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元山岳部部長の登山講座

冬山登山の服装は?

冬山登山の服装は?

冬山登山にはどんな服装を用意すればよいのか?

今回は積雪期登山の服装について説明します。



冬山の服装を用意する期間

冬山の服装を着用する期間は、山の標高にもよりますが、高い場所で確実に0℃を下回る時期は冬山の服装を用意または着用して登山をすることになります。

初冬の山や春山の暖かい日には冬山の服装がいらないと思われる時もありますが、低気圧が来ると山は真冬と同じ状況になります。(参考記事~「またか?大雪山旭岳4人遭難~事故を分析

真冬じゃない季節には油断が生じますので、軽装で入山し、遭難してしまう事故は毎年のように起こっています。

高所で吹雪になる可能性のある時期は、基本的に真冬と同じ服装を用意して入山することになります。

アウターやフリースなどは、暑ければ脱いでザックにしまえば良いだけなので、吹雪かれる可能性のある時期はいくら天気がよくても面倒がらずに真冬と同じ服装を用意するのが基本です。

アクシデント発生時に山中で数泊ビバークしても耐え得るような防寒対策を必ずしましょう。

 

冬山の服装とは

アウターはハードシェル上下(ヤッケとオーバーズボン)、中間着(ミッドレイヤー)はウールやポリエステルの厚手~中厚手のもの、肌着(ベースレイヤー)もウールやポリエステルの厚手~中厚手のものを着用します。また、最近では肌着の下にドライレイヤーと呼ばれる薄いシャツを着て汗冷えを防止するのが主流となりつつあります。

このほかに、防寒用としてフリースやセーターを2枚程度用意しておきます。

小物としては、目出し帽、ネックウオーマー、防寒手袋、白手袋、オーバーミトンが必要で、靴下は1枚という人もいますが、大概2枚重ねになります。

登山靴の上にはロングスパッツ(ゲイター)を着用します。

次にそれぞれの服装について具体的に説明していきます。

アウター

MAMMUT(マムート) GORE-TEX GLACIER Pro Jacket black

 

マムート MAMMUT GORE-TEX GLACIER Pro Pants XL black(0001)

冬山では、防水透湿性のアウター、いわゆるゴアテックスハードシェル上下を着用するのが主流です。

ハードシェルとは簡単にいうと、ゴアテックスのカッパを厚く丈夫にして裏地をつけたようなものです。

ゴアテックスハードシェルは防寒、防風、防水、透湿性があり、冬山のアウターとしてはとても優れています。

ハードシェルには生地の中間に保温材(中綿)が入っているものと入っていないものがありますが、登山では通常中綿なしのものを着用します。(中綿が入っていると行動中、暑すぎるため)

かつて冬山の主役であったヤッケとオーバーズボンはナイロン製でしたので、ゴアテックスハードシェルに比べると通気性は抜群で、暑くなりづらく行動中はとても快適でしたが、防水性がありませんでしたので、ラッセルなどをするとたちまち生地は水気を吸い、翌朝はバリバリに凍結する状態でした。

ゴアッテクスは外からの水気を防水し、内側の湿気は外に出すという素材なので、雪や氷で濡れながらも内側は大汗をかく冬山では打ってつけの素材なのですが、通気性はかつてのナイロン製ヤッケより劣ります。

最近では冬山のアウターとして、ソフトシェルを着用するという考え方も出てきました。

ソフトシェルは防寒、防風性、通気性がありますが、防水性はありませんので、かつてのナイロン製ヤッケとやや似た特徴があります。

防水性はなくても、通気性が良い方が行動中は汗だくになりづらく、快適だということです。

なお、ソフトシェルの弱点である防水性を補うために、雪や氷で濡れるような場面ではソフトシェルの上に薄いゴアテックスのアウター(いわゆるゴアのカッパ)を着用するというような考え方もあります。

冬山のアウターをゴアテックスハードシェルにするのか、ソフトシェルにするのかは、登山者のレイヤリングの考え方によるところが大きいのですが、雪による激しい濡れがほとんど想定されないような日帰り登山ではソフトシェルが快適でしょうし、ラッセルや雪洞掘り、泊を伴う登山などでの場合、アウターはけっこう濡れますので、ゴアテックスハードシェル上下を着用するのが一般的でしょう。

 

中間着(ミッドレイヤー)

mont-bell(モンベル) クリマプラス200 ジャケット Men’s

中間着はかつてはウールが主役でしたが、現在はフリース(ポリエステル製)で適度な厚みものが好まれています。

中間着のラインナップは非常に多く、メーカーのカタログを見てもわかりづらいという印象です。

冬山では寒い時や風雪の中ではアウターを着用して歩きますが、どんなに寒くても背中は汗でびしょ濡れになるものです。

また、天気の穏やかな日は体温調整のためにアウターの上を脱いで中間着だけで行動する場合が多くあります。

ですので、中間着は薄すぎても寒いですし、あんまり分厚くても汗をかきすぎるという難しいところがあります。

適度な防寒性の中間着ということになりますが、わかりやすいところでは、中厚手の登山用フリースが適しています。(モンベルでいうと「クリマプラス200」あたりになるでしょう)

中には、中厚手のフリース1枚ではなく、体温調整しやすいよう、薄手のフリースを2枚という人もいます。

メーカーで冬山用の中間着として売り出しているものには、吸水性や速乾性、防風性のあるフリースや、夏山で防寒用として着用されるソフトシェルを冬山の中間着に着用するなど、いろいろな種類のものが出ています。

登山メーカーの出しているフリースにくらべれば、吸水、速乾、防風性は劣りますが、予算を押さえたければ、ユニクロのフリースという選択肢もあります。(筆者も一時期、冬山にユニクロフリースを着用していました。)

ユニクロについては良い悪い、諸説ありますが、ベースレイヤーさえ汗冷えしづらい良い物を着用していれば、中間着にユニクロはありだと思います。

ユニクロを選ぶ場合は、当然ですが登山用として売っているわけではありませんので、生地の厚さやデザイン(前開き、中厚手のフリースが基本です)は自分の目でよく確認しましょう。

ズボンは?

ズボンですが、フリース素材などの温かいズボンを履くのが一般的ですが、厳しい寒さが予想されないのなら、夏山で履いているトレッキングパンツを流用しても良いでしょう。

ズボンの下にはメリノウールなどの温かい肌着を着用します。

肌着+ズボン+ハードシェル(またはソフトシェル)と3枚履くことになり、動きづらくなりますが寒冷下では仕方のないことです。

日帰り低山で気温が高い時には、厚手の肌着またはタイツ+ハードシェル(またはソフトシェル)の2レイヤーにする人もいます。



肌着(ベースレイヤー)

(モンベル)mont-bell スーパーメリノウールM.W.ラウンドネックシャツ Men’s

(モンベル)mont-bell スーパー メリノウール M.W .タイツ ブラック

肌着は防寒と汗冷え対策にとっては特に重要なものです。

肌着は肌に直接触れますので保温性、吸水性、速乾性が特に求められます。

生地はポリエステル製かウール製が代表的です。(モンベルだと、ポリエステル製はジオラインシリーズ、ウール製はスーパーメリノウールです)

登山メーカーから出ているものには、ポリエステル製もウール製も薄手~厚手まであります。

冬山用には厚手か中厚手のものが適しています。

ウールとポリエステルを比較した場合、保温性はウールの方がやや高いですが、速乾性はポリエステルの方が優秀です。

筆者の場合、メリノウールの中厚手を着ていますが、汗冷えを改善するために試行錯誤し、メリノウールの下に極薄のシルクTシャツ着用していましたが、最近になって、汗冷え改善のアイテムとして「ドライレイヤー」を着用するようになりました。

ドライレイヤーとは

ドライレイヤーとはベースレイヤーの下に着る薄いシャツのことで、肌に汗を残しづらくして汗冷えを防止するものです。

ファイントラックやミレーなどが有名で、ファイントラックのものは生地の撥水性により、汗を肌に残さないというもので、ミレーのものは、かさ高の編みシャツで汗を肌に残さないというものです。

どちらも大変評判がよく、オールシーズンを通して登山の汗冷え対策に注目されています。

ミレーとファイントラック、どっちがいいのかについての記事です→「登山の汗冷え。ミレードライナミックとファイントラックを比較!


(ミレー)MILLET DRYNAMIC MESH SHORT SLEEVE MIV01566 BLACK – NOIR S/M

防寒用セーター

行動中の休憩時やテント生活の時には中間着の上にセーターやフリースを着て寒さを防ぎます。

セーターやフリースは最低2枚は用意しなければ、厳冬期は寒くて眠れません。

厚さは、厚手か極厚のものが良いでしょう。

セーターやフリースは防寒が目的です。温かくて比較的コンパクトなものであれば良いので、ユニクロでも十分です。

そのほかの防寒用衣類いえば、過酷な環境でフリースだけでは寒さを凌げない場合、ダウンジャケットを用意する場合もあります。



衣類(小物)

・目出し帽

モンベル ストレッチクリマプラス200 バラクラバ フリーサイズ

強風や吹雪、就寝時の防寒対策に必要です。ホームセンターで売っているものでも大丈夫です。

開口部から頭を出せばネックウオーマーとしても使用できます。

・ネックウオーマー

モンベル ストレッチクリマプラス200 スーパーネックゲーター フリーサイズ

襟元が寒い場合はネックウオーマーを使用します。ネックウオーマーはトップを絞れば帽子としても使用できる場合が多く、非常に便利です。

ネックウオーマー

トップを絞るとニット帽風

こちらもホームセンターで売っているものでも問題ありません。

・帽子

(モンベル)mont-bell ワッチキャップ フォレスト

行動中はニット帽やフリースの帽子を被り、耳の凍傷を防ぎます。

※冬山の帽子考察~必ずしもニット帽、ネックウオーマー、目出し帽の3点をそろえる事はないでしょう。

例えば、ニット帽と目出し帽の組み合わせで考えてみます。

あまり寒くない時はニット帽だけ被りますが、襟元が寒くなれば、目出し帽の開口部から頭を出し、目出し帽をネックウオーマーがわりにします。

吹雪の時やテントで就寝する時は目出し帽で頭部をしっかり保温します。

このような使い方をすれば、ニット帽、目出し帽の2点だけあれば、ほどんど用が足りるはずです。

ネックウオーマーをニット帽がわりにすれば、ネックウオーマーと目出し帽のセットでも同様の使い方が出来ます。

冬山は工夫が肝心です。色々試してみましょう。

・オーバーミトン

ヘリテイジ ウィンドストッパーオーバーミトン3本指 グローブ オーバーグローブ

防寒、防風、防水用のグローブです。

インナーグローブと合わせて使用します。

防水性がないナイロン製もありますが、ゴアテックスなど、防水透湿性のものが快適です。

裾が短いグローブもありますが、短いとラッセルや雪洞作りの時に雪が侵入しやすいので肘まである長いものが有利です。

オーバーミトンには、2本指や3本指のものがあり、3本指のものは人差し指が使える分、作業がしやすくなります。

作業性を重視するなら、オーバーミトンよりも5本指付きのオーバーグローブの方が使いやすいですが、保温性はオーバーミトンの方が格段に上です。

・オーバーグローブ

イスカ(ISUKA) ウェザーテックオーバーミトン 

オーバーミトンと同じく、防寒、防風、防水用のグローブです。

春山や日帰り低山など厳しい寒さが予想されない場合には、オーバーミトンよりも指付きのオーバーグローブの方が便利です。

インナーグローブと合わせて使用します。

・インナーグローブ

モンベル トレールアクション グローブ Men’s #1118269 (L BLBK ブルーブラック) [mont-bell]

フリース製や毛糸などの普通の指付き手袋です。

オーバーミトンやオーバーグローブの下にはめます。

ホームセンターで売っているものでも問題ありません。

・速乾性グローブ

礼装 用 フォーマル 紳士 白 手袋 ( S ~ 3L ) ナイロン 100%

素手じゃなければできない細かい作業をする場合、手の冷えや、濡れた手が金属にくっついてしまうことを防止するため、速乾性素材(ナイロンやシルクなど)の薄い手袋を一番下にはめると便利です。

速乾性グローブは登山メーカーのものもありますが、筆者はナイロン製白手袋を使っています。

ナイロン製白手袋なら作業用品店で安く手に入ります。

※手袋の考察~手袋のレイヤリングは季節や山の標高などによって、組み合わせを自由に変えることになります。

一般的にはオーバーミトン(オーバーグローブ)+インナーグローブの2レイヤーや、オーバーミトン(オーバーグローブ)+インナーグローブ+速乾グローブの3レイヤーが多いと思いますが、人によっては4レイヤーにするなど様々です。

手袋のレイヤリングは凍傷防止のため、防寒と防水対策が重要なのですが、防寒性を高めると作業性が失われ、作業性を高めると防寒性が失われるといったことが起こります。

例えば、オーバーミトン+インナーグローブ+速乾グローブの3レイヤーでは、作業をするためにオーバーミトンを脱げは、インナーグローブが水濡れしてしまいます。

それなら、オーバーグローブ+インナーグローブ+速乾グローブの3レイヤーにして、オーバーグローブを脱がずに作業をすれば良いと思われますが、寒冷下ではオーバーグローブよりオーバーミトンの方が温かいと言えます。

解決方法のひとつとして、予備のインナーグローブを持って行き、インナーグローブが濡れたら取り替えるという方法もありますし、ゴアテックス仕様のインナーグローブを履くという方法もあると思います。

中には、オーバーミトン+オーバーグローブ+インナーグローブ+速乾グローブの4レイヤーにして、作業をする時はオーバーミトンだけを脱ぐという人もいます。

インナーグローブは手汗などでも濡れてきますので、どのようなレイヤリングであっても、凍傷予防のために必ず複数の予備のインナーグローブを持参するようにしましょう。

(ストーブなど火器を取り扱う場合は、軍手も用意しましょう)

・靴下

Amazon在庫切れ モンベルエクスペディションソックスMW(税込み2376円)

モンベル(mont‐bell) ジオラインL . W . インナーソックス ブラック BK M

薄手や中厚手の靴下の上に、厚手(ウールや毛糸など)の靴下を重ね履きするのが一般的です。

重ね履きの仕方は登山靴の大きさや防寒性能によって決まりますが、厚手1枚という人もいれば、薄手+厚手の2枚重ね、薄手+中厚手+厚手の3枚重ねなど様々です。

足が寒くなくて、窮屈にならないのなら、どのような組み合わせ方でもかまいませんが、一番下の靴下は薄手で速乾性素材(ポリエステルやシルクなど)が快適です。

(筆者は毛糸厚手、ウール混紡中厚手、シルク薄手の3枚重ねです)

・ロングスパッツ(ゲイター)

ISUKA(イスカ) ゴアテックス ライトスパッツ フロントジッパー イエロー

登山靴に雪が入らないように膝下まであるロングスパッツを着用します。

最近ではロングスパッツがいらない、ゲイター付き登山靴もあります。

まとめ

今回の説明は、気温がー20℃程度まで下がることを想定して書きました。

低山を登るので、ここまでは必要ないと思う人もいると思いますが、冬山を十分に経験した者でなければ、服装を減らすことはおすすめしません。

また、冬山は日帰り低山だけと決めている人でも、徐々にステップアップしていくことを考えると、最初から寒さに十分耐え得る服装を用意した方が、あとで買い足すよりも良いと思います。

冬山はどんなに寒くても歩いている時は温かく、汗をかくものですが、一旦立ち止れば厳しい寒さが襲ってきます。

レイヤリングはここで説明した限りではなく、人によって様々ですが、少々のアクシデントがあっても、自力下山できることを念頭において服装を決めるようにしましょう。



プロフィール

フリーライター。元船員。
学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け30年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。



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