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元山岳部部長の登山講座

懐かしい昭和の登山装備。わかん、尻あて、ラジウス

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懐かしい昭和の登山装備~60年前の登山装備って?

登山を始めたころに山の先人達から頂いた旧式の装備たち。

今回は、倉庫に眠っている昭和の動態保存、わかん、尻あて、ラジウスを紹介します。

 

わかん

昭和30年代に手作りされたコクワ製のわかん

わかんは、「輪かんじき」のことで、登山では「わかん」という言い方が定着しています。

わかんは、古くから日本の豪雪地帯で使用されていて、昔は籐、現在ではアルミ製などがあります。

材質が変わっても基本的なデザインは昔から変わっていません。

わかんには平地用と山岳用があって、山岳用のわかんには斜面でも滑らないよう、フレームにスリップ止めの爪が2個ついているのが特徴です。

写真のわかんは、山の先輩が昭和30年ころに手作りしたものを譲り受け使用していました。

フレームは、山から取って来たコクワのつるを2本合わせたもので、市販品より一回り大きめに作ってあります。

爪も市販品より長めに作ってあります。

登山靴の底を受ける部分は、麻縄や化繊ではなく、革ひもを使用しています。

このオリジナルのわかんをくれた先輩に聞いてみたところ、フレームを大きめに作って浮力を大きくしたこと、爪を長くして斜面でのフリクションを高めたこと、丈夫で凍りにくい革ひもを使用したことなど、独自の工夫を加えたとのことでした。

先人の知恵と技術に脱帽です。

 

尻あて

昭和30年代に自作された犬の革の尻あて

20年くらい前までは登山用品店でもたぬきの革などの尻あてを目にしましたが、現在、尻あてをしている登山者は見なくなりました。

登山の時、尻あてを腰につけていれば、濡れた場所や泥がついた場所でも腰を下ろすことができて重宝します。

冬山では雪の上に腰かけてもお尻が冷えずに済みます。

写真のものは、山の先輩が昭和30年ころに自作したものを譲り受け、使用していたものです。

革は犬の背中の革で、ひもは日本軍のゲートルについていたものだそうです。

なぜ、犬の革なのかを先輩に聞いて見たところ、犬の革は水を通しにくいから、当時は犬の革を尻あてにする人がけっこういたそうです。

これも先人の知恵と合理主義だと思いますが、動物保護団体が聞いたらドン引きするような話でしょう。

現代の価値観と昔の価値観は違って当然です。貴重なお話ですね。

 

ラジウス

昭和50年代製のマナスル126型の灯油式ストーブ(サンマイルド社製)

ふた裏には丁寧な説明も

ガソリンや灯油を燃料とするストーブ(携帯コンロ)を総称して「ラジウス」と呼ぶ場合がありますが、当時は、上の写真のような「マナスル」型のストーブを「ホエーブス」に対して「ラジウス」と呼んでいました。

当時(昭和60年以前)は「ラジウス(マナスル)型」と「ホエーブス型」が2大ストーブとして、多く使われていました。

ホエーブス625型

ラジウスの歴史は古く、大正期にスウエーデンのラジウス社が製造したストーブが本家だと言われています。

日本では昭和30年代に多く出回るようになり、国産ではホープ社が「マナスル」という名前でラジウスを広めました。

写真のラジウス(マナスル)はホープ社が昭和50年代になくなってしまった後、ホープの元社員が立ち上げたサンマイルドという会社が製造した「キャンピング126ストーブ」という名称のラジウスで、元社員の方から頂いたものです。

ホープの技術が踏襲されていると思われ、外見も性能もホープ社の「マナスル126」となんら変わらない信頼性があります。

このサンマイルド社も残念ながらなくなってしまいましたが、約40年前に製造されたこのラジウスは現在でも良好に稼働できます。

灯油を入れます

ノズルを組み立てます

予熱皿にプレヒート用のアルコールを入れます

プレヒート中

ノズルが熱くなったら、ポンピングして点火成功!

青い炎と轟音が響く

点火したついでに麻婆豆腐を作った

 

軽いガス式ストーブがカロリーアップしたため、今では登山には重たいので持って行かなくなりましたが、釣りやキャンプに行く時には現在でも使用しています。

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プロフィール



初登山は雌阿寒岳。

学生時代に山岳部リーダーを経験し、阿寒、知床、大雪を中心に活動。

以来、北海道の山を舞台にオールシーズン単独行にこだわり続け30年。

現在は主に日高山脈をフィールドにしている山オタクのアマチュア登山者。



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