17Nov
初心者のための冬山入門2
~冬山登山の準備その2~
今回は装備の購入についての続編です。
(前回の冬山入門はこちらから。)
冬山登山で必要になる、ストック、ゴーグル、サングラス、スノーショベル、アイゼン、ピッケルなどの小物について説明していきます。
ストック(ポール)
山スキーはもちろん、スノーシューなどを使用する場合に、ストック(ポール)があると歩行が安定します。
つぼ足(登山靴のままで雪上を歩くこと)で歩く時でも、ストックがあるとバランスがとれ、疲れないので便利です。
ストックは、トレッキングポールやスキー用のものなどで良いのですが、先端にある円形のつば(バスケットと言います)が小さいと、柔らかい新雪では埋まってしまい、ストックの役目を果たしません。
ほとんどのトレッキングポールは、面積の広い冬山用のバスケットが別売りされていますので、交換する必要があります。
ゴーグル
ゴーグルは吹雪の時に使用します。
サングラスと兼用したいところですが、吹雪の時にサングラスを使用しても、雪や寒さを防ぐことはできません。
逆に、日差しから目を守るのにゴーグルを使用することは可能ですが、天気の良い時にゴーグルを使用するのは暑くて不快です。
ゴーグルには様々なタイプがありますが、スキーやスノボー用に販売されているもので良いと思います。
天気が安定している時の低山しか登らないのであれば、ゴーグルは必ずしも必要ではないとは思います。
サングラス
サングラスは紫外線から目を保護するために使用します。
特に春山の晴れた日などは、強烈な紫外線によって目に炎症を起こす、雪盲(せつもう、ゆきめ)になることがあります。
登山中に雪盲になったら、涙で目を開けていられなくなり行動に支障がでます。
サングラスはどんな用途のものでもかまいませんが、UVカット率の高いもの(99%以上)が良いと思います。
なお、眼鏡をかけている場合で、レンズがUVカットになっているものを使用した場合、眩しさが気にならなければ、サングラスの代わりとして紫外線対策は可能です。
(サングラスや雪盲についての詳しいことは「雪山の紫外線対策」を読んでみて下さい。)
スノーショベル(スコップ)
日帰り登山では、スコップを持たない人を多く見ますが、日帰りであっても持って行くのが基本になります。
スコップは雪洞(せつどう、宿泊したり、避難するための雪穴)を掘ったり、テント設営の時に使ったりするイメージがありますが、それだけではなく、仲間が雪崩にあった時にも使いますし、道に迷うなど緊急時の待機場所として簡単な雪穴を掘って中に入るだけでも凍死の危険を遠ざけます。
ですので、日帰り登山者やバックカントリースキーヤーなどは、積極的にスコップを携帯すべきだと思います。
冬山登山用のスコップには、上の写真のような軽量で分解可能なタイプなどが販売されています。
よくある、キャンプ用の折りたためる鉄の軍用スコップは面積が狭くて雪を掘るのには効率が悪く、重量もあるので冬山には適しません。
アイゼン
アイゼンは雪面が硬かったり、特にクラスト(氷化)している斜面では必須です。
クラストしている場所は、頂上付近などの高所や、南向きの斜面などに多く見られます。
アイゼンには、トレッキングシューズへの装着に適した軽アイゼンや、アルパインブーツや3シーズンブーツに装着する10本爪、12本爪などの本格的なアイゼンなどがありますが、森林限界を超えるような登山の場合は、軽アイゼンは適しません。
アイゼンには登山靴への取り付け方法の違いで、ベルト式、セミワンタッチ式、ワンタッチ式があります。
ベルト式はどんな登山靴でも装着可能で、セミワンタッチ式は靴の後部にコバ(ソール前後の出っ張り)がなければ装着できず、ワンタッチ式は靴の前後にコバがなければ装着できません。
このように、持っている靴によって、選ぶアイゼンは左右されます。
アイゼンについての詳しいことは「冬山とアイゼン~選び方と使い方」を読んでみて下さい。
ピッケル
ピッケルの役割は、杖としてのバランス保持、滑落したときの滑落停止動作、雪面に突き刺してザイルの支点にする、硬い雪面にステップを切る(カッティング)など、様々な用途に使用します。
比較的斜度のゆるい場所では、ストックだけでも十分ですが、急斜面ではピッケルが必要です。
ピッケルには長さがあります。
斜度が急な場所ほど短いものが使いやすく、斜度が緩い場所では長いものが使いやすくなります。
どんな長さのピッケルを購入するのかは、その人の身長やどんな山を目指すのかによりますが、一般的な目安は、ピッケルの上部(ヘッド)を握って気をつけの姿勢をした時に、ピッケルの先端が足首くらいに来る長さとされています。
ピッケルについて詳しくは、「ピッケルの種類と選び方」を読んでみて下さい。
準備段階4~山麓や雪原で訓練
道具を揃えたら、まずは道具に慣れなくてはいけません。
冬山は夏山に比べ、とにかく道具が多くて、扱いに慣れていないと道具に振り回され、行動時間をロスしたりします。
練習は、山麓やスキー場近郊の樹林帯、除雪していない林道など、雪が深い平地で行うと良いと思います。
服装もザックも本番と同じものを着用します。
冬山の服装で着ぶくれすると、少しの動作でも大変なことがわかると思いますが、これも練習のひとつです。
まずは、登山靴のまま(ツボ足)で歩いて見ます。
ももや腰まで雪に埋まり、少し歩いただけでも汗をかくと思います。
ツボ足歩行がどんなものかわかったら、スノーシュー、わかんなどの装着や取り外しをやってみたり、締め付け具合などを確認します。
装着したらストックを持ち、雪上散歩をして見ます。
実際に雪上を歩けば、歩き方のコツがわかりますし、深雪の中で道具がはずれたり、締め直したり、汗をかいて上着を脱いだり、手袋のまま道具を扱うことの大変さなどもわかると思います。
広い雪原や樹林帯は、視界が悪くなると方向がわかりにくくなります。
足跡は、吹雪になると、あっという間に消えてしまいますので、天気には十分気をつける必要があります。
初めての練習は、見通しの効く範囲か、除雪していない林道など、迷いづらい場所が良いでしょう。
次回はいよいよ冬山登山の実戦訓練を行い本番を迎えます。
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