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国産初の本格熊よけスプレー「熊一目散」のレビューと考察

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令和7年(2025年)5月に、国産第一号となる、本格的熊よけスプレー「熊一目散」が発売されました。

今回は、実際に「熊一目散」を購入し、登山用の熊よけスプレーとしての実用性などについて考察していきます。




熊よけスプレーとは?日本における熊よけスプレー事情

熊よけスプレーは、アメリカのモンタナ大学と、カウンターアソールト社が非殺傷型の熊用忌避剤を共同開発し、昭和61年(1986年)に世界で初めて販売されました。

同年、熊の研究者 前田奈穂子氏が、この世界初の熊よけスプレー「カウンターアソールト」を日本に紹介し、その後、研究者らによって、日本のヒグマやツキノワグマに対する実証実験が行われ、平成2年(1990年)に「熊撃退スプレー、熊よけスプレー」の名称で、アウトバック社から販売されるようになりました。

左:CA230、右CA290(ストロンガー)

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販売業者任せ?日本に熊よけスプレーのガイドラインは存在しない。

カウンターアソールトが発売されて以降、日本では、米国製の他社製品「ガードアラスカ」「フロンティアーズマン」「UDAP」などについても、市場に出回るようになりましたが、日本では「熊よけスプレー」の品質などに関する基準はありませんので、熊への効果が検証されているのかどうかよくわからないもの(対人用催涙スプレーなど)も、「熊よけスプレー(熊スプレー)」として販売されています。

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これらについては、販売業者が「熊よけスプレー」などの名称を使用すれば、効果が実証されていなくても「熊よけスプレー」として販売されますので、ユーザーとして、効果が確かな熊よけスプレーを購入するためには、熊よけスプレーに対する一定の知識や基準について知っておく必要があると思います。



米国の熊よけスプレーのガイドラインとは?

アメリカは、熊と人との共存に関する研究が進んでいる国のひとつで、前述のように、世界初の熊よけスプレーが開発された経緯があります。

アメリカには、熊よけスプレーの品質に関する基準が法令で定められており、熊よけスプレーは、EPA(米国環境保護庁)に登録されたものでなければ販売できず、熊よけスプレーとして登録できるものは、

・主要カプサイシン濃度 1~2%
・内容量 7.9オンス(224g)以上

と定められています。

また、アメリカでは、IGBC(米省庁間グリズリーベア委員会)が熊よけスプレーに関するガイドラインを定めており、推奨する熊よけスプレーについて、

・米環境保護庁(EPA)に登録されたもの
・噴射距離25フィート(約7.6m)以上
・噴射時間6秒以上

などの基準を示していましたが、2017年に発表された新たなガイドラインでは、噴射距離、噴射時間の文言はなくなり、

・米環境保護庁(EPA)に登録されたもののみを購入して下さい

という表現に変わりました。

噴射距離や、噴射時間の基準がなくなった経緯については、米国の4大熊よけスプレーメーカーのひとつであるUDAP社が、IGBCに対し、「噴射時間が6秒以上必要であるという科学的根拠は存在しない、数値的なガイドラインを撤回し、EPA登録品の使用を推奨すべきだ。」として問題を提起した(UDAP社の製品には当時、噴射時間が4秒のものなどがあり、突進する熊に対しては、噴射時間の長さよりも、大量のスプレーがより早く目標に到達することの方が戦術的に有利であるとの主張を展開していた)ことが原因と推定されます。

IGBCのガイドラインに噴射距離・噴射時間に関する文言がなくなった一方で、アメリカ全土で熊による人身事故事故防止の啓蒙活動を展開している、非営利団体 BE BEAR AWERE CAMPAIGN(ビーベアーアウェアーキャンペーン)では、熊よけスプレーの性能について、突進する熊に対処するためには、

・噴射距離 30フィート(約9.1m)以上
・噴射時間 7秒以上

の性能が推奨される、との意見を一貫して主張し続けています。

30フィート(9.1m)、7秒以上と主張。出典:ビーベアアウェアキャンペーン

このように、米国内では、戦術思想などに基づく様々な考え方が存在していますが、熊よけスプレーはEPA登録品しか認めていないという部分は共通事項となります。

熊よけスプレーに関する基準が日本では存在しない以上、確実性の高い商品を購入するためには、米国の基準を満たしているのかどうか(EPA登録品かどうか)が、商品選びの目安のひとつになるのではないかと思います。

EPA登録品かどうかは、本体ラベルに「EPA registration No.」があるかどうかで確認することができます。

熊よけスプレーカウンターアソールト、ラベル下部に記載されたEPA登録ナンバー。



米国の基準に準拠した国産初の熊よけスプレー「熊一目散」とは?

概要

日本において、効果の確かな熊よけスプレーを購入するためには、EPA(米環境保護庁)登録品を選ぶことがひとつの目安となることがわかりましたが、現在まで、EPAの基準に言及した米国製以外の熊よけスプレーは存在しませんでした。

近年、熊の出没が増加していることなどを受け、R4年(2022年)、動物医薬品メーカー バイオ科学が、熊よけスプレーの開発に着手し、熊の研究者で酪農学園大学教授の佐藤喜和氏(農学博士)監修のもと、EPAの登録基準に準拠した、国産初の熊よけスプレー「熊一目散」が完成し、R7年(2025年)5月に、釣り具販売会社ティムコなどから発売となりました。(専用ホルダーセット税込14080円、単品税込9900円、)

ホルスターセット。

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熊一目散は、EPA登録品ではありませんが、

・主要カプサイシン濃度 2%以上
・内容量 280ml(比重が0.95程度であれば、約266g(9.4オンス)となる)

など、EPAの登録基準に準拠して設計されております。

噴射距離・噴射時間

噴射時間・噴射距離については、

・噴射距離 10m
・噴射時間 10秒

と、IGBCの以前のガイドラインや、BE BEAR AWERE CAMPAIGN(ビーベアーアウェアーキャンペーン)の推奨基準を満たしており、カウンターアソールトを始めとする米国最大級の熊よけスプレー(EPA登録品)と同等性能となっております。

噴射距離・噴射時間についてですが、熊一目散と同等容量の米国製熊よけスプレー(ガードアラスカを除く)の噴射距離・時間が概ね「9~10m、4~9秒程度」であったものが、「カウンターアソールトストロンガーCA290」については、H30年(2018年)の仕様から「12.2m、8秒」、「フロンティアーズマンMAX9.2オンス」については、R5年(2023年)の仕様から「12.2m、7~8秒」、「UDAP9.2オンス」については、R7年(2025年)の仕様から、「12.2m、7秒」と軒並み変更されており、もう少し噴射距離が欲しいと感じるユーザーもいるのではないかと思います。

これについては、「噴射距離が短くても、長時間噴射したい」のか、「噴射時間はやや短いが、噴射距離は長い方が良い」のか、どちらの戦術を取りたいのかによると思いますが、米国製品の現在の考え方は、どうやら後者の流れになりつつあるのではないかと感じます。



ヒグマへの忌避効果は研究者が実証済み

熊への忌避効果についてですが、北海道でヒグマを自然放牧している十勝サホロリゾートベアマウンテンにおいて、共同開発者の佐藤教授が実証実験をしており、ヒグマに対して十分な忌避効果があったことが確認されております。(ベアマウンテンについて詳しくは「ヒグマとの遭遇をイメージできる!ベアーマウンテンの魅力 」を読んでみて下さい。)

日本に生息する熊に対する忌避効果が、研究者によって実証されている熊よけスプレーについては、「カウンターアソールト」(ヒグマとツキノワグマに対する忌避効果が確認されている)以外にありませんでしたが、「熊一目散」が2例目となり、これについては、大きなセールスポイントとなります。(※ツキノワグマに対する実証実験についての記載はありませんが、対象動物には、ツキノワグマやイノシシなども含まれており、ヒグマより小型であるツキノワグマにも十分な効果があると考えて間違いないと思います。)

スプレーノズルと安全装置

スプレーノズルの形状については、米国製品と大きく異なり、米国製熊よけスプレーのほとんどは、ノズル部分に、指を通すための円形のグリップがあり、噴射レバーに安全クリップが付いた独特の形状をしていますが、熊一目散については、一般的な殺虫剤やヘアスプレーなどと同様の形状をしており、初めて扱う人でも直感的な操作が可能となっております。

なお、噴射ボタンに誤射防止のための安全装置は付いていませんが、ノズル部分をキャップでフタをすることにより、誤射を防止しています。

(左)独特な形状の米国製品。上部の白いパーツは安全クリップ。(右)一般的なスプレーと同じ形状の熊一目散。半透明のキャップが誤射を防止する。

また、噴射ボタンの周囲が若干立ち上がっておりますので、キャップを外した状態でも、誤射しにくい構造になっております。(誤射防止のため、実射の時以外は絶対にキャップは外さない方が良いでしょう)

安全装置はないが、噴射ボタンの周囲は立ち上がっており、誤射しにくい構造。

専用ホルダー(ホルスター)

ホルダー(ホルスター)については、専用ホルダーがスプレーとセットで販売されております。(R7年現在、専用ホルダーの別売りはありません。)

形状はフタ付きのバックルタイプのホルダーで、丈夫な作りになっておりますので、登山などハードな用途に使用しても、耐久性に問題はないと思います。

フタは、スプレーのキャップがぴったりと入る構造になったおり、ほとんど遊びがありませんので、バックルを外し、ホルダーのフタを跳ね上げると、キャップも同時に外れるという優れものです。

ホルダーのフタを跳ね上げるとキャップも一緒に外れる。

ホルダー本体の内径は、スプレーよりやや太めに出来ていますので、ストレスなく、素早いリリースや収納が可能です。

装着方法は、ベルト通しが付いておりますので、腰のベルトなどに装着できます。

ベルト通しの適合幅は公開されていませんが、実測したところ、「約55mm」であり、ズボンのベルトであれば、ほぼ全てのベルトが通る幅ですが、作業用の腰ベルトなど、プロの現場で使用するベルトの中には、バックルごと通さなければならないものも多数ありますので、ベルト通しは出来れば70~80mm程度あった方が、様々な現場に対応できるのではないかと思います。(例:アウトバック社のカウンターアソールト専用ホルスターのベルト通しは80mmの物もある)

ベルト通しの幅は55mm程度。

価格

価格については、米国製熊よけスプレーの半額以下としており、「カウンターアソールトCA230」(税込19000円程度)の半額程度、「カウンターアソールトストロンガーCA290」(税込24000円程度)の半額以下となっております。

同じく米国製の熊よけスプレー、「フロンティアーズマンMAX」や「UDAP」は1万円~1万3000円程度ですので、必ずしも米国製品の半額とは言えませんが、このスペックと信頼性で、税込9900円(専用ホルダー付きは税込14080円)は、間違いなく安いと言えます。

使用期限

製造年月は缶底部に印字してあり、使用期限は製造から5年です。

製造年月の印字。

使用期限については、米国製が概ね3~4年になっており、製造から輸入、日本での販売までのタイムラグが、半年~1年程度発生してしまうことが多い米国製品に比べて、5年もあり、ユーザーにとっては、ランニングコストの節約に期待できそうです。



握りやすいサイズ、軽い重量

本体サイズは、全長205mm、外径53mmとなっており、米国製の熊よけスプレーとほぼ同じサイズ感となっています。

外径53mmは、女性や手の小さい人でも違和感なく握れる太さだと思います。

スペックでは、本体の重量が275gとなっており、内容量が280mlでこの軽さは何かの間違いかと思いましたが、本当に275gでした。

ピッタリ275g。

同じクラスの米国製熊よけスプレー「フロンティアーズマンMAX9.2オンス(内容量272ml、260g)」の重量が345gであることを考えると、かなり軽いことがわかります。

成分の比重が米国製品より小さいか(フロンティアーズマンMAXで比重0.95くらい)、使用しているスプレー缶がかなり軽いものを採用しているからだと思いますが、いずれにしても、登山者としては内容量が多いのに重量が軽いのは大歓迎です。

使用方法

使用方法は、風向きを確認し、キャップを外して噴射ボタンを押すだけというシンプルなものです。

また、熊との距離による、狙い方の違いについて以下のような説明があります。

・S字に噴霧して煙幕を作成~熊が接近している場合、S字に噴霧することで視界を遮る障壁を作ります。熊と自分の間に煙幕を作ることで、熊の進行を妨げます。対象動物との距離5-10m程度が目安です。

・熊の顔を狙い噴射~熊がさらに接近してきた場合、熊の顔に噴射口を向けて直接噴射してください。対象動物との距離は5m程度が目安です。

米国製の熊よけスプレーの取説による噴射方法は、カウンターアソールトやフロンティアーズマンMAXなどでは、「熊の顔と目を狙い、1~3秒程度噴射し、熊との間にスプレーのバリアを作る。再度噴射する場合は、風などの影響を判断し、必要に応じ狙いを修正する。」と言った主旨の記載があり、熊一目散の説明と大きな違いはありません。

※熊一目散は、噴射方法について、米国製の熊よけスプレーよりも具体的に言及していますが、個人的に目を引いたのは、スプレーの煙幕を作る際、「S字に噴射」することについてです。

バイオ科学公式HPの動画では、女性が顔の高さ付近から腰の高さ付近にかけてS字を描くように噴射していますが、筆者が確認している限りでは、熊よけスプレーをS字噴射するとの説明は、熊一目散が初めてです。

煙幕の作り方に関する説明については、カウンターアソールトの公式動画の一つに、スプレーを下向きにして左右に振りながら噴射している様子や、BE BEAR AWERE CAMPAIGN(ビーベアーアウェアーキャンペーン)では、「やや下向きに噴射し、自分と熊との間にスプレーの霧の幕を作る」などの説明は確認できます。

煙幕を作る際の、下向き噴射とS字噴射の戦術的な有効性の違いについては、今のところ不明ですが、今後調査していきたいと思います。

(熊よけスプレーの具体的な噴射方法や狙い方などについて詳しくは「考察~熊よけスプレーの実戦的な使用法とは?」を読んでみて下さい。)

ホルダーに収める際の注意点~素早い照準と噴射のために

熊一目散をホルダーに収納する際は、使用時に素早く噴射できるよう、スプレーの向きを考えて、収納するようにとの注意書きがあります。

熊よけスプレーは、「ホルダーからの取り出し→安全装置解除→照準→噴射」を素早く行わなければ、熊の突進に対して、間に合わない場合が考えられますので、ホルダーから取り出して構える練習を繰り返し行う必要があります。(熊は13.8m/sで走ることが可能です。米国では、熊が18m付近から突進し、人に到達するまで約2秒と想定してスプレーの噴射訓練を行っているところもあります)

実際に熊一目散を専用ホルダーから取り出す練習を行ってみましたが、注意書きにあるとおり、スプレーを握った時に、向きが正しくなければ、噴射の前に握り直す動作が加わり、その分タイムラグが生まれます。

これについては、正しい向きに握れるように収納しておけば、握り直しの動作をすることなく構えることは可能になりますが、筆者の場合、反復練習をしても、100%正しく握ることは出来ず、やはり握り直しの動作が出てきてしまいます。(ちなみに、バイオ科学HPの動画に出てくる女性は、非常に正確な動作で構えることが出来ています)

また、登山などハードな条件下では、スプレーの向きが勝手に動いてしまう場合なども考えられますので、本番では握り直しの動作が入ってしまうと考えておいた方が良いのかも知れません。

熊が突進して人を襲うまでの時間は、必ずしも「2秒」ではなく、最悪の場合2秒程度と考えられますので(ゆっくりと接近する場合もある)、握り直しなどの若干のタイムラグは、差ほど問題ではないのかも知れませんが、米国製の熊よけスプレーのノズルは、前述のとおり、指を通すための円形のグリップがあり、ホルダーから取り出す時にグリップに指を通しますので、握り直しの動作は発生することなく、照準と噴射がスムーズに行えます。(但し、安全装置を外す動作が加わりますので、安全装置を外す動作に手こずると、その分タイムラグが生まれる。)

このように、熊一目散は、誰もが見慣れた形のスプレーノズルですので、誰にでもスムーズな操作が可能ですが、握り直しの動作が加わることがあり、一方、米国製品は、握り直しの動作なく、照準までスムーズに行えますが、安全装置を外す動作が加わることで、不慣れな者が、もたついてしまう場合などがあります。

どちらも、メリット、デメリットがあると思われ、その辺りは使用する者の好みが分かるところだと思いますが、素早い噴射を行うためには、熊一目散であっても米国製品であっても、取り出しから構えるまでの訓練を反復して行う必要があります。



熊一目散専用ホルダーを登山向けにカスタマイズする

熊一目散を登山に携行し、実戦でより使いやすくするために、ホルダーなどをカスタマイズして見ることにします。

純正ホルダーは、登山中、どこに装着できるのか?

熊よけスプレーは、熊と遭遇した場合、直ちに使用できなけれな意味がなく、そのためには、ホルダーを適切な位置に装着しなければなりません。

純正品の専用ホルダーは、腰のベルトなどに装着できるよう、ベルト通し(幅55mm)が付いておりますが、このベルト通しを使用して、どこに装着できるのかを確認してみます。

登山中はザックを背負っており、ズボンのベルトに装着すると、ザックのヒップベルト(ウエストベルト)と干渉しますので(そもそもベルトを使用できるデザインの登山用ズボンは少ない)、多くの場合、ザックのどこかにホルダーを装着することになります。

候補としては、ザックのヒップベルト付近や、チェストベルトになると思いますが、まず、ヒップベルトについては、ザックにもよりますが、ヒップベルトの幅は30リットル程度のザックでも100mm程度はあり、パットの厚みもありますので、多くの場合、ヒップベルトに装着することは難しいと思います。

ヒップベルトのバックル付近であれば、ベルトの幅が細いので、装着が可能な場合が多いと思いますが、スプレーの位置がお腹の付近に来ますので、しゃがんだり、腿を上げた時に、スプレーが太腿やお腹に干渉し、歩行に影響すると思われ、また、バックルを外した時に、ホルダーが抜け落ちないような工夫も必要になると思います。

ウエストベルトのバックル付近に装着。歩行の邪魔になりそう。

チェストベルトについては、ほぼ全てのザックに装着可能だと思われます。

チェストベルトは細いため、若干ゆらゆらする感じはありますが、歩行の妨げにはならず、スプレーの取り出しもスムーズにいきます。

ただ、チェストベルトの脱着時に、ホルダーが抜け落ちないよう、脱落防止の工夫が必要になると思います。

チャストベルトへの装着。若干ゆら付くが良好。

最後に、ヒップベルトの側面にある、ヒップスタビライザーにホルダーが装着できる場合がありますので、装着してみす。

ヒップスタビライザー(矢印)。

このザックの場合、良好に装着でき、歩行の妨げにもなりませんでしたが、体側のやや後方になってしまうため、スプレーの取り出しは、あまりスムーズにいきませんでした。

ヒップスタビライザーへの装着。素早い取り出しはやや難しい。



ショルダーベルトに装着出来るよう改造してみる

熊よけスプレーのザックへの装着は、ホルダーのデザインによって装着位置が限られてしまいますので、自分が最良だと思う位置には装着出来ない場合があると思います。

筆者の場合、色々試して見た結果、ショルダーベルトへの装着が、歩行の妨げにならず、素早い取り出しが可能で、また、藪漕ぎなどしても引っ掛かりずらいので、熊よけスプレーはショルダーベルトに装着するようにしています。

しかし、そのままでは、ショルダーベルトへの装着は出来ませんので、ベルクロテープなどを増設してカスタムしてみます。

用意するのは、ベルクロテープと、適当なナイロンベルトの切れ端と、小さなカラビナです。

カラビナ、ナイロンベルト、ベルクロテープを用意。

これらを縫い付ける。

縫い付けたら完成です。

改造完了。

ザックのショルダーベルトに2本のベルクロを巻き付けて固定し、ホルダーがずり下がらないよう、増設したカラビナを、適当な場所に通します。

ショルダーベルトへの装着。上部は脱落防止のため、カラビナを適当な位置にかける。

キャップの開閉も良好で、スプレーの素早い取り出しが可能です。

ザックを背負った状況。スプレーのリリースは良好。

この改造は、ホルダー本体の生地が厚いため、針を通すのが大変ですので、別途、以下のような太い縫い針が必要になります。


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現在、ショルダーベルトに装着可能な熊よけスプレーホルダーはほぼ流通しておりませんが、最近では、モンベルがショルダーベルトに装着できるタイプのホルダーを販売するようになりました。

登山者向けに、ショルダーベルトへ装着出来るタイプのホルダーも発売されることを期待したいと思います。



登山中にキャップは絶対落としたくない。キャップの脱落防止を強化

熊一目散の専用ホルダーは、フタを外した時にキャップが一緒に外れるというシステムを採用していますが、これは、ホルダーのフタにキャップがしっかりと収まっていて、密着していることが前提となります。

ホルダーのフタとキャップの密着が悪い時は、フタの部分を輪ゴムなどを使用して押さえて、密着を強化するようにとの説明がありますが、フタとキャップとの密着の強化と、万が一、現場でキャップがホルダーのフタから脱落しないよう改造をしてみます。(構造上、ホルダーのフタからキャップが外れて落下することは、ほとんどないとは思いますが、登山など、ハードな条件で使用する場合の保険のための改造です)

まず、ドリルを使ってキャップに穴を二か所増設します。

キャップに穴を二か所開ける。上部に見える穴は、最初から開いているエア抜きの穴。

キャップをホルダーのフタに収め、針と糸で縫い付けます。

ホルダーのフタとキャップを糸で縫い付ける。

キャップに穴があると、雨の日の行動中、スプレーノズル部分に雨水が侵入する可能性がありますので、コーキング用のシリコンで目止めをします。

雨水侵入防止のため、シリコンで目止め。

今回、増設した穴と、最初から空いているエア抜き用の穴(キャップの開け閉めがスムーズにいくための空気穴と思われる)も一緒に目止めしましたが、キャップの開け閉めに問題はなく、目止め前同様、スムーズに開閉できました。

念のために、脱落防止用のコードを付ける

米国製の熊よけスプレーは、円形のグリップに人差し指を入れて保持する構造になっていますが、熊一目散には、このようなグリップはありませんので、保持する時は、スプレーボトルの本体を手で握ることになります。

米国製熊よけスプレーの例(カウンターアソールト)。円形のグリップに指を通してスプレーを保持する。

これについては、好みが分かれるところですが、米国製品に慣れている人にとっては、熊一目散は、米国製品に比べてスプレーを保持する際に、誤ってスプレーを手から滑り落としやすいと感じるかも知れません。

このような不安を払拭するために、簡易的に脱落防止コードを熊一目散に取り付けてみることにしました。

今回作成したのは、スプレー本体上部に、ループ状の紐をビニールテープで固定し、紐にショックコードを取り付けただけの簡単なものです。

脱落防止用のコードを付けた状況。収納状態でもスプレーノズルの向きがわかりやすい。

これで、万が一スプレーが手から滑り落ちても、あらぬ方向に転がってしまうことは防げますし、紐を固定する位置(今回は噴射ボタンの真後ろ)を決めておくことで、スプレーを取り出す際、スプレーの向きがわかりやすく、握り直しの動作を減らすことができるかも知れません。

但し、脱落防止コードは、適切な長さのものを適切な位置に固定しなければ、取り出しの際、他の装備品などに絡まることもあり、その場合、スムーズな噴射は出来なくなりますので、脱落防止コードを取り付ける場合は、スムーズに取り出せるかどうかをよく検証する必要があります。



まとめ

熊一目散について、レビューをまとめて見ましたが、カプサイシン濃度、内容量、噴射距離、噴射時間、熊への忌避効果、有効期限、重量、ホルスターの仕上がり、価格などトータル的に見て大変優れているとの印象を持ちました。

米国製熊よけスプレーと熊一目散、どちらを選ぶのかについては、ノズルの形状の好みや、噴射距離(R7年現在、米国製品の方が最長12.2mとやや長い)などで判断することになると思いますが、自分が活動するフィールドに合った方を選ぶことになると思います。

(熊よけスプレーの選び方について詳しくは「失敗しないクマよけスプレーの選び方!」を読んでみて下さい。)

アマゾン  熊一目散 熊スプレー【バイオ科学】 酪農学園大学監修

米国製品 左:CA230、右CA290(ストロンガー)

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