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パーティー崩壊?百名山で出会った登山者達

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パーティー崩壊?百名山で出会った登山者達

先日、秋の羊蹄山に行きましたが、登山中にパーティーから置いてけぼりにされた登山者に出会いました。

今回は、登山パーティーの役割や分担、体力がない人や登山に不慣れ人が登山に参加する時の注意点などについて説明します。

 

体調が悪いのにパーティーから置いてけぼり!?

この日の羊蹄山(1898m)は晴天、弱風で最高気温は麓で約22℃と秋山登山としてはやや暑いコンディションでした。

喜茂別コース(4つある登山コース中1番険しいとされている)の下山中、頂上直下で6人の中高年パーティーとすれ違いました。

リーダーと思われる女性がトップを歩いていましたが、全員バテている様子で隊列は間延びし、すれ違うのにやや時間がかかりました。

6人パーティーをやり過ごしてややしばらくすると、息絶え絶えで登ってくる60代くらいの男性に「6人くらいの団体はいませんでしたか?足がつって下りようかと話したんですけど・・頂上まであとどのくらいですか?」と話しかけられました。

男性は完全に置いていかれたようです。しかもメンバーに体調不良を訴えていたようでした。

この日は、秋山にしては体感的に暑く、筆者も大汗をかいてしたので、この男性は軽い脱水症状を起こしているのではないかと思われました。

場所は1800m付近、最後のきつくて辛い登りが待っている場所でしたが、パーティーとすれ違ったことを伝え、見えている山頂を指差すと、気を取り直して登って行きました。

少しの間、男性を見ていましたが、メンバーから電話が来たようでした。

引率する側もされる側も注意が必要

登山に連れていっていもらったけど、置いていかれそうになり必死に歩いたというような話をよく聞きますが、羊蹄山のような2000m級といっていいような山で、しかも標高差が1500m以上もあるような健脚者向きのコースで、弱者を置いて行くというのは登山の常識では考えられません。(一般的に北海道の2000m級は本州の3000m級の気象条件と同じと言われています)

羊蹄山は登山口から山頂まで、概ね携帯の電波がありますが、電話で連絡がつくからといって、遅れた者を置いて行くことにはなりません。

弱者はトップの後ろに付ける、最後尾はリーダーなど力のある者が歩くのが基本です。

ほかのメンバーもバテていて大変だったのだと思いますが、バテた人を置いていくようなパーティーは登山パーティーとはいえません。

群れをなしている、ただの登山集団といっていいでしょう。

登山パーティーにはリーダー、サブリーダーなどの役割分担があり、リーダーにはパーティーを安全に下山させる義務があります。

登山パーティーとして機能していない、いわゆるお友達同士の登山ではアクシデントが発生したときに責任が不明確になります。

責任あるリーダーによって統制されていない登山集団の中では、何かあってもすべて自己責任になりますので、単独で登山をするのと同じと考えなければなりません。

百名山に登りたい、でもひとりじゃ自信がない→友達と行くから安心、誰かが何とかしてくれるだろう的な心理が働くのだと想像しますが、もしそんな考えで安易に「リーダー不在の登山集団」の中に入り、一定レベル以上の山に入ったとすれば、それは遭難者予備群の中にいるということを認識しなければならないでしょう。

自分のレベルで行けない山には行くべきではないし、どうしても行きたいのなら体調を万全にして、経験豊富なリーダーや信頼のおけるガイドのもとで登山に参加しなければなりません。

リーダー不在の登山集団の中には必ずリーダーっぽい人がいます。

このような人は、メンバーの中で一番経験があるか、そのコースを登ったことがあるという程度だと思いますが、道案内程度でも初心者は頼りにしますし、人から頼りにされ他人を引率する以上、それは引率される側から見れば登山パーティーのリーダーと同じことになります。

自分にリーダーとしてパーティーの安全を確保できる力がないのなら、安易に道案内をすべきではありません。

登山弱者が置いてけぼりにされたり、辛い目に遭うとすれば、力がないのに引率を引き受ける側にも問題がありますし、安易に頼む側にも問題があるでしょう。

とは言っても、いろいろ見聞きしていると、このような登山スタイルはけっこう多くなっているように感じます。

低山で気象条件が良い時ならこのような登山スタイルでも問題は起きづらいと思いますが、こういった登山認識でステップアップしていった場合、いつかは致命的な状況に陥る可能性は十分にあるでしょう。



登山パーティーの役割分担とは

1人のリーダーがパーティーを統制できる人数は多くて4、5人です。

それ以上多くなると、メンバーに目が行き渡らなくなりますので、人数が多い場合はパーティーを分け、それぞれにリーダーを置きます。

メンバーの中にリーダーと同等の力がある者がいれば、サブリーダーを置きます。

パーティーはリーダー、サブリーダー、その他のメンバーに分かれますが、リーダーは、山行計画、装備、メンバー構成、役割分担、気象判断、メンバーの体調管理、アクシデント発生時の対応、登山の中止や下山の判断など、パーティーに対するすべての責任を負います。

サブリーダーは、ルートハンティング、ペース配分など実働面でリーダーを補佐します。

パーティーのメンバーは、自由に意見しますが、登山中はリーダーが決定したことには絶対に従うことが要求されます。

リーダーの権限は大きいのですが、それゆえに責任も重大です。リーダーはパーティーの命を預かる存在と言えます。

(登山パーティーの役割分担について詳しくは「登山パーティーは何人?パーティーの分担と役割」を読んでみて下さい。)

体力がないメンバーをどうしたら良いか

今回目撃したパーティーのように、ペースが遅いメンバーがいる場合、どうすれば良いのでしょうか。

歩く順序に特別な決まりはありませんが、隊列はコンパクトにまとまり、先頭が見えなくなるなど間延びしない、一番体力がないメンバーに合わせて歩くことなどを基本と考えれば、パターンはある程度決まってきます。

パーティーにサブリーダーを置いている場合は、通常、サブリーダーをトップにし、リーダーは一番後ろを歩きます。

この場合、一番弱いメンバーをトップの後ろにつけ、トップは一番弱いメンバーのペースに合わせて歩くことになります。

サブリーダーを頼めるようなメンバーがいない場合では、状況によって何パターンか考えられます。

リーダーがトップを歩き、その後ろに一番弱いメンバーをつけ、一番後ろを一番体力のあるメンバーに歩いてもらう。この場合、リーダーはルートハンティングしつつ、後ろを振り返りながらパーティー全体に気を配って歩かなくてはなりません。

道を知っていてある程度体力があるメンバーがいれば、トップを歩いてもらい、リーダーは一番後ろを歩きながらペース配分を指示する。一番弱いメンバーはリーダーのすぐ前か後ろにつけて、リーダーが一番弱いメンバーをサポートする。

などが考えられますが、その時々の状況によって一番効率の良い方法を取るべきです。

要点は道に迷わず、リーダーがパーティー全体の状況を把握しつつ、落伍者が出ないようペース配分できればそれで良いということになります。

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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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