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遭難対策~雪崩はどんな時に起きるか

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遭難対策~雪崩はどんな時に起きるか

雪山を登る限り、雪崩の危険は常に伴います。

「雪崩はどうやって発生するのか」、「雪崩遭難の対策」の2回に分けて書いていきます。

今回は、「雪崩はどのような時に発生のするのか」について、雪崩の形態別に説明します。

 

雪崩の種類

雪崩の種類には色々なものがあり、文献によって区分の仕方も様々ですが、ここでは次のように区分して説明します。

雪崩は大きく分けて、積雪の上層だけが雪崩れる「表層雪崩」と地面を境にすべての雪が雪崩れる「全層雪崩」の二つに分かれます。

「表層雪崩」は、さらに「点発生型」と「面発生型」に分かれます。そのほかに氷河の末端で発生する「氷雪崩」がありますが、日本には氷河がありませんので説明は省略します。

 

種類別の雪崩発生の仕組み

点発生型表層雪崩

点発生型表層雪崩は傾斜が非常にきつい急斜面で多く発生します。

ある一点が雪崩れ出し、周囲の雪を巻き込みながら雪崩れますので雪崩の跡の形は発生点を頂点に三角形状になります。(上の図参照)

規模は小規模なものが多く、この雪崩は一般的にはそんなに危険ではないと言われています。

この雪崩は乾いた雪で発生するタイプ、大粒のあられで発生するタイプ、湿った雪で発生するタイプがあります。

・乾いた雪で発生する点発生型表層雪崩

乾いた雪で発生するタイプは、風が弱い時に積雪があった時に発生します。

風が弱い時の降雪は、雪の結晶が崩れずに、ふわっと積もるので、降雪後も雪同士の結合が弱い状態になります。

このタイプの雪は閉まり雪になりづらく、一定以上の降雪があると点発生型として雪崩を起こします。

降雪したあと閉まり雪になりやすいのは、強風で雪の結晶が砕けた状態で積もった雪や、雪の結晶に水滴がついた状態で積もった湿り雪などです。

閉まり雪になりやすい雪では、めったに点発生型表層雪崩を起こすことはありません。

・大粒のあられで発生する点発生型表層雪崩

大粒のあられで発生するタイプは、あられ同士は結合が弱く、閉まり雪になりませんので数cm以上積もると雪崩を起こすと言われています。

・湿った雪で発生する点発生型表層雪崩

湿った雪で発生するタイプは、降雪があった後に日射が当たったり、気温の急激な上昇で、表面の雪が溶けて水分を含んだざらめ雪に変わり、急斜面を滑りだし雪崩を起こすと言われています。

 

面発生型表層雪崩

面発生型表層雪崩は積雪の上層が板状に滑りだして起こる雪崩です。

面発生型表層雪崩は下層の雪の表面が日射や雨で溶けたあとに凍結し硬くなった雪面(サンクラスト、レインクラストという)の上にまとまった降雪があって、上層の下層の積雪の接着が悪いために起こるタイプもありますが、ほどんどの場合、積雪の断面に「弱層」と呼ばれる結合の弱い雪の層が作られることによって起こります。(上の図参照)

下層に閉まり雪があり、その上に弱層が形成されたあと、まとまった降雪があり、上層が重みに耐えられなくなった時に雪面にクラックが入り雪崩が起こります。

ちょうど、積雪と積雪の間の接着剤が剥がれて、上の積雪層が一気に雪崩れるようなイメージです。

このタイプの雪崩は規模も大きく、見た目には弱層の存在がわからないので雪崩の予測も難しく、現在までたくさんの遭難者を出しています。

この危険な弱層はどのように形成されるのかを次に書いていきます。

・霜ざらめ雪の形成による弱層

まず、下層の閉まり雪の上に1~3cmの雪が積もります。

次に日中の日差しで雪面が温められ、積雪の中の温度が上昇します。

夜になり放射冷却で雪面は冷やされますが、新雪は空気を含み断熱性が良いので、雪の中の温度は高いままです。

温度の高い下層の積雪面では蒸発が起こり、蒸発した水分は放射冷却で冷やされた上層で凝結し、「霜ざらめ雪」が形成されます。

下層の閉まり雪の上に積もった数cmの新雪が一晩ですべて「霜ざらめ雪」に変化することもあります。

この「霜ざらめ雪」は結合が非常に弱いので「弱層」になります。

「霜ざらめ雪」が形成されたあとに、多量の降雪があると積雪の下に弱層が隠れることになります。

・表面霜の形成のよる弱層

下層の閉まり雪の表面に霜が成長することで弱層が作られます。

高い湿度、夜の放射冷却、風速2~3m/sの3つの条件がそろうと、一晩で数mm~1cm程度の表面霜が形成されます。

表面霜は雪の表面がきらきら輝いて見えます。

その後に多量の降雪があると弱層が隠れることになります。

・降雪結晶による弱層

風の弱い時に、舞い降りてくる雪は、雪の結晶が崩れずに降り積もります。

このような雪は降雪後に閉まり雪になりづらく、弱層になります。

同じく、このあとに多量の降雪があると弱層が隠れることになります。

・大粒のあられによる弱層

大粒のあられは硬く、あられ同士の接触面積が少ないので降雪後にしまり雪にならず、弱層になります。

こちらも、このあと多量の降雪があると弱層が隠れることになります。

・濡れざらめ雪による弱層

下層の閉まり雪の表面が強い日射や急激な温度上昇で雪の粒が溶けて「濡れざらめ雪」となり弱層を作ります。

濡れざらめ雪が凍って硬くなる前に、多量の降雪があると弱層が隠れることになります。

 

全層雪崩

全層雪崩は地面から上の積雪がすべて雪崩れるものです。

発生の形態は二つあり、ひとつは春の温度上昇で雨や雪解け水が積雪の下層に浸透して、地面付近が滑りやすくなり雪崩が起こるもの、

もうひとつは、冬のはじめに湿ったドカ雪が降ると笹や低い木が雪の重みで寝てしまい、地面付近が滑りやすい状態になり雪崩が起こるものです。

初冬に少しずつ雪が降り積もった場合は、笹や低い木が立ったまま雪に埋もれるので、これが抵抗となりこのタイプの雪崩は起きづらくなります。

全層雪崩は、いずれのタイプも前兆現象があり雪崩を予測できるので、大きな遭難事故は発生していません。

次回の「雪崩遭難!対策の仕方」では、雪崩の予測や遭遇してしまった場合の対策などについて説明します。

参考文献:「山と渓谷社 最新雪崩学入門 北海道雪崩事故防止研究会編」「山と渓谷社 雪崩リスクマネジメント ブルース・トレンバー著)

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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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