山登り初心者とステップアップしたい経験者の方へ登山講座

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元山岳部部長の登山講座

登山とマナー

登山人口が多くなるにつれ、登山スタイルや山の習慣も多様化しているようです。

今回は、筆者が先輩達から教わった山の習慣について紹介します。




登山者との挨拶

挨拶

挨拶について。

昔から、山ではすれ違う登山者に「こんにちは」と挨拶する習慣があります。

山での挨拶については、特別そうしなければいけないというものではありませんが、お互いに無視するよりは、有効なことがあるのではないかと思います。

登山者が少なく、登山情報も少なかった時代は、すれ違う登山者に「こんにちは」と挨拶をし、登山道やテン場の状況などの情報交換をすることは、登山情報を得る上でかなり有効な手段でした。

登山情報が多くなった現在では、情報交換の必要は少なくなったのかも知れませんが、現在でも山では挨拶するのが習慣となっており、リアルな情報が知りたい場合などには有効な手段だと思います。

登山者が多すぎる山では、挨拶を交わさない場合も多いように思いますが、挨拶されたら、「こんにちわー」と返すのが礼儀だと思いますし、息が切れる、体調が悪い時などは、会釈だけでも良いと思います。

 

道の譲り方

団体

登山道は狭いので、すれ違う際には道を譲らなければなりません。

昔から基本的に「登り優先」とされています。

根拠については聞いたことがありませんが、下山中の人の方が、息切れしていない場合が多いので、苦しい登りに耐えてる側に道を譲るのではないかと思います。

場合によっては、登りの人が道を譲った方が安全に通過できる場合もありますので、そのような場合は、ケースバイケースで良いと思います。

また、速い人に追い付かれた場合にも、立ち止って道を譲るという習慣もあります。

団体登山の統制

団体で登山をする場合、団体は登りも下りも常に個人の登山者に道を譲るという習慣がありますが、これについては、先頭から最後尾まで長く連なる団体は、通過するのに時間がかかり、他の登山者に、長い隊列が通過するのを待たせるのは申し訳ないと考える場合が多いからだと思います。

団体には、通常、リーダー、サブリーダーなどを配置して、他の登山者とのすれ違いや、追い付かれた場合などに全体の進行について統制を行うのですが、実際には、道を譲らない団体さんも多く、これについては、団体の責任者の考え方によって大きく変わると思います。

また、団体は、休憩する場合にも一定の配慮が必要で、休憩中の団体が、登山道を占拠して、他の登山者の歩行の妨げになっている場合や、山頂標識周辺や撮影ポイントを長時間占拠していたりする場面も見られます。

団体で登山をする場合、団体には集団心理が働き、他の登山者への配慮がおろそかになる傾向がありますので、主催者やリーダーは、常に全体を統制しながら登山をする必要があると思います。



落石について

落石危険

山では不用意に石を投げる行為は厳禁で、歩行中の故意ではない落石についても細心の注意が必要です。

斜面での落石は、どんどんスピードが上がり、小石であっても予想以上のエネルギーがありますので、下の登山者が当たれば、けがや救助が必要になる危険性があり、とても危険です。

そのため、昔から、歩行中などに不意に石を落としてしまったり、上から石が落ちて来た場合など、大きな声で「らーーーくっ」と叫んで、下にいる登山者に注意を喚起していました。

最近ではあまり聞くことがなくなりましたが、こういった習慣は継承していった方が良いと思います。

また、子供が石を投げて遊んでいる場面を見ることがありますが、周囲の大人が危険性を教え、指導してあげることも大切です。

 

ゴミ

掃除

言うまでもなく、山でゴミや残飯は絶対に捨てないようにします。

ゴミや残飯は、山を汚すだけではなく、熊や他の野生動物を誘引します。

ゴミの問題については、昔より登山者の意識が高くなったのか、最近は割合きれいな山が多くなったように思います。

しかし、依然として飴の袋はよく落ちており、これについては、捨てたというよりは知らずに落としてしまった場合が多いのではないかと思います。

山では、小さなゴミであっても、うっかり落とさないような工夫が必要です。

 

トイレ問題

トイレ

トイレについて。

ここ20年くらいで山のトイレ問題がよく言われるようになりました。

登山人口が増えたこと、百名山ブームで特定の山に登山者が集中することで、汚物が目立つようになり、無視できない状況になったのだと思います。

それ以前は、男性は「きじを撃って来ます!」、女性は「お花を摘むで来ます!」などと言い、茂みに隠れて、いわゆる「野糞」がどこの山でも当たり前でした。

いわゆる山での野糞は、みんな考えることは一緒で、適当な場所を探し当てると、必ずそこには複数の痕跡があるものです。

このような場所を「きじ場」と呼んでいます。

きじ場には、大抵、登山道でもないのに踏み跡がついています。

登山人口が増えると、そういう場所はとても不衛生になってしまいます。

複数の指定幕営地の水場では、大腸菌が検出された事例などもあります。

最近では、携帯トイレの持参が義務化、または、奨励されている山もあり、登山口、幕営地、登山道の途中などにトイレを設置している山も多くなりました。

生理現象ゆえに困った問題ですが、山に入る前には、極力、用は済ませ、携帯トイレの持参が義務化されていたり、持参が常識となっている山もあると思われるので、トイレ事情は事前に情報収集してから入山するようにします。

やむを得ず、「きじ撃ち」する場合でも、そのままにはせず、小さい穴を掘って埋めるなどの心づかいがほしいものです。

マナーについて気づいた点があったらまたアップ致します。(「登山とマナー2」はこちらです)




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プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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