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元山岳部部長の登山講座

登山に適した水筒の選び方とは

登山に適した水筒の選び方とは

水筒にはいろいろな、大きさや材質があります。

それぞれ、用途によって使い分けます。

登山においては、丈夫で、絶対に液漏れしなくて、口が広いものが使いやすいでしょう。

いまのところ、アメリカ製の「ナルゲン」が最も使いやすい水筒のひとつと言われています。




登山用水筒の代名詞、ナルゲンボトルの特徴

1L用ナルゲン

一般的に登山に使用するナルゲンといえば1L用のものです。

これを登山の行程に合わせて数本持参します。

1L用ですが、いっぱいまで水を入れると1.2L程度入ります。

山では水は貴重なのでいっぱいまで入れますが、ナルゲンのフタは昔から液漏れしなことで有名です。

フタはよくあるような、ネジ山で締め込んで、フタ裏のパッキンで密閉するタイプではありません。

フタのネジ山が特殊な構造になっていて、ネジ山だけで密閉されます。

力一杯締めなくても絶対に液漏れしません。

登山においては、大きな信頼感です。

筆者は15年以上ナルゲンを使用していますが、経年使用でフタがあまくなったり、液漏れを起こしたことは今までにありません。

ボトルも頑丈です。

ボトルが広口になっているのも登山では適しています。

広口ボトルは水深の浅い沢でも水が汲みやすいですし、沢水を煮沸したあと、コッヘルから水を移す時にも、口が広いので便利です。

スポーツドリンクの粉も入れやすいです。

口が広いので中が洗いやすくて清潔です。

口が広く、密閉性が高いので、防水の目的で行動食や雑貨などを入れる人もいます。

ボトル本体の材質はPETG(ポリエチレンテレフタレート)で耐熱温度はー20℃~100℃、フタの材質はPP(ポリプロピレン)で耐熱温度は0℃~100℃です。

煮沸したばかりの熱湯を入れても大丈夫ですし、凍らしても大丈夫です。

フタに脱落防止のループが付いていますが、ここをつかんで持っても、緩んだり、ちぎれたりしません。見た目よりけっこう丈夫です。

ひとつだけ注文をつけるとすれば、本体の材質は無臭ですが、フタはポリプロピレンなので、ややにおいがします。

まあ、他社の同等品の水筒もやっぱりフタはポリプロピレンなので、そこは大目にみることにします。

このように、登山用の水筒として、ナルゲンは丈夫で扱いやすく、汎用性が高い形になっているといえます。



ほかにはこんな水筒も

水筒には、ナルゲンのようなプラスチックタイプのほかに、アルミやステンなどの金属タイプ、折りたためるソフトタイプ、長いストローがついたハイドレーションタイプがあります。

金属タイプ~アルミ製

アルミ製の水筒は長い歴史があります。

軽さと、丈夫さ、においがしない、格好の良さではプラスチックタイプを凌ぎます。

アルミ製のほとんどの水筒は基本的に保温性はありません。

丈夫ですが、ぶつけると、へこみます。

SIGG(シグ) トラベラースイスエンブレム1.0L

 

金属タイプ~ステンレス製

ステンレスタイプのほとんどは、サーモスに代表される魔法瓶です。

体が冷えて温かい飲みのもがほしい時や、熱湯を入れて行けば、頂上でカップめんを作ることもできます。

THERMOS(サーモス) 山専用ステンレスボトル900ml

 

プラスチックタイプ

前述説明したナルゲンボトルです。モンベルなどでも、似たような商品が出ています。

このシンプルな形が山では汎用性があり、洗浄も簡単で清潔、丈夫で長持ちします。

nalgene(ナルゲン) カラーボトル 広口1.0L

 

ソフトタイプ

ソフトタイプは軽くて、使用後は折りたためるという利点があります。

プラスチックタイプや金属タイプに比べると当然耐久性がありません。経年使用で穴が開きます。

耐久性はともかく、荷を少しでも軽くしたい人にはソフトタイプが断然有利です。

大きさは1L程度のものから大容量のものもあります。

下の商品は容量が3Lありますので、大量の水を背負わなければならない時(ルート上に水が取れないテント場がある時など)には役立つでしょう。

 

nalgene(ナルゲン) フォールディングカンティーン 3.0L

 

ハイドレーションタイプ

トレイルランをやる人など、止まって休憩しないような登山スタイルに適しています。

最近では、ハイドレーションが使えるように小さな穴が開いているザックを多く見かけますが、ザックから水筒を出す余裕もないような登山はそんなにあるものではありません。

熱中症対策のために、歩きながら小まめに吸水したい場合には便利なのかも知れません。

 

OSPREY(オスプレー) レザヴォア 2L

 

登山には何リットル持って行く?

1日の登山で飲む水の量ですが、計算方法は諸説あります。

水が多すぎれば、ずしりと重たいですし、足りないと喉が渇き、苦しい思いをします。

真夏の登山を例にあげると、熱中症対策のためには、30分に200ml程度の給水が必要になるので、1時間に400mlは必要になります。

例えば、下山まで5時間程度の登山なら、

400ml×5=2Lは必要になります。

ほかには、こんな計算式もあります。

脱水量(ml)=5×体重(kg)×行動時間

この計算式では、体重60kgの人が5時間登山をすると、

5×60kg×5時間=1500ml

つまり、1.5Lは給水が必要になります。

山で飲む水の量は気温で大きく変わります。秋山など寒い時には、真夏の半分程度しか水筒が減らないこともあります。

・400×行動時間=必要な給水量(ml)

・5×体重(kg)×行動時間=必要な給水量(ml)

汗をあまりかかない人、汗っかきな人など、発汗量は個人差がありますが、上記を参考に計算してみて、自分が必要な水の量を決定して下さい。

 

まとめ

日帰り登山ではペットボトルを使っている人が多いと思います。

ペットボトルは水筒ほど丈夫ではありませんが、軽くて、それなりの強度があるので、日帰り登山オンリーの人には水筒は必要ないかも知れません。

日帰り登山でも、年間山行日数が多い人、縦走登山や冬山などハードな登山を目指したい人は水筒を用意しましょう。

タフな作りで信頼性がある、ナルゲンは特におすすめです。

一度買うと、とんでもなく長持ちします。






プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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