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元山岳部部長の登山講座

登山靴のソール(靴底)の張り替え

登山靴のソール(靴底)の張り替え

登山靴は使用していると底が減ってきます。

最近すべるようになったなと思ったら、ソールの張り替え時期だったりします。

登山靴のソールは消耗品です。

自分の足に合ったお気に入りの登山靴は、ソールの張り替えが可能なうちは張り替えて使用した方が、新品を買うより安く済みますし、愛着も湧きます。

今回は登山靴のソールの張り替えについて説明します。




ソールの張り替え可能な靴とできない靴

登山靴には、ソールの張り替えが可能としているモデルとそうでないものがあります。

ソールの張り替えが可能かどうかは、お店やメーカーで確認することができます。

メーカーでソールの張り替えが不可とされている登山靴は、基本的にはソールが減ったら登山靴としての役目を終える事になるのですが、靴修理専門業者の中には、メーカーでソール交換が不可としている靴でも、ソール交換に対応しているところもあります。

自分の足にぴったり合った登山靴は手放したくないものです。

ソール交換が不可と言われている登山靴でも、諦めずに靴修理業者に相談してみましょう。

 

ソール交換の実際

登山靴のソールは一般的に2層なっていて、一番外側の地面に接する部分を「アウトソール」、アウトソールとアッパーの間の層を「ミッドソール」といいます。

通常、ソール交換といえば、このアウトソールを交換することを言います。

ソールを交換するタイミングは、溝が減って浅くなってきて、登山中滑りやすくなったと感じたときです。

目安として、毎週のように登山をする人なら、2年も使えば張り替え時期だと思います。

気をつけなければならないのは、ソールが減り過ぎて、靴とソールの中間の層にあるミッドソールと言われる部分まで擦り減ってしまうと、業者によっては交換できないと言われる場合があります。

このような場合、ミッドソール交換にも対応している業者であれば問題なく修理してもらえますが、アウトソールとミッドソールの両方を交換しなければならなくなるので、アウトソールだけの交換の場合より料金は高くなります。

登山靴の手入れの時など、普段からソールの状態を確認しておいて、減りすぎる前に交換するのがベストです。

上の写真は、まだソール交換の必要はありませんが、そろそろ気をつけなければならない時期の登山靴です。

ポイントは靴のつま先部分のソールの減り方です。

写真ではアウトソールのつま先の角が減って丸くなっています。

このまま使用していれば、ミッドソールのつま先部分まで擦り減ってしまいます。

ミッドソールのつま先部分まで擦り減ってしまうと、ミッドソールの交換も必要となってしまいます。

アウトソールだけの交換であれば、どこの業者もだいたい10000円前後が相場です。

修理に出すと1ケ月程度かかる場合が多いので、修理は登山をしないシーズンが良いでしょう。

様々な状態の登山靴修理に対応する業者の例

埼玉県にある「靴修理大好き工房 ナカダ商会」という修理屋さんがあります。

革製登山靴やトレッキングシューズのアウトソール交換やミッドソール交換はもちろん、お客さんの要望に応じたカスタマイズにも対応しています。

修理は宅配便で依頼が可能で、修理代10000円以上で往復の送料は無料になります。

今回、ナカダ商会さんにソール交換を依頼し、軽登山靴用のソールから重登山靴用の分厚いソールに変更することができました。

納品したら、別記事でレビューをアップします。

こちら→「登山靴のソール交換をしてみた



ポリウレタン製のミッドソールに注意!

上の写真のように、軽登山靴やトレッキングシューズのミッドソールはクッション性が良く、軽くて柔らかいポリウレタンを使用している場合がほとんどです。(革製登山靴の多くはミッドソールもゴム製です)

このポリウレタン製ミッドソールの一般的な寿命は5年程度とされ、経年劣化でぼろぼろになったり、靴から剥がれたりします。

使用頻度、メンテナンス、保管状態によってはそれ以上長持ちしますが、購入から5年程度経過したら、ミッドソールの劣化の状態に気をつけなければなりません。

ミッドソールの劣化の見極め方の例ですが、ミッドソールにマイナスドライバーなどの硬いものを適度に押しつけたあとに、へこみの戻りが悪ければ劣化が始まっている疑いがあります。

ミッドソールにドライバーを押しつけて劣化を確認

劣化したミッドソールは、崩壊が始まると一気に進行しますので、登山中に発生すれば下山までソールは持ちません。

実際に登山中にアウトソールやミッドソールが剥がれてテープや針金で応急修理している登山者を筆者は何度か目撃しています。

登山道に置き去りにされたソール(室蘭岳にて)

ソールの寿命が近い登山靴は、業者を探して修理をするか、登山靴を買い替えるなどして、登山中にソールが剥がれてしまうようなことにならないよう注意しましょう。






プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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