山登り初心者とステップアップしたい経験者の方へ登山講座

menu

元山岳部部長の登山講座

登山用テントのまとめ~テントの選び方

登山装備 テント

登山用(山岳用)テントのまとめ~テントの選び方

泊を伴う登山では、確実に山小屋を利用できる環境がない限りテントを携行し幕営(テント泊)できる準備をしなければなりません。
今回は登山用テントの選び方について説明します。




テントの種類

テントの種類を大きく分けると、一般のキャンプ用(ファミリー用)テントと登山用(山岳用)テントがあります。

更に分けると、ナイロンなどの普通素材のものと、湿気を外に逃がす透湿性素材のものがあります。

またテントにはサイズがあり、1人用、2人用、4,5人用などがあり、目的や予算に応じて選ぶことになります。

 

一般キャンプ用テントと登山用テント

一般キャンプ用テントの例

コールマンBCクロスドーム270 4~5人用

270×横270×高さ175cm重量約10kg

コールマン テント BCクロスドーム/270 2000017132

 

登山用テントの例

エスパースⅡ 4~5人用 

縦210×横210×高さ146cm 重量3.3kg

一般のキャンプ用テントと登山用テントの違いは、登山用テントの方が耐風性能、小型軽量化に優れていて、構造が簡単ということです。

登山用テントは耐風性能に特化して設計されているため、床面積が狭く、天井が低いなどキャンプ用と比べると居住性が悪いのも特徴です。

上記の例では同じ4~5人用テントでも登山用テントの方が狭く、高さも低いことがわかります。重量はキャンプ用テントに比べ1/3程度しかありません。

登山に使用するなら必ず登山用のテントを使用しましょう。

 

普通素材のテントと透湿性テント

普通素材テントの例~ダブルウォール(フライシートあり)

エスパース・デュオ アルティメイト2人用

縦210×横130×高さ115cm 重量1.55kg 定価64,800円

 

透湿性テントの例~シングルウォール(フライシートなし)

エスパース デュオ-X2人用 縦210×横130×高さ115cm 重量1.48kg 定価65,880円

 

ナイロンなどの普通素材のテントは透湿性がありませんので、ベンチレーターを開けて通気しなければテント内に湿気が溜まります。

雨でもベンチレーター(小窓)を開けれるようにテント本体の外側にフライシートを張ってダブルウォール(二重壁)にするのが通常です。フライシートを張ることによって、雨が直接テント本体をたたくことはありません。

一方、透湿性テントは室内の水蒸気が生地を通過して外に排出されますので、テント本体のみ(フライシートなし)のシングルウォールで使用する場合が多く見られます。

透湿性テントの方がフライシートがない分、軽量化という点では優秀ですが、価格的には普通素材のテントより割高になります。

 

テント選び

テントはパーティーの人数によって大きさが決まります。人数にあった広さのテントを選ぶことになります。

大人数の場合はテントサイトのスペースが問題になるので、なるべくテントの数は少なくなるような調整が必要です。

4人パーティーの場合、4人用テント1張りの場合と2人用テント2張りを持って行く場合が考えられますが、4人用テント1張りの方がサイトのスペースが狭くて済みます。

単独行が多い人なら2人用テントが使い勝手が良いです。

2人用テントは1人用テントと重量的にあまり変わりません。

単独行の時でも床面積が広く使えて快適ですし、2名パーティーでも対応できるので一石二鳥です。

普通素材のテントか透湿性テントを選ぶのかについては、泊を伴う登山では少しでも荷を軽くしたいと誰もが考えますので、シングルウォールの透湿性テントが欲しいところです。

透湿性テントはテント内の湿気をすべて外に出してくれるかと言えばそうではなく、内壁がまったく結露しないわけではありません。普通素材のテントよりは快適という感じです。

予算に余裕があって、軽量化にこだわるのなら透湿性のシングルウォールテントになると思います。

そこまでの性能や軽さはいらない、費用を安く抑えたいという方は普通素材のダブルウォールテントが良いでしょう。

実際の幕営地ではどちらのタイプも目にします。どちらにするかは、費用対効果という点で、その人の登山スタイルや考え方によるところが大きいでしょう。

また、冬山に使用するテントについては、冬山専用のテントというものが別にあるわけではなく、オールシーズンテントに別売りのオプション(冬山用外張り、冬山用内張りなど)を後付けして防寒性を高めて使用するのが一般的です。

将来的に冬山も挑戦してみたいと思っている方はこのような冬山用のオプションが設定してあるモデルが良いでしょう。

次回は実際の登山で行うテントの張り方について説明していきます。






プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



カテゴリー