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元山岳部部長の登山講座

ピッケルの種類と選び方

ピッケルの種類と選び方

雪山をストック(トレッキングポール)だけで登る場合がありますが、それは滑落の危険がない低山などの限られた場合です。

ルート上に急登がある山や、森林限界を超えるような山では滑落などに備え、ピッケルを使用するのが基本です。

今回は、ピッケルの種類や選び方について説明します。




ピッケルの役割

ピッケルはつえとしての役目、雪面に刺してザイルなどの支点にする、滑落停止動作、グリセード(登山靴のまま斜面を滑降すること)、耐風姿勢、ステップカッティング(固雪にステップを作る)、アイスクライミング、穴を掘るなど、雪山では様々な利用法があり、急登がある山、森林限界以上の高さの山など、一定レベル以上の雪山に登る時の必需品となっています。

 

ピッケルの種類

ピッケルはアイスアックスとも呼びます。

大きく分けて、一般縦走用ピッケル、アイスクライミング用ピッケル、ミックスルート用ピッケル、バックカントリー用ピッケルの4つのカテゴリーに分類されますので、それぞれの登山スタイルに合ったピッケルを選ぶことになります。

なお、ピッケル各部の名称は以下のとおりです。

一般縦走用

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一般縦走用ピッケルは、シャフトがストレートでヘッドが比較的大きめな特徴があります。

堅ろうな鉄製と軽さ重視のアルミ製があります。(写真のものは鉄製です)

シャフトを持ち、振りかぶってピックを雪面に突き刺しながら氷壁や固い急斜面を登攀(シングルアックス、ダブルアックスと言います)する場面がほどんどないような一般の縦走用には、このようなオーソドックスなスタイルのピッケルで十分です。

アイスクライミング用

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写真のように、一般縦走用とは似ても似つかない特殊な形をしています。

シャフトは短く、ピックは氷に刺さりやすくて抜けづらい形になっていて、ブレードはないか、ハンマーが付いている場合がほどんどです。

このようにアイスクライミング用ピッケルは、ダブルアックス技術を駆使して、氷壁を登攀するのに特化した構造になっています。

ピックの反対側にハンマーがついているものをアイスバイル、アイスバイルのシャフトの先端に石突きがないものをアイスハンマーと呼んでいます。

ミックスルート用

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シャフトがやや短く、カーブしていて、ピックの角度もやや下向きとなっており、一般縦走用に比べ、ピックで氷を捉えやすい構造になっています。

鉄製などの丈夫なものが多く、作りは堅ろうです。

一般縦走ルートに加え、急斜面を登攀する場面があるような登山を想定しています。

バックカントリー用

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一見して、一般縦走用ピッケルと似ていますが、コンパクトで軽量です。

アルミなどの軽合金を使用し、ヘッドは小さめで、石突はそんなに鋭利ではないという特徴があります。

バックカントリースキーヤーが安全のために持参するピッケルとも言われています。



ピッケルの選び方

専ら低山しか行かないような冬山初心者が選ぶとすれば、一般縦走用ピッケルで十分ではないかと思います。

材質は堅ろうな鉄製と、軽さ重視のアルミ製がありますが、氷や固雪には鉄製の方が有利です。

また、ミックスルート用ピッケルは、一般縦走用に比べ価格は高いですが、一般縦走用としても使用でき、一部に登攀があるような場所でも有利ですし、シャフトがカーブしていることで、急登の時にダガーポジション(ピックを前方にしてブレードを握る方法)でピックを雪面に刺した時に、ピックと石突の両方が雪面に突き刺さりますので、より安定感があるのも利点です。

ダガーポジション

予算に余裕があれば、初心者でも最初からミックスルート用ピッケルを用意するというのはありだと思います。

ピッケルの長さは?

一般的にはくるぶしの長さ

ピッケルの適正な長さについては諸説あります。

一般的にはヘッドを握って気を着けの姿勢をした時に、石突がくるぶし付近に来る長さとされていますが、全長が腕の長さ程度で良いという意見などもあります。

斜度が増すほどにピッケルは短い方が扱いやすくなり、長すぎると扱いづらくなります。

少なくともくるぶしより長いものは選ばない方が良いでしょう。

筆者の場合、危険な急斜面があるような雪山にはほどんど行きませんので、くるぶし程度の長さの縦走用ピッケルを使用していますが、今までに長すぎるとも短すぎるとも感じたことはありません。

ピッケルの長さは自分の身長と、登山スタイルで決めることになりますが、雪山初心者で危険な急斜面が連続すような山には行かないのなら、くるぶし程度の長さのもので良いと思います。

付属品も忘れずに

ピッケルには落下防止のためにピッケルバンド(リーシュ)を取り付けます。

ピッケルバンドはピッケルに付属している場合もありますが、ほとんどは別売りです。

使い勝手が良いように、細引きやスリング、カラビナを使ってピッケルバンドを自作する人など様々です。

また、ピッケルを使用しない時にザックや装備を傷付けたり、怪我防止のためにヘッドと石突にはプロテクターを装着しておきます。

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プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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