25Feb

登山のためのトレーニング方法(前編)
登山は全身運動であり、足腰だけの運動ではありません。
下山した翌日に、全身が筋肉痛になっていることからもわかります。
登山では、足腰を鍛えるのは勿論、全身の筋肉をバランスよく鍛えることが必要で、このほかにも、柔軟性や心肺能力の強化なども必要になってきます。
今回は登山のための効率的なトレーニング方法について紹介していきます。
登山で使う体力
登山は一般的なスポーツに比べ、運動時間が長く、また厳しい自然環境の中で活動しなければならないなど、特殊な条件がそろっています。
登山で使う体力は登る山や条件にもよりますが、その消費カロリーは3000kcl~5000kclとも言われ、消費カロリーだけで見ればボクシングの試合やフルマラソンより多いと言われています。
登山という運動は、動作だけ見れば、荷物を背負い、山道を何時間も登って下ると言ったごく単純なものです。
ですので登山は、主に下半身を使う運動と思われがちですが、道の状態によっては木の枝や、岩を手がかりにしながら歩くこともありますし、ストック(ポール)を使用しながら歩行することもありますので、意外に上半身も使うものです。
また、登山道は滑りやすいので、転倒しないよう気をつけて歩かなければならず、バランス力や体の柔軟性も必要になります。
このように、登山を行うためには、全身をバランスよく鍛えなければならないということになります。
そこで、鍛えなければならない部分というのは概ね次のようになります。
- 坂道の登り下り~臀部以下、下半身全体の筋力
- 長時間の登り~心肺能力
- ザックを背負う~腹筋力、背筋力(主に背筋力)
- 岩や枝を掴む、ストックを使う~握力、腕の筋力
- 滑りやすい登山道を歩く~バランス力(全身の柔軟性とインナーマッスル)
最強のトレーニング方法は「登山」なのだが・・
登山のための最強のトレーニング方法は「登山をする」ことです。
これを言ってしまうとこの記事の意味がなくなりますが、この一言に尽きます。
近郊に手軽に登れる低山(標高差500m程度)があれば一番理想的で、このような山を月に2回程度登ることが出来る環境では体力はほぼ維持されます。
毎週のように登山が出来る環境がある方であれば、どんどん体力はアップしていきます。
このように、手軽に登山ができる人は、とりたててトレーニングをする必要はありませんので、忙しくて登山に行けない時期だけトレーニングを行えば良いでしょう。
しかし、実際にはほとんどの登山愛好家は身近にトレーニングできる低山はないと思いますので、自宅などでトレーニングをすることになります。
いわゆる「筋トレ」の前にすること~柔軟性の強化
筋トレをする以前の話として、登山では柔軟性が求められます。
登山道は山道です。整地されていません。
大股で通過しなければならないこともあれば、ジャンプすることもあります。
泥でぬるぬるした斜面もあります。
まずは、体の硬い人は柔軟体操やストレッチから始めて下さい。
体が硬い状態で登山をすると、柔軟性がない分、体力を消費し、またバランスを崩したときに姿勢を戻すための瞬発力も得られなくなります。
トレーニングをする暇のない人は、最低でも柔軟体操をよく行って下さい。
柔軟体操は毎日か1日おきでもかまわないので、欠かさず行うようにしましょう。
体が軟いだけでも、硬い人と比べると、スタミナは持ちますし、転倒などのリスクも当然少なくなります。
柔軟性の強化には、柔軟体操やストレッチのほかに「ヨガ」なども有効です。
ヨガのポーズは、体の柔軟性を高めるのと同時に、インナーマッスルを含めた筋力の強化にも役立ちます。
筆者もヨガの動画などを利用して行っていますが、柔軟体操よりも退屈しませんし、柔軟性や筋力強化のために役立っています。
筋トレは下半身と上半身バランスよく鍛える
筋トレは下半身が中心になりますが、上半身も含めてバランスよく鍛えることになります。
下半身のトレーニングは足腰と心肺機能の両方を強化しますが、具体的には、ランニング、スクワット、踏み台昇降、カーフレイズ(つま先立ち運動)、お尻の筋トレなどを行います。
上半身のトレーニングとしては、腕立て伏せ、体幹部(腹筋、背筋など)の筋トレ、握力強化など組み合わせて行っていきます。
アウターマッスルとインナーマッスルもバランスよく筋トレ
アウターマッスルとは体表面の筋肉のことで、インナーマッスルとは体の深層にある筋肉のことです。
近年、あらゆるスポーツでインナーマッスルの強化が注目されています。
一般的にいう、いわゆる「筋トレ」では主にアウターマッスルの強化に意識を置きがちになりますが、アウターマッスル、インナーマッスル両方の強化を意識しながらのトレーニングを行うことが有効です。
インナーマッスルは骨や関節の動きに深く関係しているので、いくら体表面の筋肉を鍛えても、インナーマッスルが弱いと一定レベル以上のパフォーマンスが上がらないと言われています。
登山において関係してくるインナーマッスルは、腹横筋(体幹部)や腸腰筋(背骨と足をつなぐ筋肉)などで、これらを強化することによって、不整地でもバランスよく歩けるようになったり、腰痛の予防などにも有効です。
次回のトレーニング方法(後編)では、下半身の筋トレと上半身の筋トレに分けて、登山に必要な筋肉(アウターマッスル、インナーマッスル)をバランスよく鍛えられるよう、具体的なトレーニング方法について写真で説明していきます。
後編へ→「登山のためのトレーニング方法(後編)」
- トレーニングに関連記事
- 登山のためのトレーニング方法(後編)
- 登山と腰痛~体幹トレーニングで腰痛を治す!
- 夏山登山究極の熱中症対策~暑熱順化トレーニングとは
- 筋肉痛にバンテリンよりもヒルドイド?消炎鎮痛剤の比較実験!