6Jul
登山とGPS~GPSの役割とは
山では地形図、コンパス、高度計があり、読図能力があれば、ホワイトアウトでもしない限り、現在地を完全にロストすることはほんとんどありません。
しかし、現在では、GPS専用機やGPS機能付きのスマホが登場したおかげで、現在地をロストすることはほぼなくなったと言えます。
今回は登山とGPSの役割ついて簡単に説明していきます。
GPS専用機ガーミン。古いモデルでも十分。丈夫で長持ち
筆者は平成21年(2009年)に初めて購入したガーミンのGPS専用機(etrexレジェンドHCX)に、別売りの登山用2万5千分の1地図データ(10m間隔の等高線や登山道も表示され、国土地理院の地形図とほとんど変わらないものです)入れて現在でも使用しています。
購入したきっかけですが、日高山脈などで何度か道に迷ったり、冬山で視界が効かなくなるなど、ひやりとした経験が何度もあって、GPS専用機は大変高価でしたが、命の保険としては十分な買い物だと思い、購入を決断しました。(当時、本体と地図データの両方で約10万円しました。)
最新機種と比較すると、測位誤差はややありますが、実用上は問題なく使えています。
現在(令和6年)まで15年間、ハードに使用していますが、丈夫で使いやすく、まだまだ現役です。
登山向きのガーミン最新GPS専用機は・・・
現在では、筆者が使用している機種より3世代進化しましたが、カタログデータを見る限り、測位精度の向上やオプション機能が追加されていることを除けば、基本的な機能は変わらず、取り扱い自体は旧モデルと大差がない印象です。
ガーミンのGPS専用機は、etrexシリーズ、GPSMAPシリーズなどがありますが、価格が日本正規品で2万円~10万円と幅があり、また、ネット上には半額に近い輸入品もあり、初めて購入する人には選ぶのが難しいと思います。
どの商品も登山用として優れていると思いますが、ガーミンの中でも筆者が登山向きだと考える、3機種について概略を紹介します。
etrex22Xとetrex32X
アマゾン ガーミン eTrex 22x ブルー 010-02256-08
楽天 ガーミン eTrex 22x ブルー 010-02256-08
アマゾン eTrex 32x
楽天 eTrex 32x
yahoo eTrex 32x英語版並行輸入品
- 対応衛星 GPS、みちびき、GLONASS
- ディスプレイ 2.2インチ、カラー
- 内蔵地図 日本詳細地形図2500/25000、1/20万概略地図
- 別売地図 可能
- 内臓メモリー 8GB
- 気圧式高度計 32Xのみあり
- 電子コンパス 32Xのみあり
- 防水等級 IPX7
- 電源 単3×2、NiMH・リチウム対応
- バッテリー寿命 25時間
- 重量 148g
登山用として初めてGPS専用機を購入するのであれば、初級者、経験者を問わず、22Xか32Xが機能や価格面で選びやすい機種だと思います。
22Xについては、気圧高度計や電子コンパスは付いていませんが、登山に使用するための最低限の機能という点では、この機種はおすすめです。
内臓の「日本詳細地形図2500/25000」は、等高線が10m(最大5m)間隔で表示され、登山用の地形図としては十分です。
ガーミンでは、登山用の別売り地形図「日本登山地形図TOPO10m plus(18000円程度)」を販売していますが、こちらは昭文社の「山と高原地図」のデータも入っており、日本詳細地形図2500/25000と比較して情報量が多くなっています。
32Xについては、22Xの機能に加え、気圧高度計と電子コンパス機能などが付加されています。
GPSMAP67
アマゾン ガーミン GPSMAP 67【日本正規品】
楽天 ガーミン GPSMAP 67【日本正規品】
- 対応衛星 GPS、みちびき、GLONASS、Galileo、Beidou
- ディスプレイ 3インチ、カラー
- 内蔵地図 日本詳細地形図2500/25000、1/20万概略地図
- 別売地図 可能
- 内臓メモリー 16GB
- 気圧式高度計 あり
- 電子コンパス あり
- 防水等級 IPX7
- 電源 内臓リチウムイオン充電池
- バッテリー寿命 180時間(GPSモード)、840時間(エクスペディションモード)
- 重量 230g
GPSMAPシリーズは、ガーミンGPSの最上位モデルで、値段はしますが、対応衛星はマルチ(5種類)、日本詳細地形図、気圧高度計、電子コンパス内臓、バッテリーは長寿命なリチウムイオン充電池など、至れり尽くせりな仕様になっています。
また、米軍の装備品規格であるMIL-STD-810に準拠しており、衝撃などにも強くなっています。
スマホをGPSがわりに
ガーミン製GPS専用機について概略を紹介しましたが、GPSで位置情報を得る方法として最近主流になっているのは、スマホに地形図アプリを入れてGPS専用機の替りに使用するという方法です。
スマホはオフラインでもGPS機能が使えます。
スマホを持っている人で、とりあえずGPSを使いたいのであれば、高価なGPS専用機を買うより断然安上がりです。
スマホをGPSがわりに活用する場合の注意点は、GPS専用機に比べ、一般的に衝撃、防水性が劣っているということや(防水性の高いスマホもあります)、機内モード、省エネモードにして、バッテリーの減りを抑えるなどの工夫が必要だというところです。
いずれにしても、携帯電話は、山では遭難用の通信機器として必要な装備品ですし、スマホに地形図アプリが入っていれば、道に迷っても自力で下山できる可能性は当然高くなります。
なお、スマホに地形図アプリが入ってなくても、Googleマップを表示させれば、スマホのGPS機能で現在地の北緯東経を知ることもできます。(オフラインの場合はあらかじめ付近のGoogleマップをダウンロードしておく必要があります。)
救助機関であれば、北緯東経だけの位置情報でも、ピンポイントで現場に向かうことができます。
登山スタイル合ったGPSを
登山における、GPS専用機、スマホのGPS機能などの役割について、大まかに紹介しましたが、GPS専用機とスマホを比較した場合、
・価格
・バッテリー寿命
・各種機能
・操作のしやすさ
・耐久性、防水性
など、それぞれ長所や短所があります。
登山用としてGPSを持ち歩きたいと考えるのであれば、GPSをどんな風に使用したいのか(ハードな条件で使いたい、トレースだけ保存したい、緊急用として使いたい、楽しみとして使いたいなど)自分の登山スタイル合ったものを選ぶことになると思います。
最新のGPS専用機とスマホアプリの比較や選び方について、さらに詳しくは「登山用GPSの選び方~専用機?スマホ?」を読んでみて下さい。
GPSはあくまでも登山を補助するための機械
GPSはあくまでも登山を補助するための機械であり、地形図やコンパスにかわるものではありません。
筆者は登山にはGPS専用機を持ち歩いていますが、位置を知るための主体はあくまでも紙の地形図、高度計、コンパスです。
GPS専用機は現在地に確信が持てない時に補助的に使用します。
機械に頼り過ぎるような登山をしていれば、大きな測位誤差、故障、誤作動、バッテリー切れを起こした場合、どうすることもできません。
登山のステージが上がれば上がるほど、読図能力や五感などをフル活用し、正確な現在地を把握できる実力が必要とされます。
いくら便利な機械が出来ても、最後はアナログで山を歩けるよう、普段からトレーニングしておくことが大切です。
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