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元山岳部部長の登山講座

登山とGPS~GPSの役割とは

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山では地形図、コンパス、高度計があり、読図能力があれば、ホワイトアウトでもしない限り現在地を完全にロストすることはほんとんどないでしょう。

しかし、現在ではガーミンに代表されるハンディGPSが登場したおかげで冬山を含め現在地をロストすることはほぼなくなったと言えます。

今回は登山GPSについて書いていきます。

 

古いモデルのGPSでも十分。丈夫で長持ち

私は7年前に購入した旧モデルのガーミン(etrexレジェンドHCX)に別売りの登山用2万5千分の1地図データ入れてを使用しています。

(購入時に本体に内蔵されている地図は大変大雑把なものです。)

この2万5千分の1地図データは10m間隔の等高線や登山道も表示され、国土地理院の地形図とほとんど変わらないものです。

(登山道表示は国土地理院のものと違っていることがあります)

 

購入したきっかけは日高山脈で何度か道に迷ったり、(日高の山奥は登山道が不明瞭だったり道かどうかよくわからないところがたくさんあります)冬山で視界が効かなくなるなど、ひやりとした経験が何度もあって、ハンディGPSは大変高価でしたが命の保険としては十分な買い物だと思い購入を決断しました。(本体と地図データの両方で10万円弱しました。)

最新機種と比較すると、測位誤差はややありますが、実用上は問題なく使えています。

7年間、ハードに使用していますが、丈夫で使いやすく、まだまだ現役です。

 

GPSといえば・・・

ガーミンetrexシリーズの最新モデルを使用したことはありませんが、カタログデータを見る限り、測位精度の向上やオプション機能が追加されていることを除けば、取り扱い自体は旧モデルと大差がない印象を受けます。

ガーミンのハンディGPSはetrexシリーズ、GPSMAP64SJ、Oregonシリーズがありますが、価格が日本正規品で2万円台~10万円台と幅があり、初めて購入する人は必ず迷うと思います。

また、ネット上には半額に近い輸入品もあり更に迷います。

どの商品も登山用として優れていると思いますが、ガーミンの中でもバッテリー寿命約25時間(単3×2本)という寿命の長さと小型軽量という意味で私が登山向きだと考える、etrexシリーズの3機種について概略を書きたいと思います。

日本正規品と輸入品

まず、日本正規品と輸入品の違いですが、輸入品の場合、英語表記なので、そのまま使用するか、パソコンを使用して日本語化している人もいるようです。

私は日本正規品を使用していますので詳しくはわかりませんが、予算的に輸入品を選ぶのであれば、購入前に日本語化できるのか、別売りの地図データを入れた時にどのように表示されるのか、その辺りをよくリサーチしてから決めた方が安全だと思います。

また、etrexシリーズは、どの機種も内蔵されている地図は大雑把なもので実用的ではありません。

etrex10J

一番安いetrex10Jですが、別売りの地図データを入れることができません。

なので使い方としては、自分が歩いた道は航跡として残りますので、迷っても航跡をたどれば元の道にもどることはできますし、以前に歩いた道ならその時の航跡を呼び出して表示させることもできます。

また、10Jに限らずガーミンのハンディGPSはパソコンと接続できますので、パソコンに地図ソフト(カシミール3Dというフリーソフトが有名)をインストールしてあれば、パソコンであらかじめ編集したルートをガーミンに落として表示させることもできるし、ガーミンに記録された航跡をパソコンにダウンロードして保存したり、逆にパソコンに保存した航跡をガーミンにアップロードしたりですることがきます。

ガーミン本体に地図ソフトが入らない10Jでもこのような使い方ができます。

etrex20Jと30J

上位機種の20Jですが10Jとの大きな違いは別売りの地図データを入れることができるということです。

その上の30Jは20Jの機能に加え、高度計と電子コンパス機能などが付加されています。

私が思うに、初めてガーミンを購入するのであれば、初級者、経験者を問わず、20Jか30Jに別売りの登山用2万5千分の1地図データを付けるのが良いのではないかと思います。

高度計を既に持っている人なら20Jで十分だと思いますし、あとは予算や好みによるでしょう。

etrexのほかに

etrexのほかに高級グレードのGPSMAP64SJやOregonシリーズがありますが、前者は受信感度が良いと言われており、後者はタッチパネル式で登山用2万5千分の1地図データが本体に内蔵してあるのが特徴です。

別売りの地図データは約2万円しますので、etrex20Jや30Jと一緒に地図データを買うよりもOregonシリーズを買った方安く上がるかも知れません。

GPSMAP64SJ、Oregonシリーズ共にバッテリー寿命は約16時間であり、etrexシリーズより電池寿命が短くなっていますが、etrexシリーズ同様、電源が単3電池であるところは心強いと思います。

※追加情報 H29.5 etrex20Jと30Jの後継機種の「etrex20XJ」と「etrex30XJ」はガーミンの公式HPから「日本詳細地形図2500/25000」が今ごろになって、無償ダウンロードできるようになりました。既に別売り地形図を買ってしまった人には微妙ですね。

スマホをハンディGPSがわりに

スマホ

ガーミン製ハンディGPSについて概略を書きましたが、GPSで位置情報を得る方法として最近出てきたのはスマホに地形図アプリを入れてハンディGPSがわりに使用するという方法です。

スマホはオフラインでもGPS機能が使えます。

スマホを持っている人で、とりあえずGPSを装備したいのであれば高価なハンディGPSを買うより断然安上がりだと思います。

スマホをGPSがわりに活用する場合の難点は、衝撃、防水性が劣っているということと、機内モード、省エネモードにしないとバッテリーがどんどん食うというところです。

いずれにしても、携帯電話は山では遭難用の通信機器として重要装備に位置付けられますので、登山には必ず持っていく物であるし、地形図アプリが入っていれば道に迷っても自力で下山できる可能性は当然高くなります。

また、ハンディGPSを持たない分、装備の軽量化にも貢献できます。

なお、スマホに地形図アプリが入ってなくてもGPS機能で北緯東経だけでもわかる場合があります。

救助機関であれば北緯東経だけの情報があればピンポイントで現場に向かうことができますので、万が一の時には捜索活動の役に立つでしょう。

 

登山スタイル合ったGPSを

各種ハンディGPS、スマホなどGPS機能など大雑把に書きましたが、

・価格

・バッテリー寿命

・各種機能

・操作のしやすさ

・画面の見やすさ

など、それぞれ長所や短所があります。

 

登山用としてGPSを装備したいと考えるのであればGPSをどんな風に使用したいのか

(ハードな条件で使いたい、登山記録としてトレースを保存したい、あくまでも緊急用として持ち歩きたい、遊びや楽しみとして持ち歩きたいなど)

自分の登山スタイル合ったものを選ぶことになると思います。

最新のハンディGPS専用機とスマホアプリの比較や選び方については「登山用GPSの選び方~専用機?スマホ?」を読んでみて下さい。

 

GPSはあくまでも登山を補助するための機械

コンパス

最後にGPSはあくまでも登山を補助するための機械であり、地形図やコンパスにかわるものではありません。

私は登山にはガーミンを装備して行きますが、位置を知るための主体はあくまでも紙の地形図、高度計、コンパスと山道を歩く勘です。

地形図を持って登山に行こう登山と高度計にてそれぞれ触れました。)

ガーミンは現在地に確信が持てない時に補助的に使用します。(登山記録としてトレースを保存する時にも使います)

機械に頼り過ぎるような登山をしていれば、大きな測位誤差、故障、誤作動、バッテリー切れを起こした場合、どうすることもできません。

登山のステージが上がれば上がるほどに、地形図、コンパス、五感などをフル活用し正確な現在地を把握できる実力が必要とされます。

GPSは夢のような装備であることには間違いありません。

ですが、

明治時代、陸軍陸地測量部の人達を大雪山や日高山脈の奥深い頂上まで案内したのは地形図を持たないアイヌ民族です。

いくら便利なものが出来ても最後はアナログで山を歩けることが本当の実力であることを私たちは忘れてはいけないと思うのです。



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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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