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元山岳部部長の登山講座

夏山装備(縦走編)

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夏山装備(全荷、フル装備)

今回は2日以上にまたがる山行の場合、つまり全荷(ぜんに、宿泊可能なフル装備)の夏山装備について書いていきます。

装備の選び方の基本的な考え方は必要なものを必要なだけ分だけ持って行くという点では日帰り登山と一緒です。

日帰り登山の装備にテント、寝具、飯炊き道具など宿泊対応な装備をプラスした、フル装備のことを全荷と呼びます。

北海道の山では、山小屋はあっても食事や寝具を提供するところは私の知る限りありません。

幕営すなわちキャンプしながらの縦走を想定して説明していきます。

以下に具体例を上げていきます。

 

個人装備

・水筒1.5~3リットル(気温とコースの長さによる)

・行動食(山行日数分+行動日数延長時の予備分。飴などの糖分、塩飴、飲むゼリー、カロリーメイト系、ソーセージ系、その他甘い系のお菓子など)

・雨具上下(上着だけの100円カッパは宜しくない)

・ヤッケ(ウインドブレーカーなど防風性のウエア、ゴアテックスの雨具があれば兼用できる)

・セーター(フリースなどの防寒ウエア)

・シュラフ(寝袋)ゴミ袋などに入れ防水措置

・エアーマットまたは銀マット(寝袋の下に敷く)

・手ぬぐい(汗ふき、三角巾、止血にも)

・軍手

・携帯電話(非常通信手段、使用しない時は電源を切る)

・ヘッドランプ

・筆記用具

・登山計画書または登山計画を書いたメモ帳(駐在所に登山届を出す場合は提出用の計画書も用意)

・食器(アルミ製)

・スプーン、フォーク

・ポケットティッシュ(大便に対応できる個数以上)

・ホイッスル(クマよけ、遭難信号など)

・クマよけ鈴

・靴ひも予備

・ザックの防水カバー

・サプリメント(行動日数が長いと栄養が偏り消耗する。ビタミン剤、アミノ系~疲労回復に効果、ミネラル系~熱中症防止)

(サプリメントの詳細記事はこちら→バテない登山をめざせ

以下、必要に応じて

・持病薬

・登山用ストック(体力のあるなし、登山道の状態によっては適さない場合もある)

・携帯トイレ(義務化されている山があります)

・ヘルメット

・空気枕

共同装備

・テント一式

・食糧(朝昼晩3食×日数分、基本はインスタント食品。お湯を注ぐだけのフリーズドライ食品はたくさん種類があり軽くて良い、腐るものは初日の晩に食べてしまう。栄養や好みによってレトルト食品、ソーセージや缶詰も良いが水分を含む食糧は重たい)

・非常食(悪天などで行動日数延長を考慮。行程にもよるが数日分のフリーズドライ食品などが適している)

・1/25000地形図(マップケースに入れるなど防水措置)

・コンパス

・ストーブ(携帯コンロです。ガス式が多い。その他灯油式のマナスルなど)

・予備ガスボンベ又は予備の灯油

・アルコール(マナスル使用時の予熱用。固形アルコールでも可、ガス式ストーブには不必要)

・コッヘル(沢水煮沸用、食事用、最低2個)

・コッヘルや食器をふく紙(ポケットティッシュなど)

・調理用ナイフ(スプーン、フォーク付きのキャンプ用ナイフやスイスアーミーでも可)

・適当な薄い板(テントで煮炊きをする時に床に敷く、まな板にもなる。専用のキャンプ用まな板、キャンプ用ミニテーブルを使用する人もいる)

・火器(マッチとライター。ライター故障時はマッチが頼り。ジップロックなどに入れ防水措置)

・予備電池(携帯充電、ヘッドランプ、GPS用など)

・でかすぎないガムテープ(登山靴が壊れた時や、その他応急用)

・救急用品(胃腸薬、痛み止め、きつけ薬(救心など)、虫よけグッズ、バンソーコ、テーピングテープ、目薬、消毒軟膏、ステロイド軟膏、靴ずれパッチなど)

・赤いビニールテープ(装備の応急修理やマーキングテープとしても使える)

・ビニール袋(ゴミ袋用)

・ウエス、雑巾

・ミニ裁縫セット

・修理工具(ペンチ、適当な長さの針金、ミニドライバー)

・ラジオ

・細引き(5mmくらいの細い雑用ロープ4~5m×数本)

以下必要に応じて、

・ザブザック(キャンプ地や縦走途中に日帰りアタックする場合)

・ツエルト(ビバーク用簡易テント、キャンプ地から日帰りアタックする場合)

・山ナタまたは登山ナイフ

・ハンディGPS

・天気図用紙

・ポリタンク(次のキャンプ地で水が取れない場合)

・布バケツ(折りたためる、キャンプ地から水場まで遠い時)

・マーキングテープ(道しるべ、ピンクや水色がある)

・クマよけスプレー

・アマチュア無線ハンディ機(免許があれば)

・毒吸いポンプ(ポイズンリムーバー)

・高度計

上記は単独行で1泊2日としたら70リットル程度のザックで収まり、重量は25kg程度になります。

日数が増えるほどに食糧などが増えますので重くなります。

上には書いていませんが、道中にザイルがないと通過が危険な場所がある場合はザイル、カラビナ、ハーネスなどが必要となってきます。

また硬くて急な雪渓があるような場所では軽アイゼンを着ける人もいるでしょう。

日帰り登山とのちがい

日帰り登山との大きな違いは、テントの中で寝泊まりをするということで、生活必需品が発生するわけですから様々なものが必要になります。

しかし、あれも便利これも便利といっているとザックは際限なく重たくなります。

装備は必要最小限に留め、荷はコンパクトに、なるべく軽くすることが求められます。

また登山用のテントは小型軽量化されているため、レジャー用テントとくらべ、とても狭くて窮屈です。

山でのテント生活は整理整頓・清潔・几帳面さなど、とにかく合理主義が徹底的に求められます。

ファミリーキャンプの経験が豊富でも、その経験は山ではほとんど役に立たないと思って下さい。

全荷での登山では、共同装備の分担もひとり当たりの負担が日帰り登山にくらべ、とても大きくなります。

食糧係に当たれば初日のザックは恐ろしく重たくて、日に日に軽くなります。

逆にテント係やゴミ係は日に日にザックが重たくなってくるなど、人によっては不公平感が生まれたりしますので、メンバーの体調やメンタルなどを考え、雰囲気が悪くならないようリーダーが気を使うところでもあります。

夏山装備(日帰り編)でも書きましたが、具体的にどんな装備を持っていくかについて模範解答はありません。

必要なものを必要なだけ分だけ持って行くというのが正解です。

全荷による登山は日帰り登山にくらべると、持って行く装備の選定を間違えたり、忘れ物をすると行動不能に陥るリスクは更に高まりますので、とても慎重になります。

持っていく装備は、登山者によって細かいところで考え方に差が出ると思います。

しかし、山行回数を重ね、色々と工夫していけばひとつの形が徐々にできあがり、どの登山者も大筋で似たような装備になっていくことでしょう。

 

今回は必要な夏山装備ということでさらっと紹介しました。

個々の装備の特徴や良し悪しなど、細かい点については、たくさんあり過ぎるので追々書いていきたいと思います。

看板(下)

平成28年8月



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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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