今回はダニ(マダニ)についての話です。
登山道がよく整備されている山ではそんなに気にならないのではないかと思います。
しかし、選ぶルート、季節によっては猛烈なダニの襲撃に会うことがあります。
ダニのいる場所
ダニの多くは「笹やぶ」に潜んでおり、季節にもよりますが、笹やぶに入れば必ずダニが付くと思って間違いありません。
ルートによっては、笹の中を泳ぐように歩かなければならない時もあり、そんな時には体に数十匹も付いていることがあります。
季節でいうと5月~6月ころと9月~10月ころに多く発生し(北海道の山では5月~7月初旬ころまでがピークです)、この時期に登山道がよく整備されていない山などで、藪こぎをすれば、とんでもない数のダニが体に付着することになりますので、ダニ対策は必須になります。
ダニに噛まれる
ダニは体に付いてもすぐには、噛みつきません。
笹と接触する足元や腰付近、手袋などに付いたあと、血液を吸いやすいそうな柔らかい皮膚の部分を探して全身を這いまわります。
行動中に噛まれることもありますが、ほとんどの場合、下山後の帰宅中などに噛まれます。
モゾモゾするなあと思っていると、そのあとに「チクッ」という感じで噛まれます。
噛まれた瞬間の痛みは「チクッ」と「ズキン」の中間くらいです。
背中など、神経が鈍感な場所などは、噛まれたことに気づかないこともあります。
筆者の経験では登山帰りの運転中にやられることが最も多いです。
噛まれる部位は、首筋から耳回り、頭、脇腹、背中、腰まわり、内腿など。
帰宅したら頭はシャンプーでよく洗い流し、服も放置せずにすぐに洗濯します。
ザックにもよく付いているので気をつけましょう。
ダニは食い付くと時間とともに深く頭を突っ込みます。
噛まれて直ぐならダニの胴体をゆっくり引っ張ると、プチっと取れますが、時間が経過し、がっちり噛まれているのを無理に引っ張るとダニがちぎれ、頭部だけが皮膚に残るので無理をしてはいけません。
アルコールで浸したガーゼやティッシュペーパーをダニに張りつけたり、ワセリンを塗ったりすると、ダニが自分から離れてくれることもありますが、噛まれた直後なら手で引っ張っると簡単に取れます。(自分でダニを取る方法について詳しくは「登山のダニ対策~ダニの取り方」を読んでみて下さい。)
手で引っ張るのが気持ち悪い人には、下のようなダニ取り専用器具があります。
専用器具でダニを挟んでくるくる回すと、皮膚からサックリと抜くことができます。
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しかし、一番安全で確実な方法は皮膚科に行くことです。皮膚科に行けば除去してもらえます。
ダニは3~5mm程度の大きさですが、噛まれて放っておくと血を吸ってどんどん大きくなります。
昔、筆者の愛犬がダニに噛まれ、その後、ダニが成長し、トウモロコシの粒くらいに大きくなったのを見たことがあり、ゾッとしたのを覚えています。
ダニ対策!~つるつるした明るい色の服
対策としては、今のところ一般的な虫よけスプレーや、蚊取り線香などの虫よけ対策はダニに対してはほとんど効果がありません。
ですが、虫よけスプレーの中にはダニに忌避効果があるとされている商品があります。
虫よけスプレーに「ディート」(ジャングル戦の経験から米軍がダニ対策に採用した薬剤)や「イカリジン」という成分が入っているものがダニに効くとされています。
「ディート」や「イカリジン」は濃度が高いほどよく効くのですが、日本では濃度に上限があり、「ディート30%」「イカリジン15%」までしか認められていません。
「ディート」や「イカリジン」入りの虫よけスプレーが、春や初夏の笹やぶにいる猛烈な数のダニにどこまで通用するのかについてはやや疑問があるところですが、マダニに対する虫よけスプレーの有効性については、今後実地検証をしていく必要があると思います。(検証記事→「実験!高濃度虫よけスプレーはマダニに効くのか?」「高濃度虫よけスプレー、ディート、イカリジンは登山に有効か?」)
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今のところ、ダニが付かないようにするための最も有効な手段は、表面がつるつるした薄いウインドブレーカーやヤッケなどを着用して、ダニが付いても滑り落ちるようにする方法です。
上下ともに着用できれば効果は高くなりますが、熱がこもるので下だけでもつるつるした物を着用することで、かなりダニは付きにくくなります。
色は白系など、明るい色の方がダニの発見が容易です。
ホームセンターや作業服店で売っているこんな感じのやつです
実際、6月の日高山脈の笹やぶで出会ったある登山者も、ズボンの上に上の写真のような薄くてつるつるしたナイロン製ヤッケのズボンを履いており、ダニ対策のために履いていると説明してくれました。
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筆者がダニに付かれた最高記録は7月初旬のペテガリで、下山後、約60匹、服や装備に付いていて、そのうち食いつかれたのは5匹でした。
春から初夏になるまでの登山は心地のよいものですが、ルートに笹漕ぎがある場合は必ずダニが付くで注意が必要です。
ダニ媒介性脳炎に注意!
ダニ媒介性脳炎という感染症があり、平成28年8月と平成29年7月に北海道で死亡者が出ました。
このほかにも、マダニに噛まれて発症する病気として、ライム病、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などがあります。
ダニによる感染症について、詳しくは「登山とダニ対策と感染症~ダニ媒介性脳炎とは?」を読んでみて下さい。
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