山登り初心者とステップアップしたい経験者の方へ登山講座

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元山岳部部長の登山講座

登山とマナー2

登山とマナー2

登山人口の増加にともなって、基本的な山のマナーを知らない登山者を多く見かけるようになりました。

人口が集中する場所では、マナーの良い人、良くない人、様々な種類の人が現れます。

前回は、あいさつや登山道の譲り方など、山での慣習やトイレ問題について書きましたが、今回は登山中に気になったものを何点か追加したいと思います。(前回記事「登山とマナー」はこちらです)




登山者あれこれ

ラジオの音量が大きい登山者

登山中にラジオを聞くとすれば、気象情報の収集か、クマよけのためにラジオをつけて歩いている場合があります。

ラジオは登山装備のひとつなので、登山にラジオを持って行くこと自体は良いことです。

しかし、登山中、けっこうな音量でラジオをつけっ放しにしている登山者がたまにいます。

クマが恐しいのか、ラジオを聞きながら登山をしたいのかどちらかわかりませんが、複数の登山者が休憩している山頂付近でも大きめの音量でずっとラジオをつけている登山者を何度か見かけました。

静かに山の景色を眺めながら休憩している登山者にとっては、違和感を感じます。

ラジオを鳴らすこと自体がマナー違反ではありませんが、休憩場所など人が集まるところでは音量に気をつけ、不必要にラジオをつけっぱなしにしない方が良いでしょう。

筆者もクマよけや気象情報の収集のために歩行中、一時的にラジオを使用することがありますが、携帯型AMラジオは受信感度によって音が急に大きくなったり、小さくなったり安定しませんので、どうしても音量ダイヤルは大きめに設定してしまいます。

クマよけに関して言えば、音量が大きすぎるとかえって動物が動く音などが聞こえなくなりますので、ラジオのつけっぱなしは四囲の状況に対して注意力を欠くことになりかねません。

鈴をつけたり、要所要所でホイッスルを吹いたりすることで対処したほうが有効だと思います。

幕営地でも一定の気づかい

・話し声とラジオの音

テントは布1枚なので、かなり離れた場所のテントからも話声やラジオの音がはっきり聞こえてきます。

人の心理として、テントに入ってしまえばプライベート空間になるので、話声もそんなに聞こえないと思い込んでしまうものです。

しかし、テントは布で覆っているだけなので、何も遮蔽物のない空間でおしゃべりをしているのと変わりませんから、小さい声でしゃべらなければ、ほかのテントにいる登山者に内容が全部まる聞こえになります。

内容が聞こえてしまう分には本人が恥ずかしいだけで終わりますが、ほかの登山者の就寝後から起床時間帯までの間は静粛にしなければいけません。

・深夜の電子機器のビープ音

幕営地の音の問題として、こんなこともありました。

デジカメの進化により、誰でも気軽に夜景や天体写真が取れるような機種が登場したのはうれしいことなのですが、幕営地において、深夜、星を撮影している登山者がカメラのビープ音をONにしたまま長時間、撮影しているということがありました。

「ピピッ」という電子音は、音自体は大きくないのですが、深夜に何度も鳴らされると、意外に耳障りで、安眠出来なくなります。

風や沢の音では眠れるのに、なぜかこういう機械音は耳につくものです。

テン場ではビープ音をOFFにするなどの気遣いが欲しいものです。

・ヘッドランプの光量とライトの向きに注意

また、夜間、トイレに行く場合や、早朝の炊事などの時にはヘッドランプをつけますが、他人のテントをもろに照射してしまうとテント中は一瞬明るくなり、このようなことが頻発すると、中の人は安眠することができなくなります。

特に、最近ではヘッドランプがハイパワー化しており、従来では考えられないほどライトが強力になっていますので、必要以外はヘッドランプの光量を絞った上で、他者を照射しないよう、ライトの向きは下向きにするなどの気遣いが必要だと思います。

・注意していても引っ掛けてしまうテントの張り綱

このほか、他人のテントの至近距離を歩くと張り綱に足を引っ掛けることがあり、本人が危険なばかりか、足を引っ掛けられた側のテントの中では、すごい音と衝撃がします。

テントサイトを歩く場合は足元に気をつけ、なるべくテントの近くを避けて静粛に歩くようにします。

集団心理がはたらくツアー団体

昨年、羊蹄山に行った時のこと、頂上直下では筆者を含め、多くの個人の登山者が通り道を避けて、岩場で昼食をとっていました。

そこに、数十人のツアー団体が到着し、山頂で記念写真を撮りましょうと添乗員が号令を出したところ、団体さんは、静かに昼食をとっている個人の登山者達のすぐ脇を何十人もが一斉に歩き出しはじめました。

わざわざ通り道を避けて昼食をとっていた個人の登山者達は、迷惑そうにして、団体を避けるようにみんなその場を移動してしまいました。

このツアー団体は、50人程度の中高年登山者ばかりの団体で添乗員(リーダー?)はたった1人でした。

これでは参加者達の統制が取れるはずもなく、登山パーティーとは言い難い状態でした。

このようなツアー登山では、集団心理が働き、ほかの登山者の迷惑を感じなくなってしまう場合があるのだろうと思いますが、企画者は団体を統制できるような人員配置をしてほしいものです。

タバコを吸う登山者

休憩中、おいしそうに煙草を吸っている登山者がいます。

喫煙者にとって、空気のきれいな山で煙草を吸うのはとっても煙草がおいしく感じるそうです。

喫煙自体は自由ですが、せっかくきれいな空気や山の香りを満喫している、煙草を吸わない登山者から見れば異臭でしかありません。

喫煙はほかの登山者の風下で行うなどの配慮が必要な場合もあるでしょう。






プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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