25Jul
沢登り。スパイク地下足袋の使用限界を検証した
スパイク地下足袋は、スパイクが減ると沢登りでは使用できなくなります。
スパイクが減って、沢登りを引退したスパイク地下足袋は、寿命まで普通の登山に使用できます。
今回はスパイク地下足袋の使用限界について検証しました。
意外に知られていないスパイク地下足袋の魅力
スパイク地下足袋は、沢登りや一般の登山道において、バランスの取れたフリクションを発揮します。
価格は4000円~5000円で、沢登りシューズやトレッキングシューズより安いのが魅力です。
スパイク地下足袋は、沢登りでは靴を履き替えなくても、沢、尾根道、どちらも歩けてしまいます。
地下足袋は靴ずれとは無縁です。サイズさえ合えば足にフィットするのも大きな魅力です。
スパイク地下足袋の短所は?
当然ながら、所詮は足袋なので靴より寿命は短くなります。
とはいっても、スパイク地下足袋は意外に丈夫に作られていますので、月に1~2回程度登山をしても、履きつぶすまでに2年程度はかかります。
登山靴も2~3年履けば、ソール交換(10000円程度)が必要になるので、ランニングコスト的には登山靴と同等か、安くつきます。
あとは、足袋なので、水濡れすれば靴下までずぶ濡れになります。
岩や木の根っこに足をぶつけると、生地が薄いので痛いですし、下りでは先が割れているせいで指の股が痛くなるので、慣れが必要です。
登山靴のソールのようなクッション性がありませんので、足腰が強くない人には登山靴にくらべ、膝や腰にダメージを受けやすいです。
一方で、脚力が低下し、登山靴が重く感じる人には地下足袋は向いていると言えます。
スパイクの減りを検証。新しいうちは沢登り用、スパイクが減れば普通の登山用へ
スパイク地下足袋は、スパイクが減っているのに沢登りに使用すると、思わぬ転倒事故を起こします。
では、どの程度使用したら沢登りには使えなくなるのでしょうか?
1 新品のスパイク地下足袋
・マルゴ製スパイク地下足袋
マルゴのスパイク地下足袋ですが、新品時のスパイクの長さは約4mmでした。
・日進製スパイク地下足袋
日進のスパイク地下足袋ですが、新品時のスパイクの長さは約3mmでした。
2 沢登りに約10回使用したスパイク地下足袋
・マルゴ製スパイク地下足袋
この「マルゴ」製スパイク地下足袋は、沢登りに10回程度使用しています。
スパイクは全体的に2mmに減っており、スパイクが脱落したり、抜けかかっていたり、沈み込んでいるところが片足に2、3カ所あります。
この状態では、スパイクを過信しなければ沢登りにはまだ使用可能ですが、油断すると危険な転び方をします。
先日、この地下足袋を履いて、十勝幌尻岳(1846m)の登山中、オピリネップ川でスパイクが滑って転倒しました。
以後、この地下足袋は沢登りを引退し、日帰り登山用におろしました。
接着剤が剥がれはじめているところもあります。
日帰り低山用ならあと数年は履けそうです。
・日進製スパイク地下足袋
次は、「日進」製のスパイク地下足袋です。
この地下足袋も沢登りに10回程度使用しています。
スパイクは全体に2mmまで減っていますが、脱落や沈み込みなどはありません。
しかし、前述のマルゴスパイクと同じく、ここまでスパイクが減ると、沢登りでは危険な転び方をすることがあります。
数年前にこの足袋を履いて、日高のコイカクシュサツナイ川で、ぬめった倒木の丸太の上を渡っている時に、スパイクの効きが不十分で滑って転倒しました。
この地下足袋も沢登りを引退し、日帰り登山用に下ろしました。
「日進」のスパイク地下足袋は、「マルゴ」「力王」「壮快堂」などで採用しているスパイクとは違い、1か所にスパイクピンが2本出ています。
1本のスパイクピンの太さは「マルゴ」のピンの約半分ですが、ダブルになっている分、マルゴのピンよりもよく効きます。
スパイクピンの脱落も起こりませんでした。
ですが、日進のスパイクピンは減りがやや早いのが残念なところです。
購入から約10年経過していますが、作りはしっかりしていますし、破れや接着剤の剥がれなどは起きていません。
普通の登山なら、まだまだ使用できそうです。
まとめ
スパイク地下足袋を沢登りに使用する時は、スパイクピンが2mm程度まで減ると滑りやすくなります。
沢登りの行程や、体重、背負う荷物の重さにもよりますが、10回程度の沢登りで2mmまで減り、物によってはスパイクの一部が脱落することもあります。
スパイクが2mm程度に減ってしまっても、アッパー、ソールともに十分な強度がありますので、布が破れたり、接着剤が剥がれてくるまで日帰り登山用として使用できます。
沢登りシューズは、一般的には、フエルト底で10回程度、ラバー底で30回程度の使用でソール交換が必要になるとされています。
沢登りシューズのソール交換は、フエルト底ならほぼ交換可能ですが、(DIYでする場合、交換用ソールは3000円程度、業者依頼の場合10000円程度)、ラバー底は交換に対応していない場合があります。
スパイク地下足袋は、安いもので4000円程度、高いもので5000円程度です。
年間10回程度沢登りをする人なら、年に4000円~5000円の投資です。
スパイクが減ったあとに、スパイク地下足袋を日帰り登山に使用すれば、トレッキングシューズや登山靴のソールの減りも押さえられます。
地下足袋は消耗品ですが、丈夫さや、バランスの取れたフリクションなど、トータルで考えるとコスト的には決して高いとは言えないのです。
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