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元山岳部部長の登山講座

登山パーティーは何人?パーティーの分担と役割

登山パーティーは何人?パーティー分担と役割

複数で登山をする場合、隊列の順序や役割分担には一定のルールがあります。

ルールというよりは、登山の長い歴史の中で、ひとつの形になっていったのだろうと思います。

今回は、登山パーティーの構成について説明します。




登山パーティーには「リーダー」が必ずいる

気軽に行ける山ほど、お友達同士のパーティーをよく見かけます。

何事もなく楽しく下山できれば、それでも良いのかもしれませんが、「お友達同士=リーダー不在」のパーティーでは、責任のある誰かがパーティーを統制し、安全を確保するよう気を配っているわけではないので、アクシデントが発生した場合、対処が難しくなることがあります。

2名以上で登山をする場合は、経験の豊富な者がリーダーとなって、メンバーは下山するまでリーダーの指示に従うのが基本です。

リーダーは体力と実力があって、パーティーの安全を確保できるだけの知識や技術を身につけていなければ、メンバーからの信頼は得られません。

山に慣れていない者同士の登山では、リーダーが誰なのかわからない状態で登山をしますので、このようなグループに入って登山をする場合は、自分の実力以上の山には行かないようにするのが賢明でしょう。

 

パーティーの構成と役割

登山パーティーにはリーダーを1人置きます。

メンバーの中にリーダーと同等レベルの実力者がいれば、サブリーダーを1人置きます。

1人のリーダーで掌握できる人数は多くても5名程度ですので、1パーティーは最大6名前後ということになります。

それ以上の人数で登山をする場合は、パーティーを複数に分けて、それぞれにリーダーを置きます。

この場合、複数のパーティーを総括する全体のリーダーを1人置きます。

リーダーの役割は、山行計画、装備、メンバー構成、役割分担、気象判断、メンバーの体調管理、アクシデント発生時の対処、登山の中止や下山の判断など、パーティーに対するすべての責任を負います。

サブリーダーの役割は、ルートハンティングや歩行のペース配分など主に実働面でリーダーを補佐する役割を果たします。

パーティーのメンバーは、思考停止に陥らず、リーダーに対して自由に意見すべきですが、登山中はリーダーが最終的に決めたことには絶対に従うことが要求されます。

パーティーの構成と役割は、概ねこのようになっています。

リーダーの権限も責任も非常に大きいので、大きなアクシデントが発生した場合には、リーダーは間違いなく社会責任を問われることになります。

 

隊列順序と役割

隊列の順序には特別な決まりはありませんが、どこの山岳会でも山岳部でも伝統的に同じような隊列と役割分担をしています。

5人パーティーだとして例を上げると、先頭から

  • 先頭  サブリーダー
  • 2番目 1番体力がないメンバー
  • 3番目 2番目に体力があるメンバー
  • 4番目 1番体力があるメンバー
  • 最後尾 リーダー

の順に歩きます。

パーティーの隊列の例。

それぞれの役割ですが、先頭のサブリーダーは、ルートハンティングとペース配分、登山道の危険個所を後ろのメンバーに伝達するなどをしながら、1番体力のない者にペースを合わせながら歩きます。

最後尾のリーダーはメンバー各員の疲労度、歩くペース、休憩のタイミングなど、全体を掌握しながら落伍者が出ないよう指示を出します。

リーダーはメンバーの疲労度を見ながら隊列の順序を変えたり、メンバーに練習のためにルートハンティングをさせたりすることもあります。

メンバーはリーダーの指示に従い、体調が悪い時などには我慢せずに申告しなければいけません。

 なぜ、この順序が多いのかといえば、自分が隊列の中に入るとよくわかるのですが、先頭は道や標識を探したり、その他の危険を感じながら歩かなければならないというストレスがかかりますので、体力があって、ルートハンティングの勘が良く、危険を察知できる者が適しています。

なので、リーダーが先頭でもかまいませんが、リーダーはメンバーの様子がリアルに見える位置が良いので最後尾ということになります。

リーダーが最後尾であるもうひとつの理由は、隊列は後ろの人ほど他人のペースで歩かなければならず、自分のペースが乱れますので、とても疲れます。

なので、最後尾は最も体力がある者が適しています。

最も体力がないメンバーが2番目に歩く理由は、歩き慣れた先頭のサブリーダーが、体力のない2番目の人のために、ペースや足の置き場など、気を使いながら歩きますので、2番目の人はサブリーダーについて行けば良く、ストレスがかからないからです。

3番目や4番目は隊列の中間なので、自分のペースで歩くことができず、後ろの人ほど前方の状況も見えづらいのでストレスがかかります。後ろになるほど体力のある者にします。

最後尾は、遅れるとメンバーから離れてしまいますし、最後尾の者がパーティー全体のペースを指示しなければ隊列は伸びてしまって、パーティーはバラバラになりますので、実力も体力も備えたリーダーが歩くということになります。

 

まとめ

複数で登山をする場合は、信頼のおけるリーダーと行動しましょう。

パーティーで行動するときは、隊列を崩さないようにします。

パーティーがばらばらになると、意思の疎通がとれなくなり、メンバーの状態が把握できなくなります。

パーティーは少人数でなければ統制がとれません。1パーティーは6名程度までにします。

ツアー団体ではリーダー1名で数十人を引率している例を多く見かけます。

このような団体では、体力のない者、登山に不慣れな者は細やかな気配りをされない可能性が高いので、参加には注意が必要です。

パーティーの安全はすべてリーダーの力量にかかっています。

より安全性の高い登山を行うためには、経験豊富で信頼のおけるリーダーがいるパーティーに参加することが大切です。






プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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