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元山岳部部長の登山講座

登山にゴアテックスの帽子は必要か?

登山にゴアテックスの帽子は必要か?

近年、登山用品売り場にゴアテックスの帽子がたくさん並ぶようになりました。

登山で帽子をかぶる必要性は、頭部の保護、日よけや汗止めの役割があるからです。

ゴアテックスは防水・透湿素材といって、外部からの浸水を防水し、水蒸気となった内部の汗を外に逃がすという特殊素材です。

アウトドアにおいて、ゴアテックスの帽子はレインハットとしての役割を担うものなのですが、登山において、ゴアテックスレインハットは絶対に必要というものではなく、あれば便利なこともあるという程度だと思います。

雨が降ればカッパのフードをかぶりますし、小雨で帽子や頭が少しぐらい濡れても、そんなに寒さを感じることはありません。

今回は、登山において使いどころがわかりづらい、ゴアテックスの帽子について考えてみます。




登山の帽子に求められるもの

登山者がかぶっている帽子は素材も形もまちまちです。

帽子は日よけと頭部の保護、汗止めだけの目的でかぶっているので、通気性が良くて好みのデザインであれば何でも良いということになります。

通気性でいうと、ポリエステルや木綿などが良いでしょうし、デザインでいうと、つばが前についたキャップ型か、つばが全周についたハット型の二択になりますが、いずれもつばが極端に広いものは視界悪く、木の枝などに頭をぶつけやすくなりますので注意が必要です。

登山では大量に汗をかきますし、雨にあたれば帽子はずぶ濡れになってしまいますので、ポリエステルなどの速乾性の素材だとさらに快適だと言えます。

ゴアテックス帽子の例

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問題は帽子に防水性が必要かどうかだと思います。

登山中に雨が降れば、カッパを着てフードをかぶりますので、帽子は汗を吸収する役目しかありません。

帽子が防水だったらフードをかぶらないかと言えば、雨や風が強い時は、襟から水が入りますのでやっぱりフードをかぶります。

山中で雨に当たると、フードをかぶってフードのゴムをしっかり締めていたとしても、顔に当たった雨水が徐々に侵入し、服を濡らすこともあります。

小雨だったらどうかといえば、暑いのでフードをかぶらず帽子のままでいることもあります。

その場合は、帽子に防水性があると便利だと思います。

しかし、小雨の時に防水性の帽子が絶対必要かといえば、少々の雨なら、帽子が濡れて浸透しても、登山中であれば、汗なのか雨水なのかよくわからない状態も多く、そんなに気になるものではないと思います。

登山の帽子に防水性が必要かどうかについては、あっても良い、別になくても良いの両方が言えるのではないかと思います。



ゴアテックスの弱点。普通の帽子より蒸れる

帽子にゴアテックスを採用する理由は、雨に当たっても頭が濡れず、かつ汗で蒸れにくいということです。

繰り返しですが、少々の雨なら帽子が濡れて浸透しても、登山中であればそんなに気になるものではありません。

しかし、小雨の時にカッパのフードをかぶるのは暑苦しいので、防水性のあるゴアテックスの帽子は便利なのかも知れません。

問題になるのは晴れた日にゴアの帽子をかぶった場合、頭がどの程度蒸れるかです。

ゴアテックスなので水蒸気は通します。

水蒸気を通すので、頭が全然蒸れないかといえば、そうではなく、木綿やポリエステルなどの普通の生地に比べたら通気性は大分劣ります。

登山にゴアの帽子をかぶるのなら、晴れて暑い時には蒸れるので帽子を脱ぎ、バンダナなどを頭に巻いて日よけをし、小雨の時には頭が濡れないよう、ゴアテックスの帽子をかぶるというような使い方だったら良いのではないかと思います。



機能的な帽子とは

そもそも帽子は通気性がないととても不快なものです。

登山では大量の汗をかきますので、帽子は通気性があって、汗を吸い、速乾性のあるものが快適です。

そうなると、ポリエステルなどの吸汗速乾素材が機能的だと言えます。

ポリエステル製の帽子の例

アマゾン ロゴス アドベンチャーハット 撥水加工
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小雨の時に頭が濡れる問題については、帽子に撥水性を持たせることによってある程度は解決できます。

例えば、帽子の表地がつるつるした材質であれば(ナイロンなど)、防水剤を使用して、ある程度の撥水性を持たせることができるでしょう。

しかし、ほとんどの登山向けの帽子は、防水性を犠牲にして通気性や速乾性を優先しているものばかりです。

アウトドア関係の趣味や仕事でゴアテックスの帽子を採用しているところを調べてみましたが、釣りやゴルフの時にレインハットとして使用している場合があるようです。

釣りやゴルフは登山のような激しい運動ではありませんので、そんなに蒸れが気にならないのだと思います。

ちなみに、野外で汗をかく仕事の代表各、自衛隊の帽子は木綿とビニロンの混紡かポリエステル製が多いようです。

ゴアテックスの帽子を出しているメーカーでは必ず宣伝文句に「通気性がいい」とか「快適」などの文言を使います。

確かに蒸れないような工夫がされているのはわかりますが、通気性ではゴアじゃない普通の帽子には到底かないません。

登山ブームに乗って、メーカーが仕掛けているのだと思いますが、近年、帽子に限らず、登山用品のラインナップが非常に多くなり、便利な商品が増えましたが、中には「これは本当に必要なのか?」と疑問に思うものがけっこうあります。

ゴアテックスの帽子はポリエステルなどの普通の帽子に比べ、割高ですし、ゴアテックスは使う洗剤や洗濯方法に気をつけなければ透湿性能が落ちてしまうので、メンテナンスにもやや手間がかかります。

(ゴアテックスの洗濯方法については「ゴアテックスの手入れ」を読んでみて下さい。)

ゴアテックスの帽子は、長所、短所をよく理解した上で、どのような用途に使用するのかを考えてから購入した方が良いでしょう。







プロフィール

フリーランサー。元船員(航海士)
学生時代に山岳部チーフリーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。
以来、北海道の山をオールシーズン、単独行にこだわり続け35年。
現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのライター。

※他サイトにおいて元山岳部部長を名乗る個人・団体が存在しますが、それらは当サイトとは一切関係ありませんのでご了承ください。



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