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初心者のための冬山入門2

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初心者のための冬山入門2

~冬山登山の準備その2~

今回は装備の購入についての続編です。

(前回の冬山入門はこちらから。)

冬山用ストック、ゴーグル、サングラス、冬山用スコップ、アイゼン、ピッケルなどの小物について書いていきます。

 

ストック(ポール)

stock

ストックのバスケット(上がゲレンデ用、下が雪山用)

 

山スキーとスノーシューを使用するにはストック(ポール)が必要です。

つぼ足(登山靴のままで雪上を歩くこと)で歩く時でも、ストックがあるとバランスがとれ、疲れないので便利です。

ストックはゲレンデスキー用のものでもなんでも良いのですが、先端付近にある円形のつば(バスケットと言います)がゲレンデスキー用や夏山用のものは面積が小さく、柔らかい新雪では埋まってしまい、ストックの役目を果たしません。

はじめから雪山用のバスケットのついたストックなら問題ありませんが、バスケットが小さい場合は雪山用に交換する必要があります。

バスケットはネジ山が切ってあるタイプ、小さい金具で固定するタイプなどがありますが、自分でも簡単に交換することができます。

また、ゲレンデスキー用ストックは伸縮できませんが、山用のストックは伸縮できるので地形によって長さが変えられるので便利です。

伸縮できないストックは地形によっては短く持ったりすることで対応しますが、グリップ以外の部分は細くて持ちづらいので、滑り止めのテープ(私はガムテープを厚めに巻いています)を巻くなど工夫すると使いやすくなります。

 

ゴーグル

ゴーグルは吹雪の時に使用します。

サングラスと兼用したいところですが、吹雪の時にサングラスを使用するのは、ないよりはましな程度で、雪や寒さを防ぐことはできません。

逆に、日差しから目を守るのにゴーグルを使用することは可能ですが、天気の良い時にゴーグルを使用するのは暑くて不快です。

ゴーグルは色々な形のものがありますが、ゲレンデスキー用のものでも良いと思います。

天気が安定している時の低山しか登らないのなら必ずしもゴーグルは必要ではないとは思いますが、山スキーをする人であればあった方が良いでしょう。

 

サングラス

サングラスは紫外線から目を保護するために使用します。

特に春山の晴れた日などは強烈な紫外線によって目に炎症を起こす、雪盲(せつもう、ゆきめ)になることがあります。

登山中に雪盲になったら、涙で目を開けていられなくなり行動に支障がでます。

日差しの反射で目が痛くなりそうならサングラスをかけることになります。

サングラスはどんな用途のものでもかまいませんが、UVカット率の高いもの(99%以上)にしましょう。

(サングラスや雪盲についての詳しいことは「雪山の紫外線対策」を読んでみて下さい。)

 

冬山用スコップ(スノースコップ)

scoop

スノースコップ(分解できるタイプ)

 

スコップは日帰りの低山でも持って行きましょう。

日帰り登山ではスコップを持たない人を多く見ます。

スコップは雪洞(せつどう、宿泊するための雪穴)を掘ったり、テント設営の時に使ったりするイメージがありますが、それだけではなく、仲間が雪崩にあったときにも使いますし、道に迷うなど緊急時の待機場所として簡単な雪穴を掘って中に入るだけでも凍死の危険を遠ざけます。

なので、むしろテントを持たない日帰り登山者やバックカントリースキーヤー(ゲレンデ外でスキーを楽しむ人達)は積極的にスコップを携帯すべきです。

スコップは短めのアルミ製角スコップが適しています。

よくある、キャンプ用の折りたためる鉄の軍用スコップは面積が狭くて雪を掘るのには効率が悪く、重量もあるので冬山には適しません。

冬山登山用には写真のような軽量で分解可能なタイプなどが売られています。

 

アイゼン

eisen

カジタ製12本爪セミワンタッチアイゼンを装着。(セミワンタッチ式はかかとを金具で固定するので靴のソール後部にコバ(溝)が必要。前はベルト締めなのでコバは必要ない)

アイゼンは雪面が硬かったり、特にクラスト(氷化)している斜面では必須です。

クラストしている場所は、頂上付近などの高所や南向きの斜面などに多く見られます。

アイゼンには夏山の雪渓の歩行などに使う4本爪などの軽アイゼンから、10本爪や12本爪などの本格的なアイゼンまでありますが、冬山では写真のような先端に2本の出歯が付いた12本爪が一般的です。

アイゼンを持っているから冬山も大丈夫と言っている人の話をよく聞くと、軽アイゼンだったりすることが多々あります。

命にかかわる装備ですし、冬山をめざすのなら最初から12本爪を用意した方が良いと思います。

また、アイゼンには登山靴への取り付け方法の違いでベルト式、セミワンタッチ式、ワンタッチ式があります。

ベルト式はどんな登山靴でも装着可能で、セミワンタッチ式は靴の後部にコバ(アウトソール前後の出っ張り)がなければ装着できません。

ワンタッチ式は靴の前後にコバがなければ装着できません。

このように、持っている靴によって選ぶアイゼンは左右されますが、前後にコバがついている登山靴(冬山用登山靴のほとんどのモデルは前後にコバがついている)を持っているのなら、どのタイプのアイゼンも装着できますので、好みで選ぶことになります。

なお、タイプの違いによるそれぞれのアイゼンの特徴は以下のとおりです。

靴から絶対はずれない安心感
ベルト式>セミワンタッチ式>ワンタッチ式
脱着時間の長さ
ベルト式>セミワンタッチ式>ワンタッチ式

こう書くとワンタッチ式は信頼感が少ないように思われますが、ワンタッチ式が歩行中にはずれたというような話は聞いたことがありません。

ベルト式は確かに安心感がありますが、比較的柔らかい登山靴に装着する場合はベルトの締めすぎによる血行不良に気をつけなければいけないですし、寒い中でベルトを締めるのは意外に手間がかかり、ワンタッチ式の簡単さとはくらべ物にはなりません。

中間をとってセミワンタッチ式という選択肢もあると思いますが、使う人の好みだと思います。

クラスト斜面があるようなコースは絶対登らないと決めているのであればアイゼン自体必要ないと思います。

アイゼンについての詳しいことは「冬山とアイゼン~選び方と使い方」を読んでみて下さい。

 

ピッケル

pickel

カジタ製ピッケル

 

ピッケルの役割は杖としてのバランス保持、滑落したときの滑落停止動作、雪面に突き刺してザイルの支点にする、硬い雪面にステップを切る(カッティング)など、様々な用途に使用します。

スノーシューや山スキーだけで登れるような比較的斜度のゆるい場所ではストックだけでも十分ですが、急斜面ではピッケルが必要です。

ピッケルには長さがあります。

斜度が急な場所ほど短いものが使いやすく、平坦な場所では長いものが使いやすくなります。

どんな長さのピッケルを購入するのかは、その人の身長やどんな山を目指すかによります。

私はザイルなどの登攀用具が必要になるような急峻な山には行かないので、比較的長めのピッケルを使用しています。

参考までに私はピッケルの上部(ヘッド)を握って気をつけの姿勢をしたときにピッケルの先端が足首くらいにくる長さのもの(私の場合75cmのピッケルです)を使用していますが、今までに長すぎるとも短すぎるとも感じたことはありません。

準備段階4~山麓や雪原で訓練

道具を揃えたら、まずは道具に慣れなくてはいけません。

冬山は夏山にくらべ、とにかく道具が多くて、扱いに慣れていないと道具に振り回され、時間をロスします。

練習は山の山麓やスキー場近郊の樹林帯、除雪していない林道など雪が深い平地で行います。

服装もザックも本番と同じものを着用します。

冬山の服装で着ぶくれすると、少しの動作でも大変なことがわかると思いますが、これも練習のひとつです。

まずは、登山靴のまま(ツボ足)で歩いて見ましょう。

ももや腰まで雪に埋まり、少し歩いただけでも汗をかくと思います。

ツボ足歩行がどんなものかわかったらスノーシュー、わかん、山スキーなどの装着や取り外しをやってみたり、締め付け具合などを確認します。

装着したらストックを持ち、好きなだけ雪上散歩を楽しみましょう。

実際に雪上を歩けば、歩き方のコツがわかりますし、深雪の中で道具がはずれたり、締め直したり、汗をかいて上着を脱いだり、手袋のまま道具を扱うことの大変さなどもわかると思います。

広い雪原や樹林帯は視界が悪くなると方向がわからなくなります。

初めての練習は見通しの効く範囲か、除雪していない林道など、迷うことがないように注意して下さい。

急に吹雪いてきたら、足跡は5分もしないうちにすべて消えてしまうことが普通にありますので、天気には十分注意が必要です。

次回はいよいよ冬山登山の実戦訓練を行い本番を迎えます。

看板(下)

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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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