26Jul
今回は実際の登山での重ね着(レイヤリング)の例や、最新の登山ウエアとユニクロなど一般ウエアなどの組み合わせなどについて考えていきます。
はじめに、近年出ている登山の服装の状況について簡単に書きたいと思います。
(前回記事「登山の服装選びの基本1~レイヤリングとは」はこちらから。)
肌着(ベースレイヤー)について
平成20年ころまでポリエステルのメッシュのTシャツを肌着として着ている人が多かったように思います。
現在は吸水、速乾、保温性を持たせた汗冷えしづらい、ポリエステル製のベースレイヤーが主流となりました。
例えばモンベルのジオラインや、パタゴニアのキャプリーンというシリーズなどがあります。
ベースレイヤーといっても本当に肌着としてしか着れないような薄さやデザインの物もあれば、Tシャツとして着れるようなものもあります。
厚さはだいたい3種類くらいに分かれていて真夏から厳冬期用まで選べるようになっています。
冬山など寒い時期専用のものとしてはメリノウールという温かい肌着があります。
メリノウールも厚さが3種類くらいに分かれています。
ウールはポリエステルに比べ速乾性がやや劣りますが、保温性、防臭性は勝っています。
価格はポリエステルなどの化繊にくらべるとウールなどの天然繊維は割高です。
中間着=行動着(ミッドレイヤー)について
ひと昔前までは、チェックの山シャツが主流でしたが、現在はいわゆるジャージのような、ポリエステル製で前開きのフリースが主流です。
中間着も吸水、速乾、保温性を持たせており、厚さが様々で、真夏~厳冬期用まで選べます。
上着(アウター)について
いわゆるナイロン製のヤッケ、ウインドブレーカーの類のものです。
最近では夏山にゴアテックス製のカッパをアウターと兼用する人が多くなりました。
カッパとは別にアウターを持たなくてもよいので、ザックの重量軽減にもなります。
ゴアテックスのカッパは厳冬期の冬山ではアウターとしては薄いので、冬山にはゴアテックス製「ハードシェル」を着用するのが主流です。
アウターといえば、「ソフトシェル」といわれるものもあります。
ソフトシェルとは防風、防寒性を持たせたアウターで防水性はありません。
ソフトシェルは厚さ、デザインなど多様で、パーカーのようなものや、フリースのようなものなどがあり、アウターとしてだけではなく、寒い季節の中間着としても使えるものもあります。
登山においてアウターの役目は防風と防寒です。
登山用ではない作業用のヤッケやウインドブレーカーでも全然ありだと思います。
レイヤリングの例~レイヤリングは人それぞれ
登山用の服装は値段が高いものが多いのですが、目的さえ合っていれば作業用品店やユニクロなどの安価な服をレイヤリングに取り入れてることも可能です。
参考として、現在の筆者のレイヤリングを紹介します。
ベースレイヤー
一番重要なのがベースレイヤーです。
最近まで夏のベースレイヤーは7年ほど前に購入したフェニックスのデオシームという防臭性の優れたスポーツ用メッシュTシャツを着ていましたが、このメッシュTシャツは保温性がなく汗冷えするので、モンベルのジオラインL.Wという吸汗速乾性の肌着に切り替えました。
ジオラインL.Wは見た目は薄くて若干透けていますが、一般的なスポーツ用メッシュTシャツに比べ、濡れに対して保温性が良く、以前より汗冷えしづらくなりました。
冬のベースレイヤーについてはモンベルのスーパーメリノウールの中厚手(上下)を着ています。
ウールは化繊のものより速乾性が劣りますが、濡れていてもある程度保温性があり、汗冷えしにくいのがウールの特徴です。
また、ウールは化繊に比べて防臭性がとても優れており、長時間着用していても化繊のシャツにありがちの嫌な臭いがあまりしません。
ミッドレイヤー
ミッドレイヤーは、筆者が登山を始めた時からずっとカッターシャツ(いわゆるチェック柄の山シャツ)を着用しており、夏はポリエステル製、春秋冬はウール製です。
現在、多くの登山者は中間着として速乾性フリースを着用していますが、昔ながらのカッターシャツでも、吸汗速乾、保温性が悪いということはなく、特に不自由を感じたことがないので、レイヤリングを変更せず、今でもカッターシャツを愛用しています。
アウター
積雪期以外のアウターについて、以前はヤッケを持ち歩いていましたが、作業用品メーカー製の透湿性のカッパを買ってからは、アウターとカッパを兼用しています。
それと、表地がナイロン、裏地がフリースになっている、ユニクロのジャケットを持ち歩いています。
ウインドブレーカーと防寒フリースが兼用でき、とても温かくて汗冷え防止に重宝しています。
冬山はゴアッテックスのハードシェルを着用しています。
冬山用のアウターは、分厚いスキーウエア―やアノラックのように、中綿が入っているもの(=インサレーション)は、歩行中、暑すぎて体温調整が難しく適しません。
ただし、厳冬期にアウターとは別に防寒用としてダウンジャケットを持って行くことは有効です。
ゴアッテックスのハードシェルを購入するまでは、厚手のヤッケを着用したり、スノボー用のウエアを使ってみたりしましたが、防水性がないので、撥水スプレーをたっぷりかけて使用していました。
今や冬山用のアウターはゴアテックスが常識となり、凍ってガリガリになったヤッケを着ることもなく、ずいぶんと快適になりました。
ドライレイヤー(0.5レイヤー)
汗冷え対策として、ベースレイヤーの下に着る、ドライレイヤー(0.5レイヤー)というシャツの人気が急速に高まってきました。
ミレーやファイントラックのものが有名です。
この記事を書いたあとに、購入してみましたが夏山でも冬山でも汗冷え対策に大変効果があります。
ドライレイヤーは、ベースレイヤーに汗を吸い上げさせて、肌に汗が残らないような工夫がされています。
ドライレイヤーに関しての詳しいことは「汗冷え対策。ミレーとファイントラックを比較!」を読んでみて下さい。
まとめ
登山の服装について概略を書きました。
初めて夏山の低山に登る場合などは、一度に服装を揃えるのは大変ですし、お金もかかります。
ですので、化繊のスポーツ用Tシャツにジャージ、防寒用に一般的なフリースなど、家にあるものでも、防寒対策さえしっかりしていれば、とりあえずは良いと思います。
ただし、木綿製の衣類は、乾きが悪くて汗冷えしますので避けるようにします。
ジャージについては賛否があって、昔からジャージは登山に適さないと言われつつもジャージ登山者は必ずいました。
ジャージが良くないと言われる理由は防風性、防寒性がなくて寒いからだとされています。
確かにそうですが、逆に言えば通気性がよく伸縮性もあるので、レイヤリングでカバーすればジャージは有りなんじゃないかとも思います。
問題はどんな服装にしても、汗冷えしないように、フリースなどの防寒服、ウインドブレーカーなどの防風性のある服、雨ガッパ(上下)、場合によってはTシャツの着替えなどを用意すれば調整が可能です。
一度登ってみればウエアの不都合もわかりますので、必ずレイヤリングを見直すでしょうし、徐々に高機能な登山用ウエアを取り入れるようになると思います。
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