんなに入るものではないので、あってもなくても良いものですが、道が悪かったり、長丁場の登山ではショートスパッツはつけっ放しの方が便利です。

少し前まで真夏でもロングスパッツをするのが流行っていました。

夏山でロングスパッツをする理由は、大は小を兼ねるということ、ゴアの登場で蒸れづらくなったということ、ズボンが汚れないという理由(ズボンの汚れは山では気にするところではない!)だったようですが、あまり説得力がありません。

山ガールファッション出現以降は、定番の真夏でもロングスパッツスタイルは下火になっています。

ショートスパッツは足首だけ覆うので蒸れず、ゴアである必要はまったくありません。ナイロン製で十分です。

夏山にロングスパッツやミドルスパッツでもゴアなら蒸れづらいので、装着していっても問題はありませんが、スパッツは長いものほど値段も高く、ショートスパッツで十分用が足りますので、夏山にロングスパッツを履かなければならない必要性は限りなくないでしょう。

中には、ロングやミドルの方が、雨が降ってカッパが短かった時に雨が侵入しづらいということを言っているのも耳にしますが、カッパは命にかかわる重要装備です。そんな短いカッパのズボンを山に持って行くこと自体があり得ません。

流行りやファッションに左右されず、道具の使い方を理解すれば、ショートスパッツになると思います。

夏山ではスパッツは岩や枝に擦れたりして数年使用すれば穴が開きますので、生地はやや厚いもののほうが長持ちします。

ということで、夏山をガンガン行く人にはゴアテックスじゃない、ナイロン製でやや厚めのショートスパッツをおすすめします。

【 秀岳荘オリジナル 】ショートスパッツ ファスナー式

 

ロングスパッツ

前述のように、夏でもロングスパッツを履くパターンもあります。どうしても、ズボンへの泥ハネが気になるのならゴアテックス製ロングスパッツを装着することになるでしょう。

もともとロングスパッツは、腿や腰まで雪に埋まる雪山登山の時に、登山靴に雪が侵入しないよう装着するものです。

積雪期の登山をする場合にはロングスパッツの装着は必須です。

材質はゴアテックス製がほとんどですが、ゴアじゃないロングスパッツを履いたとしても、積雪期では気になるほど蒸れません。

しかし、ゴアの方が快適ですのでおすすめです。

形状はどの商品も大差はありませんが、ファスナーの位置が前だったり、サイドだったり、後ろだったりします。

いろいろ使ってみましたが、ファスナーは前のものが脱着しやすいと思います。(ファスナーがサイドや後ろだったら、前で締めてからスパッツをくるっと回すだけなのですが・・。)

ちなみに、冬山用登山靴の中には、ゲイター付きブーツというものもあって、ロングスパッツの脱着の煩わしさがなくて便利だといわれています。

イスカ(ISUKA) ゴアテックスライトスパッツ フロントジッパー (S)

 

ミドル(セミロング)スパッツ

ミドルスパッツはどのような登山者の需要にこたえているのかよくわかりません。

夏山で、ショートじゃ泥ハネが気になる人にはミドルになるのだ思いますが、冬山にミドルスパッツという選択肢はありません。

夏はショートスパッツ、冬はロングスパッツを用意していれば、ミドルスパッツの出番はなさそうです。

モンベル(montbell) GORE-TEX Lスパッツセミロング SHAD

 

装着時の注意

スパッツを装着するときは、ファスナーを締めたあとに、最後に靴裏にゴムをまわしてフックに掛けますが、フックにかける側は靴の外側にした方が外れにくくなります。

靴の内側でフックをかけた方が装着しやすいのですが、靴の内側は歩く時に靴同士が干渉してゴムがはずれやすいということを覚えておきましょう。

雨天時や、早朝の朝つゆ、雨後に歩く場合、カッパを上下あるいは、下だけ着ることになりますが、この時、カッパのズボンを履いてからスパッツを装着してはいけません。

カッパについた水はスパッツの内側に入り、靴下の上部を濡らし、靴下全体が濡れ、靴の中がぐちゅぐちゅになります。

せっかく、ゴアテックスの登山靴を履いていても、これではものの30分で登山靴の中は洪水になってしまいます。

カッパを着る時には、必ず登山靴にスパッツを装着してからカッパのズボンを履くようにしましょう。

なお、冬山でロングスパッツを装着する場合は、オーバーズボンの上からスパッツを装着します。

 

予備のゴムは持って行く

スパッツのゴムは地面と接しますので、使用しているうちに必ず切れます。

登山に出発する前に、スパッツのゴムは必ず点検して、切れそうなら事前に交換します。

登山中に切れてしまっても交換できるよう、予備のゴムひもは必ず用意しておきましょう。

なお、ゴムの交換の時、ものによっては、ゴムが金具でしっかり止まっていて、ペンチかマイナスドライバーが必要な場合があります。

交換の要領も事前に確認してから登山に出かけるようにします。




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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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