4Oct
スパイク地下足袋の比較!耐久性や価格は?
登山や沢登りに万能なフリクションを発揮するスパイク地下足袋ですが、物によって耐久性は大きく異なります。
スパイク地下足袋を使用するなら、価格と耐久性のバランスがよい物を選びたいところです。
今回はマルゴ、ニッシン、力王、3社のスパイク地下足袋を実際の沢登りに使用して、品質などを検証しました。
マルゴ、ニッシン、力王、価格や特徴は?
マルゴのスパイク地下足袋
マルゴのスパイク地下足袋は、上記の商品で税込4500円程度で、スパイク地下足袋としては高くも安くもない価格設定です。
スパイクピンは他社にも多い「ダブルピン」を使用しています。
ダブルピンとはホチキスの針のように、コの字型をしたスパイクピンで、独立ピンに比べ抜けづらいと言われています。(下図参照)
沢登りや登山では可も不可もなく安定したフリクションを発揮してくれます。
ニッシンのスパイク地下足袋
ニッシンのスパイク地下足袋は、上記の商品で税込5000円程度と、スパイク地下足袋としてはやや高い価格設定です。
スパイクピンは「特殊独立ピン」を使用しています。
独立ピンはダブルピンに比べ抜けやすいという印象がありますが、この特殊独立ピンはダブルピン以上に抜けづらい構造になっています。
また、ニッシンの特殊独立ピンは1か所にピンが2本植えてありますので、他社のスパイクピンよりもフリクションは高く、特に岩やぬめりでは安定したフリクションを発揮してくれます。
力王のスパイク地下足袋
力王 地下足袋 スパイク地下足袋 SPK8 (8枚大コハゼ)
力王のスパイク地下足袋は、上記の商品で税込4000円程度で、スパイク地下足袋の中では1番コスパの良い商品です。
スパイクピンはマルゴ同様「ダブルピン」を使用しています。
力王のスパイク地下足袋は履くとわかるのですが、底が緩やかなアーチ状に盛り上がっていて、土踏まずにフィットするよう工夫されています。
他社の地下足袋の底はフラットのものばかりなので、この盛り上がりが必要なのかどうかは別として、この地下足袋の特徴となっています。
沢登りや登山では可も不可もなく安定したフリクションを発揮してくれます。
耐久性の比較~履きつぶすまで沢登りに使用する
マルゴのスパイク地下足袋
この地下足袋は、「マルゴスパイク大馳8枚2型」という商品です。
沢登りに約10回使用したところで、スパイクの効きが悪くなり、引退させたものです。
スパイクの長さは新品では約4mmあったものが、2mmに減っていました。
また、スパイクのダブルピンが1か所脱落しているほか、2か所が脱落しかけています。
ダブルピンはコの字型をしているので、ダブルピンが1本脱落するとスパイクは2本なくなったことになります。
抜けづらいと言われているダブルピンですが、沢登りで酷使すると、摩耗する前に脱落する箇所もでてきます。
スパイクピンの沈み込みも1か所見られました。
アッパーやインナーの生地に破損は見られませんが、インソールの一部には接着の剥がれが見られました。
サイドのゴムが剥がれ出している箇所もあります。
沢登り10回程度で、スパイクの摩耗、脱落、沈み込みが出てきましたが、スパイクピンの耐久性はそんなものだと思います。
インソールやゴムの剥がれに関しては、もう少し耐久性を上げてほしいところです。
全体的に見ると、可も不可もない平凡な商品だと思います。
ニッシンのスパイク地下足袋
次は、ニッシンの「スパイク足袋JSシューズ4R」です。
この地下足袋も沢登りに約10回使用したところで、スパイクの効きが悪くなり、引退させたものです。
スパイクの長さは新品では約3mmあったものが、2mmに減っていました。
こちらは、スパイクピンの脱落は一切ありませんし、ぐらつきや沈み込みもありません。
ニッシンの特殊独立ピンはダブルピンとは比べものにならないほど抜けづらいということがわかります。
この特殊独立ピンは、1箇所に細いピンが2本埋め込まれています。
スパイクの効きはマルゴや力王のダブルピンより良いのですが、ピンが細いせいか、若干減りやすいのが難点です。
アッパーやインナーの生地、インソールに破損はなく、ゴム類の剥がれも一切ありません。
スパイクの摩耗がやや早いことを除けば、総合的に耐久性の高い商品だと言えます。
力王のスパイク地下足袋
次は、力王の「スパイク地下足袋SPK8」です。
この地下足袋は沢登りに5回使用したところで、スパイクの脱落がひどく、効きが悪くなり引退させたものです。
スパイクの長さは新品では約5mmあったものが、4mmに減っていました。
スパイクの摩耗の早さに問題はありませんが、ダブルピンが5か所脱落していました。
これだけピンが脱落すると、生き残ったピンが摩耗していなくても、沢登りでは滑るようになります。
アッパーやインナーの生地、インソールに破損は見られませんが、サイドのゴムが剥がれ出している箇所があります。
筆者と同時期にこの地下足袋を購入した方も、ピンの脱落がひどく、沢登り5回程度で引退させています。
価格は安いのですが、沢登りにおいては耐久性が低い商品と言わざるを得ません。
まとめ~どれが1番優秀なのか?
スパイク地下足袋はソール交換ができませんので、価格が安くて耐久性の優れた商品を選びたいところです。
今回の比較実験では、1位ニッシン、2位マルゴ、3位力王ということにしました。
1位 ニッシンのスパイク地下足袋
若干スパイクの減りが早いものの、沢登りに約10回使用できる点はマルゴと同格です。
ピンの脱落やアッパーのほころびもなく、耐久性では一番優秀でした。
価格が5000円程度とやや高めなのですが、作りが丈夫なので沢登り引退後も普通の登山用に流用できるなど、長く使える点が評価できます。
2位 マルゴのスパイク地下足袋
スパイクの脱落や沈み込み、ゴムやインソールの剥がれが出てくるものの、価格が4500円程度で沢登りに約10回使用できるという点で、価格と耐久性のバランスが取れた商品だと思います。
3位 力王のスパイク地下足袋
価格は4000円程度と最安値なのですが、沢登り5回程度でピンの脱落が多く発生し、また、ゴムの剥がれが起こるなど、他社の地下足袋に比べると耐久性がかなり低い商品です。
スパイク地下足袋で沢登りを体験してみたい人には価格が安く、購入しやすい商品ですが、沢登りを続けたい人にはこの地下足袋はおすすめしません。
スパイク地下足袋のすすめ
説明したとおり、スパイク地下足袋はスパイクが減りますので、沢登り10回程度で買い直しが必要になります。
これを高いと見るか、安いと見るかなのですが、フエルト底の渓流シューズの場合、一般的に10回程度の使用でソールの張り替えをしますが、交換費用は10000円程度です。(DIYで交換する場合、交換用のフエルトは3000円程度です。)
また、ラバー底の渓流シューズの場合、一般的に30回程度の使用でソールの張り替えを行う場合がありますが、交換費用は10000円前後です。(メーカーによったソール交換に対応していない場合もあります。)
ソールの減り方には個人差がありますが、仮に、上記のような交換頻度でいった場合、ランニングコストは高い順に、
フエルト底の渓流シューズ>ラバー底の渓流シューズ>スパイク地下足袋
となり、スパイク地下足袋のコスパの良さがよくわかります。
沢登りにおける地下足袋ユーザーは極少数で、好みの分かれるところですが、スパイク地下足袋には独特のフリクションと履き心地があります。
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