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元山岳部部長の登山講座

懐かしい昭和の登山装備。ホエーブス

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懐かしい昭和の登山装備。ホエーブス

現在キャンプ用ストーブはガスカートリッジ式が主流ですが、かつてはガソリンや灯油式のゴツくて重たいストーブが主流でした。

今回は懐かしい昭和の登山装備のうち、「ホエーブス625」を紹介します。

 

ホエーブスって?

ホエーブス625

ホエーブスはオーストリア製のキャンプ用ストーブです。

かつて、登山者の中では略して「ブス」と呼ばれていました。

燃料はノズルを交換することによって、灯油とガソリンの両方が使用できます。

ホエーブスには№625と№725の2種類があり、625は大型ストーブ、725は小型ストーブです。

ホエーブスは大正期から平成4年まで製造されていましたが、現在は製造されていません。

日本の栄製機という会社が一時期、復刻版を製造したようです。

ホエーブス725

 

倉庫に眠るホエーブスは今も現役

筆者が昭和60年ころ使用していた、ホエーブスを倉庫から出してみました。

円筒形の特徴的な缶に本体が収められています。

当時、キスリング(キャンバス生地の大型ザック)にパッキングする時にほかの装備とぶつかったりしていたので、缶がベコベコにつぶれています。使い込んでいるホエーブスの缶は大概こんな感じになっています。

缶は非常に丈夫で、炊事の時にはよくこの缶の上に腰かけていました。

缶はベコベコですが、本体は意外ときれいです。

風防とバーナー部ヘッドの部品を取り外してみます。タンク上部のくぼみは予熱皿で、ここでメタ(固形アルコール)やアルコールを燃やし、バーナー部ヘッドをプレヒートします。メタがない時に灯油を直接予熱皿に入れてプレヒートしたせいで、ススがついています。

点火する前にタンク内の圧力を上げます。

燃料が入ったタンクの中にポンピングしてエアーを入れタンクの圧力を上げておきます。

圧力が十分上がった状態で、赤いハンドルを開けるとバーナーのノズルから燃料が噴き出します。

噴き出した燃料(灯油、ガソリン)は、十分にプレヒートされたバーナー部ヘッドに当たった瞬間に気化し、ガスになって青白く燃焼します。点火はライターやマッチを使いますが、プレヒートが不十分だと燃料は液体のまま出てしまうので、点火の直後、赤い炎が火炎放射器のように燃え上がり、まつ毛や前髪を焼いてしまうことがあります。ですので、真冬に使用するときは特によくプレヒートします。

ホエーブスはマナスルやラジウスにくらべ、バーナー部ヘッドの作りが大きいので、プレヒートに時間がかかります。

ポンプからピストンを出してポンピングする

ポンプねじって外すと給油口になっている

登山装備 昭和 ラジウス

こちらはマナスル。バーナー部ヘッドは小さい

 

赤いハンドルのシャフトの先っぽは、不慣れな人が扱うと力の入れ過ぎでよくねじ切れて破損します。山で壊れたら、ペンチで直接バルブを開け閉めしなければなりませんでした。

下山後、壊れたハンドルはカナノコで切って直しますので、壊れる度にだんだんシャフトは短くなってきます。

こちらは、専用スパナと予備パーツです。ホエーブスはノズルを交換することで、灯油もガソリンも使えます。

ノズルに「E」の打刻があるものが灯油用、「G」の打刻があるものがガソリン用です。(拡大しないと写真では見えません)

灯油用ノズルとガソリン用ノズルの違いは中央の穴の径です。ガソリン用ノズルの方が穴がやや大きくなっています。

灯油もガソリンも使えるのがホエーブスのいいところです。

先に細い針がついている部品はノズルのスス取りです。バルブを開け閉めする度に、このスス取りが上下してノズルの穴を掃除します。

もう、30年使っていませんが、灯油がそのまま入っていましたので点火してみました。

ポンピングして、アルコールでプレヒート中

勘が鈍り、プレヒート失敗!火炎放射器になる。

アルコールを足して再度プレヒート。

点火成功!

快調に燃える

青白い炎とともに、懐かしい轟音が響きました。

昔、お世話になった懐かしいホエーブス。

重たいので、登山にはもう持って行きませんが、今でも十分使えますのできれいに磨いてキャンプ用に復活させようと思います。


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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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