4Mar

冬山のテント生活のコツ。雪上にテントを張る
前回は冬山に使うテントとペグの話をしました。(前回記事「冬山のテント生活。冬山用テントと竹ペグ」はこちらから)
今回は、雪上にテントを張る場合の実際について説明していきます。
テントを張る場所
冬山は危険がいっぱいです。
テントを設営する場合に一番気をつけなければならないのは、雪崩の心配です。
雪崩が発生しそうな斜面や、発生した雪崩の通り道、雪崩が到達することが予測される場所にはテントを張ってはいけません。
危険な場所の代表として、太い木が生えてない斜面(毎年のように雪崩が通過するから木が育たない)、雪崩が到達しそうな谷合いなどがあげられます。
十分に安全に配慮していても、気象状況によっては、雪崩は想定外の場所まで到達することがありますので、雪山には雪崩があるということを前提に行動しなければなりません。
雪崩に対して比較的安全な場所は、稜線上や尾根地形で傾斜の緩い樹林帯などです。
次に気をつけなければならないのは、強風に吹きさらされるような場所です。
強風は場合によってはテントのポールを折り、テントを破ってしまう破壊力があります。
山頂や稜線など、標高の高い場所や風を遮るものがない場所は、強風が吹けば吹きさらしになります。
稜線上は雪崩の心配がないので安心できる半面、強風に晒される危険もありますので、設営するかどうかは、気象状況を予測しながらになります。
テントを設営する
設営場所が決まったら、テントを張る場所の雪をある程度踏み固めるか、スコップでテントの床の形よりひと周り大きなたて穴を掘ります。
ここでは、スコップでたて穴を掘る方法について説明します。
たて穴にテントを設営することで、やや防風効果が上がります。また、あとで防風壁を積み上げることを考えると、たて穴を掘った雪を防風壁に利用すると作業も効率的ですので、筆者はこの方法をとっています。
まず、テントの入口が風下を向くように考えて掘りはじめます。
深さは深いほうが防風効果が高まりますが、一般的には30~50cm程度の深さに掘って、掘った雪は風上に積み上げて防風壁にします。
ですので、雪を掘る時は雪を積み上げやすいように四角くブロック状に切るような掘り方をします。
たて穴を掘ったら、たて穴の中の雪を踏み固め、テントを組み立てます。
組み立て方は夏山の時と同じ手順です。違うのは前回、説明したような「竹ペグ」など雪上用のペグを使用するということです。
テントは内張り式のものなら、テント本体の四隅と張り綱を固定して終了ですが、外張り式テントは下の見取り図のように張ります。
まず、本体の四隅をペグで固定したあと、テントの上に外張りをかけ、テントの張り綱を外側に出します。
そして、外張りのすそはテントを一周するように、雪をかけて固定するのですが、先ほどたて穴を掘る時に作っておいた、雪のブロックなどを利用してすその上に乗せるとスマートにいきます。
すその処理は雪をかけて踏みつけるのと、雪のブロックを乗せる方法がありますが、前者は雪が氷化した時にすそが氷から抜けなくなり、慌てることがありますので注意が必要です。
すそにブロックを乗せる方法は、ブロックを手前に煽れば根元からガバッと取れますので撤収はスムーズにいきます。
なお、ブロックが大き過ぎると重たくて苦労しますので抱えれる程度の適度な大きさが良いでしょう。
外張りのすそを雪で処理したら、竹ペグで張り綱を張ります。
最後に飲料水用のきれいな雪をテントの入口のすぐ近くにたくさん盛っておきます。
テントの入口付近の雪は人の出入りが多いので、すぐに汚くなります。
飲料水用に雪を盛っておくことで、炊事の時にいちいち靴を履いて外にきれいな雪を取りに行かなくてもよくなります。
ピッケル、ストックなどテントに入れるとテントを破損する可能性のあるものはテントの脇に突き刺しておき、アイゼンやスノーシューなどは突き刺したピッケルなどに細引きを使ってぐるぐる巻きにして風で飛ばないようにしておきます。
スコップは夜中に大雪でテントが埋められたとしても、すぐに除雪ができるよう、入口のすぐ近くの届くところに刺しておきましょう。
以上は、風が強くない時の張り方ですが、強風時にテントを張る時は、よく手順を考えながら、テントも外張りも風上から固定していきます。手順を誤れば強風でテントが紛失しますので、十分に気を着けなければなりません。
次回、「テント生活のあれこれ」では、テント生活のコツや注意点などについて説明します。
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