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元山岳部部長の登山講座

登山の楽しみ方は百名山だけではない

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百名山?それとも一名山?

日本百名山が火つけ役となり現在の登山ブームに至っています。

山の楽しみ方には決まりはなく、百名山ハンティングは登山スタイルのひとつにすぎません。

NHKの日本百名山の放送の影響で、世間では「登山=百名山」のような誤解を生んでいるとこがあります。

百名山ハンティングが登山のきっかけとなった人は多いと思います。

ここでは、特定の山だけを登る登山スタイルについて紹介します。

 

一名山って?

お気に入りの山、特定の山だけを登るスタイルを百名山に対してここでは「一名山」と呼びたいと思います。

一名山主義はなんといってもその山を全部知り尽くすというところに醍醐味があります。

登山=百名山、と思っている登山者にはわかりづらいと思いますが、一名山主義の楽しみ方として、

第1に同じ山でも、複数のコースがあるところでは、コースによってその登山は全く別物になります。

斜度も距離も難易度も景色も高山植物も、すべてがらりと様相が変わる山はたくさんあります。

第2に同じコースでも天気や季節によって、難易度も雰囲気もがらりと変わります。

毎週とか毎日のように同じ山を登る人は、ほかの登山者が気づかない日々の微妙な変化がわかります。

特に、雪解けから高山植物が咲き乱れるころまでの時期までは、1週間と言っていられないくらい山の様相は急激に変化し、その都度本当にわくわくさせられるものです。

第3にその山の地形や特有の気象、動植物にすごく詳しくなります。
その山の地形や気象に詳しくなるということは、万一、悪天候や視界が効かない状態に遭遇しても誰よりも安全に下山する力がつくということです。

第4に地形に詳しくなるので、冬山にも挑戦できるきっかけとなります。

冬山も登れる力がついたころには、春夏秋冬、どの時期でも、どのコースでも登山を楽しむことができるし、その山について、誰よりも詳しく、誰よりも安全に登山ができるようになります。

結果的に登山の総合力が高まり、活動の幅が広がっていきます。

 

一般登山者でも山のプロに

一般の登山愛好家であっても、特定の山を知り尽くすということは、その山に関して言えば、プロの登山家や山岳警備隊よりもベテランということになっていきます。

海に例えるなら、海のプロと呼ばれている海上保安庁より、地元の漁師の方が、地域特有の気象や潮流、海底地形などにはるかに詳しいと言いますが、山でも同じようなことが言えます。

明治時代、冬の八甲田山で陸軍の部隊が道に迷い大遭難事故を起こした時、遭難した部隊は現地の案内人をつけていませんでしたが、難を逃れた別の部隊は現地の案内人をつけていました。精強な軍隊と言えども、特定の山を知り尽くした一般人には及ばないということなのでしょう。(八甲田山遭難事故については詳しく知りたい方はこちらを読んでみて下さい)

このように一名山主義は百名山ハンティングとはまったく別物の山の楽しみ方なのです。

私が知る限り、百名山ブームが起こる以前の山の先輩達は、やたらにたくさんの山頂をコンプリートするのではなく、自分の気に入った山に何度もリピートする傾向が多かったと記憶しています。

メディアやツアー会社が百名山ばかり取り上げるから「登山といえば百名山」みたいなイメージが強いのですが、お気に入りの山を何度も登ることに楽しみを覚える登山者はたくさんいます。

同じ山を何度も登ることで研究心も高まり、自分の体力、実力も把握しやすくなります。

百名山ブームについては、様々な意見がありますが、少なくとも登山ガイドの後ろをただついて行くだけの登山スタイルを繰り返していては本当の実力はつきません。

一名山主義は安全に楽しく登れる登山スタイルのひとつです。

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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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