8Jun
登山とザックの2回目。
前回はザックのルーツやキスリングについて書きました。
今回は登山のザック(リュックサック)の種類と選び方について説明します。
登山用ザックと汎用ザックの違い
ザックには登山に適したもの(登山用ザック)と、通学やお出かけなどに使用されるもの(汎用ザック)があります。
しかし、ザックに「登山用」と書いているわけではありませんので、見分けがつきづらいと思います。
登山用品店やスポーツ量販店の登山コーナーで購入すれば、まず間違うことはありませんが、一般の衣料品店などで購入する場合は、登山に適しているのかどうか、よく見極めなければなりません。
登山用ザックとそれ以外の汎用ザックの大きな違いは、生地やショルダーベルト、ファスナーなど、登山用のザックは全体に丈夫に作られています。
ザックの重みで縫い目がほころんで来た、枝に引っ掛けて破損した、ファスナーが壊れたでは登山に支障が出ます。
それと、ほとんどの登山用ザックは背中部分に金属製のフレームが仕込んであるか、フレームがなくても分厚くできていて、背中のフィット感を損なわない工夫がされています。
安い汎用ザックは、背中部分が薄くてふにゃふにゃの物が多く、生地は薄く、ファスナーの強度も低いものが多いと言えます。
ザックの形は大別して2種類。アタックザック型とデイパック型
現在、市販されているザックのほどんどは、縦長タイプのいわゆるアタックザック型です。
ほかに、町でよく見かけるデイパック型などもあります。
登山用ザックにはどちらのタイプもあります。
一般的に日帰り登山用の小型ザックにはデイパック型とアタックザック型の両方がありますが、リッター数の多い大型ザックにはデイパック型はありません。
アタックザック型(左)とデイパック型(右)
日帰り登山には小型ザック、泊を伴う登山では大型ザック
ザックには大きさ(容積)があります。
日帰り登山には25~40リットル程度のザックが便利です。
このような日帰り登山用の小型ザックを縦走用の大型ザックに対し、「サブザック」と呼んだりします。
夏山の日帰り登山でも万が一の時のために、1泊くらいはビパークできる事を想定するのが基本です。
そうなると、持ち物は、水、食糧、行動食、雨具、防寒衣類などのほかに、非常食、ヘッドランプ、替えのシャツ、セーター、ツエルト、ラジオ、予備バッテリー、救急用品、その他が必要になると思います。
これらをパッキングすれば、30リッター程度で少し余るくらいになるでしょう。
筆者の場合、夏山も冬山も40リッター程度の小型ザックを使用しています。
冬は夏よりも装備品が増えるし、ザックの外部にピッケル、スノーシュー、スコップ、ワカンなども装着するので、どうしてもある程度の大きさが必要になります。
また40リッター程度であれば、夏山では山小屋を利用すれば一泊程度の山行にも対応可能です。
(日帰り装備に加え、炊事用品と食糧、シュラフ、エアーマットや銀マットなどが増えます。)
テント泊であれば、泊数やテントの大きさにもよりますが、装備にテントが加わるので、60リッター程度は必要になると思います。
テント泊の場合、筆者は70リッターのザックを使用しています。
ルートや行程にもよりますが、70リッターでの単独行では3泊程度の山行でザックの荷物は一杯になります。
ザックにはサイズ(男性用、女性用)がある
ザックには女性用、男性用がありますが何が違うのでしょうか?
一般的に肩からウエストまでの長さは男性の方が長く、女性の方が短いので、ザックのショルダーベルト上部の付根からヒップベルト(ウエストベルト)までの長さ(背面長と言います)も男性用は長く、女性用は短く出来ています。
「女性用」などの表示がない場合は、ザック同士を並べてみると、背面長が明らかに違いますのでわかると思います。
個人差はありますが、男性が女性用のザックを背負うと、ヒップベルトはへその上まで来てしまいますし、女性が男性用のザックを背負うとヒップベルトは骨盤より下の位置に下がってしまいます。
ヒップベルトの適正位置はベルトの幅の中央が骨盤の角に当たる位置とされています。
また、男女共用のザックもありますが、男女共用の場合、背面長が調整できるようになっています。
ザックを背負って見る
ザック選びはとにかく背負ってみることが大切です。
自分の登山スタイルに合う大きさ(リッター数)のザックは、遠慮せずに売り場にあるものはすべて背負ってみましょう。
大概は軽い詰め物が入れられていて、試せるように陳列されています。
背負ったら、ヒップベルトを骨盤に合わせて止め、ザックが背中にフィットするようショルダーベルトの長さを調整します。
(ベルト類の調整については「ザックの背負い方~ベルト類の調整で快適に」に詳しく書きましたので読んでみて下さい)
背負ってみて、背中、肩、ウエストに一番しっくりくるものをあわてず慎重に選びましょう。
しっくりくる物が見つかったら、あとは使い勝手とデザインで決めることになります。
使い勝手の良いザック~ファスナーの信頼性、ポケットとファスナーの位置
丈夫で滑らかなファスナー
使い勝手の良し悪しで、まず気にしなければならないのは、ファスナーの信頼性です。
開け閉めに引っかかりが多かったり、振動で開いてしまいそうなものは選ばないようにします。
ファスナーは丈夫で、開け閉めがスムーズなものが使いやすいと言えます。
使い勝手の良し悪しが決まる、もうひとつの要素は、ポケットやファスナーの位置です。
ファスナーの位置は商品によって、バリエーションがあります。
例えば、ザックの下部にファスナーがついたもの、サイドにファスナーがついたものはなどは、下の方にパッキングしてある装備品が急に必要になった時など、出し入れするのに結構便利だったりします。
納得がいくまでじっくりと選びましょう。
縦走中に使用するサブザックは軽くてコンパクトなものを
縦走中にザックをデポ(一時的に置いておく)して、頂上へアタックする場合や、キャンプ地から日帰りで頂上アタックするような場合は、軽くてコンパクトな小型ザックを持って行くことで、重量軽減につながります。
背中にフレームの入った、小型ザックは、大型のザックの中にパッキングすると、結構かさばりますし、重くなります。
先ほど、安い汎用ザックは登山に適さないと書きましたが、軽く、柔らかく、コンパクトで、ある程度丈夫な汎用ザックは、縦走中に使用するサブザックとして利用することもあります。
参考までに、筆者が縦走中に使用しているサブザックは、通称「日高ザック」と呼ばれる、ロングセラーの小型ザックです。
※このザックは、極めてシンプルなデザインですが、汎用ザックではなく登山用ザックです。
楽天 秀岳荘オリジナル ナイロンサブSサイズ 20L 青 赤
まとめ
ザック選びは、まず、登山スタイルに合ったリッター数のものを選びます。
次に、肩と腰の長さ(背面長)が合うものを選びます。(男性用、女性用など)
最後に使い勝手(ファスナーの信頼性やポケットの位置など)の良いものを選びます。
小型ザックには登山に適さない汎用品もありますので、品物をよく見て、丈夫なものを選ぶようにしましょう。
使用頻度にもよりますが、品質の良い登山用ザックは、一度買うと20年程度は使用できます。
登山の相棒として長く使用することになりますので、慌てずにじっくりと選ぶようにしましょう。
次回はパッキングのコツについて説明したいと思います。
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